◆「カルテ」がない家は売却額が安くなってしまう?

同じ築年数の中古住宅でも、高く売れる家と安くなってしまう家がありますが、これはなぜなのでしょう? もちろん、駅からの距離、敷地面積などの立地条件、築年数や、木造かRC造などなど、価格を決定するにはさまざまな要素があり、一概には言えません。けれども、中古住宅の仲介をしているM社のM.Kさんによると、同じような条件下の住まいでも差が出ることがあるのだそうです。

それは「メンテナンス」。きちんとメンテナンスをしてきたかどうかで、価格に差が出ることが多いのだそうです。でも、「きちんとしたメンテナンス」は、どうしたらできるのでしょうか。M.Kさんは、「きちんとメンテナンス」されている家と「家のカルテ」と言える書類には、深~い関係があるのだと言います。

では、「家のカルテ」とは?

新築時の状態をいつまでも維持するために必要なのは…


住宅などの建築には、平面図や配置図をはじめ、たくさんの書類が必要です。なぜなら、家を建てる前には必要な書類を用意し、建築地の該当する役所などに建築確認申請書を提出しなければならないからです。その後、建築確認が下りてはじめて着工できるわけです。

実は、こういった、建築確認申請のために必要な多数の書類が「家のカルテ」となるのです。
これらの書類は、家を建ててしまった後は必要のないものなのでしょうか?

◆カルテが保管されている家は売却額が高い?

これらの書類は構造のようすや、設備・仕様が書き込まれていて、その住宅の成り立ちをあらわします。そして、これらは建築後の住まいを維持していくために重要なもので、この書類をきちんと保管しておくと、10年、20年後になって役立つことがあるのです。

前述のM.Kさんによると、住まいを定期的にメンテナンスをしている方ほど、平面図や立面図などの家に関する書類をきちんと保管している場合が多いそうです。そして、書類をもとに、築年に応じて適切な手入れをしているかどうかは、中古住宅の売却額に大きく影響があるのだそう。同じ築年数だったとしても、手入れの行き届いている家のほうが高く売れる可能性があるのです。

◆「カルテ」は各場面でどう役立つのか?

次に、「家のカルテ」と呼ばれる書類がどう役立つのか、具体的に説明していきましょう。

(1)リフォーム時
築年数が進むと、いろいろなところが老朽化し、メンテナンスやリフォームが必要になってきます。例えば、間仕切り壁をとって部屋を広く使えるようにしたいと思っても、その壁が筋交いの入っている壁なのか、取り外せる壁なのかどうか、解体前に知るには、平面図などの書類があると便利です。また、フローリングが傷んだ部分をリフォームしたいとき、現在使われているフローリングのメーカー名や色がわかれば、それと同じものか、できるだけそれに近いものを補修部分に採用することができ、既存部分と補修部分の色や質感を合わせることができるでしょう。

さらに、外壁を再塗装しようとしても、以前に塗装したのは、いつなのか、塗料はどんなものなのか、例えば、こういったリフォームや修繕の記録も追記しておけば、さらに20年、30年後も役立つはずです。

リフォームの記録も「わが家のカルテ」に追加して、大切に保管しておけば、売却時にセールスポイントとしてアピールできますね


(2)売却時
住宅を売らなければならないときにもメリットになるはずです。古い住宅になればなるほど、現在の建築基準法とは異なる基準で建てられた可能性があり、眺めただけではわかりにくい部分に買う側の人は不安を抱くこともあるでしょう。しかし、矩計図があれば基礎の高さや鉄筋の有無などがわかるので、ほかの物件との正確な比較検討ができ、安心できますね。また、どんな設備・部材が使われているかという仕様が正確にわかる書類がそろっていれば、将来、設備機器を交換するような場合でも、排水管や配線の具合がわかり、トラブルが起きる心配も少なくなるでしょう。

(3)点検時
建築後の定期的なメンテナンスの際にも、構造や使用している部材などがわかれば、交換時期の目安などを把握できるので、最適な時期に適切な方法でメンテナンスをすることができます。

また、中古車を売るときに整備記録のある車は高く売れることがあるように、住宅も建築後、いつ、どのようなメンテナンスをしてきたかという定期点検の記録があれば、それもプラスの材料となるでしょう。

では、「家のカルテ」とも言える書類には、どんなものがあるのか、次のページでみていきましょう。