地震災害の補償(保障)は共済にもある

県民共済の地震保険、全労済 地震保険(こくみん共済coop)、JA共済

共済の地震保険とは?県民共済の地震保険、こくみん共済coop(全労済)の地震保険、JA共済の保障

地震保険のように地震等に備えるのは、損害保険会社の地震保険だけではありません。
住まいへの備えには、各都道府県民共済、JA共済、こくみん共済coop(全労済)など……各種共済でも地震災害をカバーする補償をつけることが可能です。

ただし、損保の地震保険と共済の地震の補償(保障)は内容が全く違います。各共済の地震災害に対する補償(保障)はどうなっているのか、県民共済、JA共済、こくみん共済coop(全労済)の地震保険について解説します。
  ※一般的に損保では補償(生保は保障)、共済はすべて保障という言葉を使いますがこの記事では便宜上、補償で統一して記載します。
 

共済と保険の違いとは?

はじめに共済と保険の違いを簡単にお話ししておきます。
  • 共済……一定の地域や職域など特定の人を対象に非営利で事業。例えば、JA共済なら農協の組合員など、県民共済ならその都道府県に住まいや職場がある人など
  • 保険……不特定多数の人を対象に営利事業
共済が特定の人を対象にしていると言っても、組合員になれば加入できるので(組合費の支払いなどが必要)、ものすごくハードルが高いというものでもありません。

損保の地震保険は国がその仕組みに関与しているため、補償内容や保険料、保険金支払いの仕組みは各社共通です。各共済はそれぞれの火災共済の中に地震の補償を組み込んでいます。
地震保険と各共済の地震災害の補償は、補償される金額や保険金(共済金)の支払い基準など根本的な仕組みが違います。
 

県民共済(都道府県)の地震保険

都道府県民共済の住まいの補償には、新型火災共済があります。この新型火災共済では、地震等の場合に見舞共済金が支払われます。具体的な条件は次のとおりです。
  • 地震等による加入住宅の半焼・半壊以上の損害(加入額の5%の範囲内で最高300万円)
  • 一部破損は一律5万円(加入額100万円以上の場合)
  • 死亡・重度後遺障害には1人100万円(合計500万円)
これらの補償のうち3つめは人の体に関連することですので、上2つを見てみましょう。対象となるのは地震等による半焼・半壊ですから、ある程度大きな損害を被ったときという理解が必要です。

損保で付帯する地震保険では、全損・大半損・小半損・一部損という区分で保険金を支払いますが、県民共済では主に半焼・半壊以上かそうでないかの区分けということです。

保険金は「加入額の5%の範囲で最高300万円」となっています。例えば30坪の住宅の場合、住宅の補償は2100万円になります。これの5%というと105万円になりますから、半焼・半壊以上の損害であれば、この金額が支払われるということです。

少ないと感じた人もいるでしょうが、もともとの掛け金が安いのと、決算後に剰余金が割り戻されるのを考えれば、一概に魅力がないというものでもありません。保障を取るか掛け金の負担を軽減する方を取るか、ということです。

県民共済(都道府県)については文字通り「見舞金」ですし、最高300万円ですから、ここを認識しておく必要があります。損保の地震保険も根底にある考え方は生活再建です。そのための金額としてこの金額をどのように考えるかでしょう。
 

JA共済の地震保険

JA共済は「建物更生共済むてきプラス」がメイン商品です。他の共済と異なる点は、積立型の保険(期間満了時に満期返戻金が受け取れて貯蓄性が高い)であることです。

また、建物・家財だけでなく設備什器や畜舎・堆肥舎などに地震損害の補償を付帯できるのも特徴です(ここはJAならでは)。積立型の良し悪しはありますが、5%以上の損害があった場合が支払い対象です。共済金の支払いは、契約金額と損害額などから所定の計算式に基づいて算出しますが、損害額の50%が限度です。こちらも補償そのものは決して多いわけではありません。

積立型は満期返戻金を受け取るまでの間の負担がどうしても大きくなります。また運用環境が悪い現在の状況だと積立は多少不利な部分もでてきます。元本割れの可能性もあるのでトータルでいくら掛金を支払って、満期でいくら戻ってくるのか必ず計算してください。
 

こくみん共済coop(全労済)の地震保険

全労済(全国労働者共済生活協同組合連合会の略称)は2019年6月1日から、新しく「こくみん共済coop」という愛称を作りました。こくみん共済は生命・医療系の主力商品名のことで、これに協同組合を意味するcoop(コープ)をつけたものです。

