現代の住宅はおしなべて、高気密・高断熱です。壁や天井には断熱材が入り、窓などの開口部の気密性は格段にアップしています。おかげで冷暖房効率も非常によくなり、今年の夏のように、厳しい暑さが続いても、冷房が行き届いた部屋で過ごすことができます。しかし、それが本当に快適な暮らしなのでしょうか? 今回は、本当の快適性について、少し考えてみたいと思います。


エアコンありの27℃ VS 自然の30℃

確かに今年の夏は、酷暑などと表現したくなるほど暑い夏でした。エアコンに頼りきりだったという方も多いはずです。しかし、夕方などに時折吹いてくる風を何とも心地よく感じたことはありませんか? 

また、スーツやネクタイを着用しなければならない仕事中はしかたないとしても、自宅でくつろいでいるときくらいは、できれば、風が通り、自然光のもとで、心地よく暮らしたいという方も多いのではないでしょうか。

おもしろい実験結果を紹介しましょう。

あなたは、次の部屋のどちらのほうが快適だと感じますか?

(1)室温27℃、窓を閉め、エアコンを使用
(2)室温30℃ 窓を開放、エアコン未使用
データ出典:旭化成ホームズ

この実験の結果、ほとんどの人が(2)の部屋のほうが快適と答えたそうです。室温だけを比べると、(1)のほうが低いにもかかわらず、(2)を選んだ人が多かったのは、自然の風が心地よかったからだと考えられます。

室温が高くても、自然の風が入ってくる環境のほうが、エアコンでコントロールされた環境よりも過ごしやすいと感じる人が多いというのは、ちょっと意外な気がしますか? でも、窓を開けたら思ったより涼しくて、風が気持ちいいいと感じたことはありませんか。この実験結果は、そんな感覚に近いことだと思うのですが、五感による快適さと、実際の室温とは、必ずしも一致しないということの証明でもあります。


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中庭に面してとった窓なら、全開にして、自然の風を楽しむことができます

どんどん高気密・高断熱化する現代住宅

以前の日本の家は、「夏を旨とすべし」のごとく、開口部を開け放し、風通しをよくすることで、夏、いかに涼しく快適に暮らせるかに重点が置かれていました。

しかし、現代の住宅は、住宅が密集した地域に建っていたり、交通量のある道路が近くにあったりと、住環境はかなり厳しいものがあります。窓を開け放すなど、とてもできないのが実情でしょう。特に都市部では、敷地そのものにも、余裕がないのが現状です。隣家や通行人など外部の視線が気になって、思い切って窓を開けられないという家にとっては、エアコンは必需品です。

そもそも、夏でも冬でも、エアコンによって家中どこも快適な温度に管理することができるのは便利です。

でも、前述の実験結果のように、本当の心地よさが自然の風を感じることだったとしたら、通風のよい家が理想ということになります。それでは、都市部の密集した住宅地では、窓を開け放せる、通風・採光のよい家は建てられないのでしょうか?

隣家の関係などの立地条件と、通風・採光のよい住宅との関連については次ページで。