長期優良住宅/長く暮らせる家

「家のカルテ」といえる多数の書類、保管していますか ないとソンする? わが家の記録(2ページ目)

建築確認申請にはたくさんの書類が必要です。この「家のカルテ」とも言える書類は保管し、必要な場合にすぐに取り出せるようにしておきましょう。築年数が経つと、いろいろと役立つことがあるのです…。

大塚 有美

執筆者:大塚 有美

長く暮らせる家づくりガイド



◆建築確認申請に必要な書類はこんなにある!

建物を建築するにあたっては、工事を始める前に、役所の担当部署(建築指導課というような名称がついています)に、下記の書類をそろえて提出しなければなりません。

◇建築確認申請に必要な書類
・概要書 →地名地番、用途地域、建物の高さ、各階の面積などを明記した書類
・案内図(付近見取り図ともいう) →建築場所とその付近の状況を示す地図
・配置図 →敷地に建物がどのように配置されているか示した図
・平面図(簡単な内外装などの仕様書つき) →建物の間取りを示す図
・立面図(ロフトがある場合は断面図も必要) →建物の外観を示す図
・シックハウス法関連書類一式 →使用制限のある建築材料や換気設備についての書類

この建築確認申請とは、建てようとしている建築物が、建築基準法の規定に適合しているかどうかを行政が判断するための手続きです。この建築確認申請は、建築主が提出することになっていますが、実際には代理人として住宅メーカーの担当者などが手続きを行います。

家を建てるときには、平面図や立面図をはじめとする、たくさんの書類が必要になります


住宅金融公庫を使って家を建てる場合は、次の書類も必要です。

◇住宅金融公庫を利用する場合に追加する書類
・矩計(かなばかり)図 →建物の垂直断面図。地盤面、基礎、床、柱、開口部、天井、屋根など各部分の高さや寸法を示す図 
・筋交い計算書 →地震などに対する強度が建築基準法で定める基準を確保しているかを示す図

また、建築する建物が木造でない場合は、構造についての書類も提出しなければなりません。

◇3階建て、鉄骨造、RC造の場合に追加する書類
構造計算書 →建築物に荷重や外力がかけられた場合、構造躯体の各部分が受ける力の大きさや、各部材の応力について計算した書類

さらに、ホームエレベーターや、浄化槽を設置する場合は、それに関する書類も必要です。

◇ホームエレベーターを設置する場合に追加する書類
工作物としての届け出 →建築基準法で定める仕様になっているかどうか、構造や仕様などについて示した書類で、建築前に申請するためのもの

◇浄化槽を設置する場合に追加する書類
設置申請の書類 →保健所へ浄化槽設置の申請をするための書類

通し柱の位置や、基礎の構造がどうなっているかも、書類があれば解体することなく、把握できます


◆書類の保管は長く暮らす家にとって必要なこと

建築確認申請のためにはかなり多くの書類を用意しなければいけないということがわかっていただけたでしょうか。建築確認申請に関わる書類は、役所に提出したものと同じものを工事現場に置かなければならないことになっています。そして、工事が終わって建物が完成した後、登記のときにこれらの書類が必要になります。そして、登記後、書類一式は施主のところに戻ってくるのです。

また、建築時の書類をずっと保管していると、いろいろな場面で役立ちそうだということも説明してきました。建築確認申請のときに、役所に提出した書類があるので、自分で保管する必要はないと考える方がいるかもしれません。しかし、建築確認申請の際に役所に提出した書類は、10年しか保存されないそうです。また、住宅メーカーや工務店でも、その会社が施工した建築物のすべてのデータを保存しているところはごく一部しかないようです(自社が施工した物件の全データを保存している会社はすごいですね)。

ですから、長く快適に暮らすためには、こういった書類は、施主が大切に保管しておき、必要なときにすぐに取り出せるようにしておくこと。そして、書類をもとに定期的なメンテナンスをしていくことが築年数が経過しても住まいを快適に維持していくことにつながるのです。
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