疑問その1 給排水管の交換

スケルトン・インフィル住宅のメリットは、構造体である「スケルトン」と、内外装・設備・間取りである「インフィル」が切り離されているため、内装・設備や間取りが「簡単に変更できる」こと。まず、一つ目の疑問は「簡単」というところです。

例えば、スケルトン・インフィル住宅の「設備」には、給排水管も含まれています。最近では、給水管はサヤ管ヘッダー工法という方式を採用することで、簡単に交換できます。では、排水管はどうでしょうか?

排水管の寿命は20~30年といわれています。戸建て住宅の排水管は塩ビ管が一般的ですが、熱湯や油脂類を頻繁に流すと、劣化が早まるともいわれています。いざ交換しなければならなくなったとき、どのように交換すればいいのでしょうか? また、排水管の末端は家の床下を通って、土中に埋まっているわけですが、この状態で交換はできるのでしょうか? 仮に交換できても、かなりの費用がかかりそうです。

0446.jpg
水道管やガス管は土の中を通って、基礎を通って、建物内に入ります

水道管(給水管)やガス管も同じです。土中の本管から住宅に引き込まれる際、基礎などのコンクリート部分に埋設されている所があるなら、交換は「簡単に」とはいえないでしょう。また、上下水道、ガスとも本管は土中埋設です。そこから各住宅に配管されるわけですが、新築のとき、道路に埋まっている本管から自分の住戸までは自費で配管しなければなりませんし、管が老朽化して交換が必要なときも、費用は自分で負担しなければなりません。ということは、管の交換は、単純に屋内だけを考えればいいのではなく、土中に埋まっている部分や基礎を通っている部分も含めて、交換が「簡単に」できるというのが、理想的なスケルトン・インフィル住宅ということができます。そういった点から考えると、現在、最も進んだ考え方で建てられているスケルトン・インフィル住宅でも、まだまだ改善されなければならない点があるといえますね。

ちなみに、スケルトン・インフィルではない住宅の配管の交換については、戸建てよりマンションのほうが深刻です。戸建ては、オーナーが原則として一世帯ですし、管の本数も少なく、配管も複雑ではないので、いざ交換するというときに、実行しやすいでしょう。しかし、マンションの場合は共用の排水竪管がたくさんあります。この排水竪管が各住戸の専有部分の中を通っている場合(既存の多くのマンションはこうなっています)、排水竪管を交換するのは容易ではありません。壁を壊したり、内装をはがすことになるでしょうから、ばく大な費用がかかるはずです。

疑問その2 間取り変更の費用

間取り変更の点でも「簡単」が気になります。スケルトン・インフィル住宅でも、住宅内を普通の壁で区切ってある場合、その壁を取り外して間取り変更するリフォーム費用はどのくらいになるでしょうか?  そのときのリフォーム費用が一般の住宅(例えば木造軸組の住宅など)の壁を取り外す費用と同程度だったら、「スケルトン・インフィルなら、簡単に間取り変更ができる」とはいえないのではないでしょうか。

もちろん、間取りの自由度はスケルトン・インフィル住宅のほうが上ですが、普通の木造軸組住宅でも、耐力壁となっていない壁は取り外して間取り変更をすることは可能です。ただ、高度な可変性をもっていても、実際の間取り変更に多くの費用がかかるのであれば、可変性が高いとはいいきれないと思います。

スケルトン・インフィルの将来性に期待

これまで、スケルトン・インフィル住宅に対するいくつかの疑問があることをお話してきましたが、それでもスケルトン・インフィル住宅のもつメリットを考えると、最も進んだ考え方の住宅だといえると思います。なぜなら、長寿命の躯体に、変化を前提とした内部を組み合わせる考えは、やはり合理的だからです。ここで疑問としてあげた部分は、実際に住宅メーカーや設備機器メーカーでも検討されているようで、恐らく技術的には近い将来解決できるでしょう。加えて、「簡単に」替えられる内装や設備は各自の好みに合わせることも容易ですから、長く暮らせることにつながるからです。

また、国土交通省でも「世代を超え利用可能な100年住宅の普及を主要施策と位置付け、その主要方策の一つとしてのスケルトン・インフィル住宅の開発・普及に取り組んでいる」ようですので、今後さまざまな取り組みにも期待したいものです。住宅も性能的には自動車と同じような工業製品ととらえられ、設備などの消耗品を交換しながら、長く愛され、住み継がれていく時代がきて欲しいと思います。


投資未経験者限定で、オンラインインタビューを受けていただける方を募集中!
ご応募の際に事前に投資意向調査アンケートにご回答いただきます。
投資に興味がない方から興味がある方まで幅広く受け付けております。
※謝礼は10,000円になります(最大10名まで)

ご協力いただける方はこちらから回答をお願いいたします(回答期限は2021年3月1日15時まで)


※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。