「男はつらいよ」が教えてくれること
日本型コミュニケーションの典型は、クッション型です。近代になると日本人は玄関近くに応接間をつくり、そこでお客さんを対応していましたが、それほど利便性のよいものではありませんでした。手持ち無沙汰でタバコをふかしていても会話は弾まず、それよりはむしろ、和室の床の間にある掛軸や生け花を見たほうがその家族の人となりを感知することができるので、そこから会話が広がっていたのです。寅さんの映画にしても和風建築のしつらいにしても、何かがクッションになり、座る・しゃがむといった会話のしやすい姿勢になることで、心理的安定を生み対話の糸口が見つけやすいものになるのです。ただ単にテーブルをひとつ置いて、そこに家族が座れば団らんが生まれるものではないということを、この映画は教えてくれています。
ガイド佐川のワンポイントアドバイス
リビングの角に段差をつけた畳コーナーなどを設け、リビングで椅子に座っている人と、和室で畳に坐っている人との目線の高低差を小さくして話しやすくすることがよくあります。【視線の高さを合わせる】 |
これが仮に段差もなく、床仕上げとしての畳だけだと、床に装飾したという認識だけでコミュニケーションは生まれにくいものです。
とらやの間取りにみられるように、空間に意味のある高低差をつけることで、コミュニケーションが生まれやすくなるのも事実です。近年はバリアフリーといっても、何でも平らでプレーンな住まいづくりが多いのですが、空間構成によっては、しっかりと段差をつけることも大事なのです。
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