静かな暮らしが営めることは、長く暮らせる家の大切な条件ですが、住宅間の距離が取りづらく、幹線道路や鉄道が網の目のように張り巡らされ、人の往来の多い都市部では、実現するのは難しいかもしれません。昼間はあまり気にならなかったとしても、深夜や早朝、車の音で目が覚めたりすることはよくあること。また、外からの騒音だけでなく、自分の家から出る音が近隣に住む人の迷惑になっていないかも気になるところです。そこで、今回は戸建て住宅の防音、遮音について考えてみましょう。

音の種類はさまざま

音にはさまざまな種類があり、空気を伝わって耳に響く「空気音」や、壁や床などの個体を伝わってくる「個体音」などがあるといわれています。また、音の感じ方は人によってさまざまですし、2階で歩いている音も家族なら気にならないなど、音の種類や騒音の理由によって、不快に感じる・感じないは違ってくるようです。

しかし、一般的に、住宅の防音・遮音といったとき、外からの音の侵入を抑制すること、家の中の音を外にもらさないこと、家の中における空間と空間の遮音の3つの側面から考えなければなりません。静かな暮らしを営むためには、この3つの防音・遮音が必要なのです。

新築住宅の遮音の第一歩はプランから

昼間はあまり気にならなくても、夜間は騒音が気になって眠れないということも。プランニングの段階で防音・遮音についても考えたいものです
静かな住まいにするには、音を遮断することが大切なのですが、音源を遠ざけることも有効な方法のひとつ。そのときポイントになるのはプランニングです。

敷地形状や方位、道路付けなどを変えることはできません。当然、家を取り巻く音環境も自分の力ではどうしようもありません。車や鉄道、通行人など外から入ってくる音を最小限にするには、敷地に対して建物をどう配置するか、リビングなどの空間をどこに設けるかなど、どんなプランにするかがカギを握ります。

プランを検討するときには、騒音の元となる道路や隣家から建物や空間を離すことを考えましょう。ただ、敷地は限られているので、騒音の元から離すといっても限度がありますね。その場合は、家の中でリビングや寝室のように滞在時間の長い空間をできるだけ離して配置するようにします。そして、音源に近い部分の開口部は最小限にするようにします。大きな窓を設けたリビングなどを幹線道路に面してとると、騒音が気になって居心地の悪い家になってしまうからです。

では、採光に最適な南面に接して幹線道路や鉄道がある場合はどうしたらいいのでしょう? 幹線道路や鉄道に対して防音壁をつくり、あくまで南向きに大きな開口部のあるリビングを設けることもできますし、内装材や開口部に防音性能の高いものを採用して、南向きリビングを実現することも可能です。けれども、リビングからの眺めが防音壁というのでは、何だか味気ないですし、防音壁を採用しない場合でも、頻繁に行き来する自動車や鉄道からの視線が気になっていつもカーテンを閉め切っているのなら、何のための南向きかと思ってしまいます。

こんな場合は考え方を転換し、思い切って南向き以外の方角にリビングを設けるのもひとつの方法です。「長く暮らせる家は北向きに限る?」でもお話しましたが、「江戸東京たてもの園」の西ゾーンにある常盤台写真場のように1年中「安定した採光」が可能な場合もあるのです。また、「27℃より30℃のほうが快適?」で紹介した「採光・通風シミュレーション」を活用することで、南面以外の方角に大きな開口部をもつ快適なリビングをつくることができる場所を探すこともできます。

わが家が騒音の元にならないように配慮する

一方、テレビやオーディオ機器を置くことが多いリビングは、逆に、自宅が音源になり、近隣に迷惑がかかる場合があるかもしれません。隣家と接して開口部の大きなリビングを設けることは少ないと思いますが、住宅密集地では防音性能の高い窓を設置したいもの。キッチンの換気扇は開口部を完全にふさぐことが難しいので、ここから外の音が入ってきたり、外部に家の中の音が漏れるということもあるようです。ですから、換気扇の位置は十分配慮して決めることが必要です。ピアノなど楽器を演奏することのある部屋の窓は、あまり大きなものにしないほうがよいでしょう。

また、家の中の音の問題としてよく取り上げられるのは、寝室や勉強部屋など。静かに過ごしたいなら、外の音源からも、家の中の音源からも遠い場所、つまり、家の中心に設けるのがよさそうです。トイレや吹抜け、リビングなど音が発生しやすい部屋から離したり、部屋と部屋の間に収納を設けるなどもよい方法。家のどこにどんな空間を配置するかは、毎日の生活をイメージして考えると失敗が少ないと思います。この場合も、騒音が気になる面の窓を小さくするなど、外からの音を遮ることに気を配ることも忘れずに。

次ページでは、防音・遮音について、さらに具体策についてみていきましょう。