あいまいな空間の大切さ

寅さんの映画が最初に公開されたのは1969年。かつて日本のどこにでもあった家族の連帯感や絆を思い起こさせてくれる映画です。寅さんの実家である草だんご屋のとらやは、いつ帰ってくるかわからない風来坊に対して、玄関や縁側がやさしく迎えてくれるつくりになっています。外から内に入った時の寅さんの何ともいえないハニカミや、タコ社長ののれんを分けて立つ位置と、チャブ台を囲む家族との三角形の目線の高さで、上手にコミュニケーションをつなげています。寅さんが帰ってきた時に「目のやり場がない」というのでは、コミュニケーションが成り立ちにくくなってしまいます。そのため再会のシーンは、玄関や縁側という内でも外でもない「あいまい」な境界にしていると考えられます。

【とらや】

【間取り術】
サザエさん(磯野家)の間取りから学ぶ
ドラえもん・野比家に学ぶ“現代間取り術”


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