香りの歴史
クレオパトラ・楊貴妃・小野小町……香りを武器に生きた女性達
宗教儀式として用いられたほか、病気の治療や恋の媚薬として、時には権威を示す道具として政治の世界でも利用されてきました。
クレオパトラ・楊貴妃・小野小町……世界三大美女と香り
絶世の美女と呼ばれた彼女達が、香りをどのように愛用してきたのでしょうか。- クレオパトラ
クレオパトラも愛した薔薇
クレオパトラがこよなく愛した香りとしては薔薇が有名ですが、当時のエジプトではとても希少価値の高い存在でした。そんな薔薇を、アントニウスを迎える部屋に、膝が埋まるほどの厚さまでいっぱいに敷き詰めて迎えたというエピソードはあまりにも有名です。聞いているだけでも、とてもロマンティックな話ですが、薔薇の甘くうっとりとした香りは、ローマ皇帝など時の権力者達も魅了したと言われています。
- 楊貴妃
楊貴妃も美容と健康のために飲んだといわれるハス
楊貴妃が身にまとっていたのは、「麝香」と言われていますが、麝香は、雄のジャコウ鹿の腹部にあるジャコウ腺から採取した分泌液を乾燥させたものです。甘い香りで、香りを永く持続させる効果があるため香料には欠かせないものとして重宝されてきましたが、現在は絶滅危惧種としてワシントン条約によって取引が厳しく管理されています。
麝香の「麝」とは、ジャコウの香りが矢を射るように遠くまで飛ぶという意味で、繁殖期に雄のジャコウ鹿が、雌に自分の居場所をアピールするために生産されていると考えられ、性フェロモンの働きをしているのではないかと言われています。
- 小野小町
小町が好きだった芍薬
この時代、香りを着物や扇子、恋文に付けて楽しんだり、香りによって身分や恋人を見分けたとも言われています。
小野小町には「深草将校の百日通い」が有名なエピソードとして今に伝えられています。小町に熱心に求愛する深草将校に小町は、「私のもとへ百夜通ったなら、あなたの意のままになろう」と告げます。毎夜、小町のもとへ通いますが、最後の晩に深草将校は思いを遂げることが出来ないまま息絶えてしまうのです。とても悲しいお話ですが、深草将校を、そこまでも魅了した香りとは、いったいどのようなものだったのでしょう?
沈香(沈水香木)は、香木で、特に質の高いものを「伽羅(きゃら)」と呼び、日本では、正倉院にある「蘭奢待(らんじゃたい。黄熟香(おうじゅくこう)とも呼ばれる)」が天下一の名香と謳われています。
白檀は、仏像や仏具、扇子に用いられる香木で、甘くウッディーな香りが、心を穏やかに鎮めるため瞑想によく使用されています。「芍薬」は、深草将校が小町に送った花と言われています。
- ナポレオンとジョセフィーヌ
香りが与える影響の大きさを物語るエピソードですが、彼の好きな香りをあなたは知っていますか?
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