全労済という略称の使用は少しずつ減らしていくようですが、こくみん共済coop=全労済だと認識してください。こくみん共済coopの主力商品は「住まいる共済(新火災共済+新自然災害共済)」です。

地震災害への補償は新自然災害共済の付帯が必要ですが、これには大型タイプと標準タイプの2つがあります。具体的な補償(地震等共済金)は次のとおりです。

■大型タイプ(支払限度額)
  • 全壊・全焼:1,800万円
  • 大規模半壊・大規模半焼:1,080万円
  • 半壊・半焼:900万円
  • 一部壊・一部焼:180万円
■標準タイプ(支払限度額)
  • 全壊・全焼:1200万円
  • 大規模半壊・大規模半焼:720万円
  • 半壊・半焼:600万円
  • 一部壊・一部焼:120万円
大型タイプくらいの補償があると、地震保険と比較して一般的な住宅であれば高額物件を除いてそんなに遜色(そんしょく)はありません。

ただし、保険金を支払う基準が損保では「全損」「大半損」「小半損」「一部損」、県民共済では「半焼・半壊以上かそうでないか」と異なっていたように、住まいる共済も両者とは少々異なります。具体的には「全壊・全焼」「大規模半壊・大規模半焼」「半壊・半焼」「一部壊・一部焼」の4基準です。

それぞれ損害割合によってどの区分になるか決まりますが、一部壊・一部焼については、100万円以上の損害(割合ではなく金額)があった場合が対象です。この他に地震等特別共済金というものがあり、住宅等の損害が20万円超100万円以下の場合、1世帯当たり大型タイプで4.5万円、標準タイプで3万円が支払われます。
 

共済と損保の地震の補償で共通していること

個別の共済の商品について解説しましたが、損保の地震保険と共通していることもあります。それは、軽微な損害は対象にしていないということです。損保の地震保険では、損害の程度が一番軽い一部損の基準に満たなければ保険金はゼロです。県民共済では半壊以上、こくみん共済coopでも100万円以上の損害がなければ僅かな共済金の支払いだけです。

地震災害の特性上、被害が広域に拡大するため仕方のないことですが、この点はよく覚えておきましょう。

被災した際に支払われる共済金(損保では保険金)で、同じ住まいを建て直すためにはいずれも不足します。生活を立て直すために自分の場合にはどの程度必要かという視点から考えてみてください。
 

結局、県民共済、JA共済、こくみん共済coop(全労済)の地震保険はどうか?

県民共済、こくみん共済coopの場合、剰余金の割戻などもありますから、掛け金の負担は軽めなのが特徴です(JA共済の建物更生共済は積立なので別)。
この記事の中でも「補償」か「掛け金の負担軽減」をとるかということを書きましたが、そもそも、補償を手厚くすれば掛け金は高くなるので、どちらも同時に求めることはできません。

損保の地震保険も、保険金で建物を再築するのではなく、生活再建の足掛かりにする、ということを主旨にする制度です。
被災後に生活を立て直していくためにどのくらい資金が必要なのか、住宅ローンなどの借り入れがあるならどうするのか、資産状況や被災後収入がどうなるかなども含めて判断してください。

単に自宅を建て直すという視点や掛け金の負担だけで考えると基本的なところを見失います。損保の地震保険は改定が続いています。2019年1月には保険料率が改定され(3段階2回目)、その後3段階3回目の改定も予定されています。

地震災害に対する保険と共済のどう違うのか適宜比較して、何が自分に合うかどうか考えてみましょう。最終的にはそこに予算をすり合わせて共済か損保か、また加入そのものをどうするか判断していくことになるでしょう。
 

共済契約と地震保険料控除の適用条件

損害保険では火災保険に付帯して地震保険に加入していると地震保険料に相当する部分は、「地震保険料控除」の対象となります。地震「保険料」控除という名称ですが、基本的な考え方は共済でも似ていて、条件を満たしているものについては、共済契約における掛金も地震保険料控除の適用対象となっています。

具体的には、本人(本人と同一生計の配偶者やその他の親族を含む)が所有していて、常時居住している建物や家財を目的とする共済契約は地震保険料控除を適用することができます。

ただし、この場合の共済契約は、地震等をカバーする部分に相当する共済掛金だけが控除の対象です。火災共済の中に地震損害をカバーする補償がありますが、火災共済部分は地震と関係ないため、全体が控除されるわけではありません。

こうした点は損保と共通ですが、あくまで地震保険料控除の対象になるのは、地震部分の掛金だけですので勘違いしないようにしてください。また申告書の記入については「地震保険料控除証明書の正しい見方と確認すべき事項」「地震保険料控除の書き方・記入例」を参考にして下さい。

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