劣化イメージ
「長期優良住宅法」では構造の劣化対策が認定基準案の冒頭に掲げられている(写真はイメージです)
昨年11月に「長期優良住宅法(正式名:長期優良住宅の普及の促進に関する法律)」が成立、12月に公布されましたが、認定基準は、まだ検討中の段階です(執筆現在)。こうした国の動きに先駆ける形で、この認定基準案を意識した住宅が、ハウスメーカーを中心に多くリリースされています。法律文だけお話しても抽象的で分かりにくいので、今回は「構造躯体の耐久性」「維持管理の容易性」を意識したユニークな商品をご紹介します。

法律に合わせ各メーカーが相次ぎ発表

老舗の住宅メーカーながら、インターネット住宅をはじめ数々の先進的な取り組みをリリースしてきているエス・バイ・エルが08年12月、壁体内換気システムを邸別に組み込んだ長期耐久性プログラム「LOOP(ループ、Long owner programの略)」を発表しました。
壁体内換気システム
「空気は暖められると上昇する」という自然の力を利用した壁体内換気システム。床下と小屋裏の温度差を利用したエコなシステムだ(写真協力:この記事中いずれもエス・バイ・エル)

30年以上にわたる壁体内換気システムの実績と調査研究をもとに、個別の住まいの間取りや敷地条件・周辺環境までを壁体内換気パネルの設計システムに組み込み、邸別に最適な構造躯体の状態を作り出して耐久性を高める日本初のプログラム。本来は一邸一邸の置かれた住環境によって異なるはずの耐久性について、湿気のたまりやすいリスクをどうすれば軽減できるかを、個別の設計段階から計算するようにしたプログラムです。

解体作業イメージ
従来チェックが難しかった壁内部の劣化危険度を、定期点検により事前推定を可能にした
「LOOP」では、長期優良住宅法のモデルともなる「超長期住宅先導的モデル事業」で採択された技術を導入。自動吸放湿機能で壁内の湿度を常に40~60%に安定させる「ドライセル」の導入で、壁体内換気能力が同社調べで64.5%向上するほか、湿気の多いバス・トイレや日照の影響で危険度の高いスペースの壁には、「耐湿パネル」を重点的に採用するといった個別の敷地条件・周辺環境に応じた設計が可能になります。

入居後も躯体の乾燥度で継続チェック

耐久性を維持するのに肝心なのは、実は建築時よりも入居後。住み始めてからは、老朽化の危険度を構造躯体の乾燥度で見る「Revo見える図」を採用。危険度の高い部位を管理し続け、構造躯体の内部を点検する窓「Lupe」で構造躯体の健全性をチェックする、継続的なチェックシステムも併せて用意しています。

断熱材イメージ
構造パネルに通気口を設けて乾燥状態を保ち、内部結露を防ぐ
さて、この「LOOP」を理解するにはまず、同社が従来から取り組んできた壁体内換気システムについて理解する必要があるでしょう。「壁体内換気システム」とは、床下→壁内→小屋裏へと空気の通り道で家全体を包むことにより、太陽によって暖められた空気が下から上に循環し、壁内の湿気を含んだ空気を屋根の換気口から排出させ、その流れの吸引力で床下のクリーンで安定した空気を取り込むシステムのことです。

建物全体が呼吸するように、空気が家全体の壁の中を常に流れることで内部結露の発生を抑制し、目に見えない構造材や断熱材のカビ・腐食を抑え、結果、家の耐久性を高めるというものです。

注目すべきは、このシステムが「暖められた空気は上昇する」という自然の原理を生かし、全館空調システムのような、新たな電気エネルギーを一切必要としていない、非常にエコロジーなこと。高度な動力技術やエネルギーを必要としない、そのエコロジーさは、30年前の第一次オイルショック時代から引く継がれてきたシステムであることが物語っています。

では、この壁体内換気システムの歴史の長さを知るために、1970年代の開発当時に少しタイムスリップしてみましょう。