あなたは20~30年後に、どういった生活をどんな空間で営んでいるか、想像できますか? もちろん、今の家に住んでいるとは限りませんが、20~30年後の住まい方を知ることができれば、これから家を建てる、もしくは購入する、あるいはリフォームするにしても、快適な住まいをつくることができるでしょう。これまで長く暮らせる家の必要条件について、いろいろな角度からお話をしてきましたが、今回は、築年数が経過したときの間取りについて触れていきましょう。

築20年で子供は独立。家には夫婦2人だけ

30代後半から40代前半までに家を建てた施主は、家が築20年になったときには50代後半~60代前半。会社員なら、定年を間近に控えているか、すでに退職しているわけですね。家を建てたときには、まだ小中学生かせいぜい高校生だった子供たちも、20年以上経つと30歳を越えていることもあるでしょう。すでに独立して、一緒に暮らしていないケースも多いはずです。ということは、夫婦2人きりで暮らしいているという可能性が十分に考えられるのです。

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子育てが終わると、夫婦2人きりで過ごす時間が増えるのではないでしょうか

家族が減り、夫婦2人きりで家にいる時間が多くなったとき、どんな暮らし方になっているのでしょう。これまで通りの間取りで快適に暮らしていけるのか、それとも不便な部分が出るなどしているのでしょうか? 実は最近、50代以上の夫婦が住まいの中でどんなふうに過ごしているのか、興味深い調査結果がありました。

個室があってもリビングダイニングで過ごす

下のグラフは、旭化成ホームズが2006年に夫が50代以上の夫婦(家族に18歳以下の子供のいない世帯)に行った調査の中で、最も自由時間を過ごす場所について聞いた結果です。夫も妻も7割前後の人がリビングダイニングで過ごしています。しかも、おもしろいことに約半数の家には、夫や妻の専用の個室があります。つまり、個室がある場合でも、意外に長い時間をリビングダイニングで過ごしているということがわかります。


資料提供/旭化成ホームズ ロングライフ研究所の調査より抜粋

では、夫婦ともリビングダイニングにいながら、何をしているのでしょう? 夫婦に共通のベスト3は、テレビを見る、新聞・雑誌を読む、読書です。ところが、いつも一緒にテレビを見ていたり、同時に読書をしているとも限らないようです。当然といえばその通りですが、夫がリビングでテレビを見ているときに、妻はダイニングで編み物をしていたり、夫がダイニングで書き物をしているときに妻はリビングで音楽を聴いているという具合に、お互いの気配が感じられる空間にいながらも別々のことをしながら過ごすことも多いようなのです。

夫も妻もリビングダイニングにいながら、常に隣同士や向き合っているとは限らない。同じ空間にいながら、少し距離を保ち、そして別々のことをして過ごす。どうやら、このパターンが心地よい過ごし方のようなのです。

この調査の結果から考えれば、リビングとダイニングは一緒の空間でありながら、お互いの行為が気にならない程度に距離が保てる広さがあるとよさそうです。そして、それぞれが好きなことに集中しながらも、お互いの気配が感じられるような設計の工夫があると、落ち着いて過ごせそうです。ここでいう設計の工夫とは、リビングとダイニングが連続した空間でありながらさりげなく区切られているというようなことです。そうすれば、夫と妻の視線が少しそれた分、それぞれに独立性が感じられ、互いに自分の時間を満喫できるでしょう。

さて、この調査をさらに読み込むと、夫は犬、妻は猫のようだとみることができるんです。さて犬と猫とはなんでしょう? それについては次のページで。