長期優良住宅/長く暮らせる家

スケルトン・インフィル住宅のメリットは?

住宅やマンションのカタログでよく見かける「スケルトン・インフィル」住宅。どんなしくみなのかという基本を説明するとともに、よい点と課題となる点の両面について、考えてみましょう。

大塚 有美

執筆者:大塚 有美

長く暮らせる家づくりガイド

最近の住宅やマンションのカタログによく出てくる言葉のなかで、その言葉の意味がよくわからない、または、意味はだいたい知っていても、それが実際にどのように重要なのかは、今一つわからない、といったことがあります。これからは、そういった言葉を、ロングライフ住宅という視点で考えてみたいと思います。今回、考えるのは「スケルトン・インフィル」です。

オランダからやってきた!?

「スケルトン・インフィル」の概念は、書籍や雑誌、インターネットでたくさん説明されています。All Aboutの住宅用語集でも、「建物を構造体と内装・設備に分けて設計する考え方のこと。 スケルトンは骨格のことで、構造体を示し、インフィルは内外装・設備・間取りのこと」と説明されています。

「スケルトン・インフィル」は、もともとは、マサチューセッツ工科大学名誉教授のオランダ人建築家、ニコラス・ジョン・ハブラーケンが1960年代に提唱した「オープンビルディング」思想からきた概念だといわれています。

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構造体と内外装・設備・間取りを分けて設計するのがスケルトン・インフィルの考え方です

「オープンビルディング」原理は、空間を、街並み(ティッシュ)・住宅建物(サポート)・住戸(インフィル)の3つのレべルに分離して考え、それぞれのレベルごとにふさわしく、互換性や耐久性などの性能を適切にデザインし建設しようというものだそうです。主旨として、これからの社会が持続的に発展し、住生活が豊かで快適なものになるように、建物を合理的かつ有効に活用できるようにつくることを目指しています。

つまり、建物を長期的にかつ有効に利用していこうと考えると、寿命の長い躯体と、短い内装・設備を分けて考えたほうが合理的ということなのでしょう。これは、建物と内装・設備の関係を、箱とその中身と考えるとわかりやすいと思います。箱はなるべく頑丈で長持ちするようにつくり、箱の中は比較的自由に変更できるようにしておいたほうが良いという考え方です。

ロングライフ住宅には欠かせない概念

合理的・有効的に建物を長期に使用していこうという「スケルトン・インフィル」は、ロングライフ住宅には欠かせない概念といえます。なぜなら、住戸を利用する人の生活スタイルが30年以上にわたって変化しないということは、考えられないからです。また、設備を30年以上使用しつづけることも、考えにくいですね。長期間使っていると、壊れたり、使いやすい機能を備えた最新型に買い替えたりしたくなるからです。

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ある程度の築年数が経ったときに設備機器を簡単に交換できれば、快適に便利に生活できそうです

例えば、今あなたが見ているテレビを、30年後も使っていると思いますか? これは絶対NOでしょう。それと同じで、住宅設備の寿命は長くても30年程度なのです。でも、建物は、ロングライフ住宅なら60年以上もつのです。内装・設備や間取りが簡単に変更できる「スケルトン・インフィル」住宅のほうが快適なわけです。

現在、少しずつ「スケルトン・インフィル」住宅が建設されています。ただ、新しい「スケルトン・インフィル」住宅についても、雑誌やパンフレット、チラシで見る限り、疑問や不安に思う部分があります。それについては次ページで。

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