目の前の相手を、自分の思い通りに操作しようとすると……

期末や月末など、目標数字や締め切りに追いまくられていませんか? 忙しいとついつい目の前の相手を“モノ”のように操作しがちです。相手を“人”としてちゃんと扱わないと後でしっぺ返しを食らいますよ

忙しい時期のワナ=相手が“モノ”に見える

相手を“モノ”として扱うと思わぬしっぺ返しが。。
期末や月末など、追い込みの営業活動に、あわただしい日々を送っている人に一つ質問です。

「目の前のお客さまがちゃんと“人”に見えていますか?」

「そんなの当たり前」と言う前に、少し立ち止まってみてください。今月会ったお客さまを思い出してみてどうでしょう? 本当に自分と同じような“人”として、相手を見ていたでしょうか? 自分と同じように、いろいろな思いを持ち、人生を生きている“人”として見ていましたか?

もし、何とか買ってもらおうと、相手を操作しようとしていたとしたら、相手を“人”として見ていなかった可能性があります。自分の目標を達成するための手段として、相手をどこか“モノ”のように扱っていたかもしれません。

セールスに限らず、人は多かれ少なかれ、自分以外の相手をついつい操作可能な“モノ”のように扱います。人はそれぞれの都合で生きているのに、自分の都合を優先してそれに相手を合わせようとするからです。忙しい時期はなおさらです。

部下をお持ちの方は部下に対してどうですか? お客や部下の行動や態度に一喜一憂したり、さらには相手を責めたりしていたら、そのとき、どこかで相手を操作可能な“モノ”として見ています。

では、どうすれば、相手を“人”として見られるようになるのでしょうか?

相手を“人”として見る=生と死から見る

ポイントは生と死。この世に生まれ、生きて、いつか死んでいくものとして、相手を見ることです。生と死なんていうと、大げさに聞こえるかもしれませんが、難しくはありません。生と死は人ならだれもが例外なく体験することです。そこにただ意識を向けていくのです。

まずは、よく相手を見てください。そして、思い浮かべていきます。その人が生まれたときのこと。いろいろな体験をしながら、今ここに至っていること。その過程でその人が体験してきた喜び・悲しみ・怒り・苦しみ。そして、これから体験していく未来のこと。さらには、いつか死んでいくこと。

そんな思いで相手を見ると、今見えているモノ、例えばその人の着ている服や持ち物、お金、乗っている車や住んでいる家などの奥にある”人”が見えてきます。その人が行っている行動、話している言葉の奥にある“人”が見えてきます。気に障っていた行動や癖の奥にある“人”が見えてきます。

さらには、その人の持つ能力や才能の奥にある“人”が見えてきます。何かができる・できない、上手い・下手ではなく、その奥にある“人”が見えてきます。その人が持っている主義・主張、考え方などの奥にある“人”が見えてきます。自分と価値観が違ったりするかもしれませんが、その奥にある“人”が見えてきます。そして、最後には、その“人”そのものを見ているあなたに気がつくでしょう。

相手の都合を尊重することが売り上げにつながる

慣れないうちは、すぐに目に入るものに気をとられてしまいます。その人の姿、身なり、持ち物、振る舞いや行動、才能や能力、価値観や考え方などなど。しかし、生まれて、生きて、死んでいく存在としての相手を思い、その奥にある“人”としての相手に意識を向け続けてみてください。だんだんと相手を操作しようとせずに受け入れ、目先の結果に一喜一憂していない自分に気づくでしょう。

お客さまはお客さま自身の都合で商品・サービスを買いたくなります。決してセールスの都合ではありません。あなたがやるべきことは、お客さまを操作して買わせることではなく、相手の都合をしっかりと聴くことです。あなたが相手を操作可能な“モノ”としてではなく、自分と同じような“人”として大切に扱うとき、お客さまはあなたを信頼し、買いたくなったときにあなたから買ってくれます。

結果に追われ、ついつい相手を・モノ・として扱いがちな今こそ、自分に問い掛けてみてください。それが次のセールスに必ずつながっていきます。そしてこれはマネジメントでも同じです。部下を“人”として扱うことで、部下はあなたを信頼し、自発的に仕事をするようになります。

(『保険情報』2004年11月26日号に執筆した記事を一部修正のうえ、許可の上転載)

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