家とそこで育つ子どもの関係

頭のよい子が育つ家とか、明るく活発な子どもに育てる家といったコピーを目にすることがありますが、はたして、家とそこで育つ子どもの能力や性格は関係あるのでしょうか。私は、無関係ではないと思います。今回は、家が子どもに与える影響について、長く暮らせる家の視点で、私の考えを書いてみたいと思います。

楽しい思い出が子どもに影響を与える

小さいころの記憶として、年末の大掃除のときに母が障子を張り替えていたことや、クリスマスが近づくとツリーに家族みんなで飾り付けをしたことが思い出されます。また、生け花の得意だった母は、玄関先の目に付くところに季節ごとの花を活けていました。また、親子でパンを焼いたこともありましたね。
誕生日ケーキ

誕生日には両親がお祝いをしてくれたというようないい思い出や楽しかった暮らしは家に関する思いとリンクするものです

こういった多くの思い出が家に対する愛着につながるという話をこれまでにもしてきましたが、子どもにとっては特にどんな家で育つのか、そこで家族とどんなふうに暮らすのか、といったことが後に大きな影響を与えると思います。

「いい家」の定義によっても違いがあるかもしれませんが、私は、いい家=長く暮らせる家だと考えます。私の考える長く暮らせる家は、長く快適に暮らせる家に必要な6つの条件で説明したように、6つの条件が必要です。最も人格形成に影響を与えそうな幼少期から成人するまでの時期に、いい家であたたかい家族とともに過ごせるかどうかは子どもにとってとても重要なこと。いい家=長く暮らせる家の6つの条件を挙げつつ、いい家でいい子が育つ理由について説明していきましょう。

性能が高い家ならのびのびと子どもが育つ

例えば、いい家の1つめの条件である基本性能は、生活そのものを変えます。気密・断熱性がよい家なら、冬暖かく夏涼しく生活できるので、季節を問わず、子どもは快適にのびのびと過ごせるでしょう。家の中の温度差が小さければ、寒いとか暑いといった理由で動きが制限されることもありません。

また、防音・遮音性能が高ければ、楽器の演奏や音楽鑑賞など子どもが関心をもっていることを日常生活の中に気軽に取り入れられます。どんな家でも防音や遮音について近隣へ配慮する必要はあるでしょうが、遠慮するのと、配慮するのでは大きな違いがありますね。

耐震性や耐火性についても同様です。わが家の性能が高ければ、万一の場合にも命は守れると、安心感が大きいでしょう。

通風・採光のよい家で快適に暮らす

2つめは、通風・採光。日当たりがよく、自然の風が通る家は心地よく、快適なもの。通風・採光のよい家なら、日中の過ごし方も大きく変わってきそうです。

快適に生活できる家なら、子どもに限らず、わが家が好きになり、家で過ごす時間も増えそうな気がします。また、友だちを家に招いたり、すすんで掃除をしたり、インテリアに気をつかう気持ちのゆとりも生まれてくるでしょう。

広がりを感じられる空間が心のゆとりをつくり出す

3つめの条件として挙げている「広がりを感じられる空間であること」は、一見わかりにくいことですが、一番子どもの成長にとって重要なものだと思います。

家の中にボリュームの大きな空間があると、伸びやかな気分になったり、ゆったりとした気持ちになります。「ボリュームがある」とは、天井が高くて視線がタテに伸びるとか、部屋と部屋が緩やかに区切られて視覚的にヨコに広がるなどといったことです。広い家でなければいけないということではありません。一カ所でいいので、家のどこかにタテヨコに広がりを感じられる工夫をしたいものです。
階段

家の中に、吹抜けのようにボリュームのある空間があると、広がりを感じ、開放的な気分になります

取材で伺ったあるお宅では、子ども部屋はかなり狭い部屋でしたが、そのぶん1階のリビングは大きな吹抜けになっていて、実際の面積以上に豊かさを感じる家でした。キッチンも、階段も、廊下もリビングの一部として取り込まれているので、それはそれは広々とした印象で、こんな家に住みたいなあと思ったのを覚えています。

自分の部屋ができることでより成長する

私が長く暮らせる家の条件として4つめに挙げているのは、リフォームに対応する家であること。子どもの成長に伴って、それまで兄弟や姉妹で共有していた部屋を2つに分け、個室にするというケースはよくあります。

子どもが自分のおもちゃなどをしまう箱から始まって、リビングの一角に自分のコーナーになり、最終的に個室をつくったという家もあるでしょう。このようなプロセスを経るかどうかは別としても、自分のスペースが家の中にだんだんと確保されていく過程が子どもの独立心を育てます。個室ができたことがきっかけで、それまで親と一緒に寝ていた子どもが自分の部屋で眠るようになったという話はよく聞きますね。

また、東大合格者の多くは自分の部屋があったそうですから、勉強の面でも、ある程度のタイミングで個室または専用コーナーを設けてあげるのがよさそうです。
子ども部屋(男の子)

適切なタイミングで子ども部屋が与えられると、子どもはぐんと大人になった気がするようです

子どもが独立した後の子ども部屋の使い方については、間仕切りで区切ってふた部屋にしていたのをもとの広い部屋に戻し、主寝室や趣味の部屋として使うという場合も、最近では多いようです。将来の変化を予測して、子ども部屋は収納などで部屋を区切ったり、簡単なリフォームで壁の取り壊しができるようにしておくと便利です。

メンテナンスで家を愛する心が育つ

5つめの条件として挙げている、メンテナンスについての記憶も重要です。自分が育った家を両親が点検やメンテナンスによってしっかりと管理していたことを覚えていれば、良好な状態を保つにはどうしたらいいのかを考えたり、ものを長く愛する気持ちも育つでしょう。

子ども時代に家の点検やメンテナンスを行った記憶や経験がなかったら、将来、自分の家を持っても、手入れの必要性を認識していない可能性もあります。メンテナンスについての考え方が変わらなければ、築30年前後で建て替えられる家はいっこうになくならないと思います。
掃除

家族全員で掃除をしたり、手入れを日常的に行っていると、わが家に対する愛着が育つのではないでしょうか

 

家への愛着がものを大切にする気持ちを育てる

6つめの条件は家や家族に対する愛着。子ども時代によい思い出をたくさんつくってくれた家が基本性能を備え、今もなお快適に暮らすことができる家ならば、その家に愛着を持ち続けられるでしょう。その後、自分がその家を引き継ぐことになったときにも愛着のある家を大切にしていくはずです。また、独立して自分の家を持ったとしても、新しい家に愛情をもって、大切に維持していこうという気持ちが生まれるのは自然なことでしょう。そして、こういったことの蓄積がすべてのものを大切に長く使うという気持ちにつながっていくのではないかと思うのです。

基本性能や通風・採光、広がりを感じる空間などは、暮らし始めてしまえば、当たり前のことになってしまい、ありがたさを実感することはなくなってしまうかもしれません。けれども、子ども時代に過ごした家が「家とはこういったものだ」というイメージをつくり出す基礎になるものです。そう考えると、どんな家で育つかということは、案外大きなことだと思うのです。

もちろん、ここで挙げた6つの条件を具体的にどのようなレベルにするのか、どういった形で取り入れるのかは人それぞれです。何より、いい家があっても、いい家庭がなければ、いい子は育たないでしょう。でも、長く暮らせるいい家を建てようという考えは、子どもの成長や家族の幸せを願う気持ちがなければ生まれない発想です。そういった意味でも、家を建てるときには、よい子が育ついい家を建ててほしいと思います。

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