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ウイスキー&バー/ウイスキー、おススメのこの一瓶

グレンフィディック蒸溜所とグラント家の先駆(2ページ目)

前回「グレンフィディック」の新製品(2016年1月26日発売)を紹介したので、今回はグレンフィディック蒸溜所の設備、製法、職人に関してのお話をしたい。大規模な設備に、細部に宿る職人気質をお伝えする。

協力:サントリー
達磨 信

執筆者:達磨 信

ウイスキー&バーガイド

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シェリーのソレラシステムをウイスキーに応用

グレンフィディック15年ソレラリザーブ

グレンフィディック15年ソレラリザーブ

前ページで紹介した小型ポットスチルによって溜出したニューメイクは、オーク樽に詰められてく。その樽種はとても豊富だ。
プレーンなアメリカン・ホワイトオーク樽、バーボン樽、そしてシェリー樽などで貯蔵熟成をおこない、さまざまな香味特性を抱いたモルトウイスキーが誕生させる。シェリー樽は2種。オロロソとペドロヒメネスの熟成に使用された樽を揃えている。樽の品質管理も徹底されており、たとえばシェリー樽の圧力テストの際には水ではなくシェリーを使うほどだ。
グレンフィディック蒸溜所のさらなら特長はオークの後熟用大桶(バット/タンク)にある。容量2000リットルものタンクで、豊富な樽種で熟成したモルトウイスキーをこのタンクにヴァッティング(ブレンド)し、約9ヵ月寝かせる。こうしてマリッジすることにより、それぞれの香味特性が熟(な)れて調和するのと同時に、品質の安定性をもたらす。
とくに先駆的なのは「15年」。シェリーの熟成で知られるソレラシステムをはじめてシングルモルトに応用して誕生している製品であり、ソレラバットに約6ヵ月後熟させている。瓶詰めして製品化する際にはここから5分の1ほど抜き取る。空いた分はまた補充。こうして香味の滑らかさと品質の安定性を維持していく。

銅職人に樽職人を要す、クラフトマンシップ

グレンフィディック銅細工職人

グレンフィディック銅細工職人

職人魂も不変だ。ポットスチルを管理する銅細工職人を擁している。また敷地内に所有する製樽工場には熟練の樽職人が揃い、若手の育成も怠らない。
しかも「グレンフィディック15年」「18年」は最終の瓶詰めまで蒸溜所内でおこなう。つまりアルコール度数調整に仕込みに使うロビーデューの泉の水を使用でき、製造から出荷まで、徹底した品質管理を実現していることになる。
時代の変遷とともにウイスキー事業のさまざまな面で専門分野が誕生してきた。その潮流にすべてを委ねることなく、スコットランドのモルト蒸溜所最大規模の設備を抱きながら伝統製法を守り抜き、蒸溜所内で最終の製品化まで一貫しておこなってきている。
グレンフィディック製樽職人

グレンフィディック製樽職人

スコッチの世界的なシングルモルトウイスキーで、ここまで完遂しているブランドは他にない。だからこそシングルモルトウイスキーの先駆者(『グレンフィディック オリジナル日本新発売6/9』の記事参照のこと)としてのプライドは煌めきつづけ、コンテストでの最多受賞歴を誇る地位が揺らぐことがない。
次回記事では、グレンフィディック蒸溜所と同じ敷地内にある、グラント家第二の蒸溜所、ザ・バルヴェニー蒸溜所(1892年創業)を紹介する。

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