個人賠償責任保険とは?その支払い事例

日常生活の中で他人(いわゆる第三者)に対してケガをさせたり、人のモノを壊してしまったりして法律上の損害賠償義務を負うことがあります。これをカバーする保険が個人賠償責任保険です。

具体的に個人賠償責任保険の支払い事例には次のようなものがあります。
  • マンションで洗濯機の排水ホースが外れて階下に水漏れ
  • 飼い犬が散歩中、通りがかった人に噛みついてケガをさせた
  • 買い物に行った際、誤って商品を落として壊してしまった
  • 自転車で駅に向かう途中、人にぶつかってケガをさせた
  • スキーをしていて人にケガをさせた
  • 立食パーティでトレーにのっていた食事を落とし、人のドレスを汚してしまった
  • 子どもがキャッチボールをしていて人の家の窓ガラスを割ってしまった
挙げていけばキリがありませんが、こうしてみるとどれも身近にありそうなトラブルです。

私たち個人がこうした事故やトラブルで法律上の損害賠償責任を負った際、対応する保険が「個人賠償責任保険」(※)です。今回はこの保険の中身を見ていきましょう。

※個人賠償責任補償、個人賠償責任特約、日常生活賠償責任補償など言い回しが異なることがあります。現在はそのほとんどが特約ですが、この記事では便宜上、「個人賠償責任保険」で言葉を統一してお話しします。
 
個人賠償責任保険(特約)がどんなときに役に立つのか、対象となる人を確認しておきましょう

個人賠償責任保険(特約)がどんなときに役に立つのか、対象となる人を確認しておきましょう

【目次】
  1. 個人賠償責任保険の加入方法と保険料
  2. 個人賠償責任保険の対象となる人の範囲
  3. 個人賠償責任保険の保険金額(契約金額)はいくら必要?
  4. 個人賠償責任保険の対象とならないケース
  5. 個人賠償責任保険は「示談交渉サービス」にも注目
 

個人賠償責任保険の加入方法と保険料

個人賠償責任保険は、他の保険に特約で付帯するのが一般的です。「他の保険」とは具体的には、火災保険や自動車保険、傷害保険などです。最近は数は少ないでしょうが、積立型の火災保険や傷害保険にも特約付帯が可能です。

この補償を特約でつける場合に注意することがあります。例えば、自動車保険に付帯している場合、車に乗らなくなったから自動車保険を解約するとなると、一緒に個人賠償責任保険もなくなります。

多くの人はその時の説明で覚えていても、時間が経てば忘れがちです。保険証券にその旨を記載したり、付箋を貼ったりして、後で見て分かるようにしておきましょう。

なお、おおよその目安としての保険料ですが、保険金額1億円で傷害保険などに特約で加入する場合は月100円程度です。

この補償については損害保険会社だけでなく、県民共済や全労済などの共済にも付帯されていることがあります。基本的な内容は大きく違うことはありませんが、損保が改定したものを共済が追うパターンが多いので、対象となる人の範囲や示談交渉の有無など異なる点がないか確認しておきましょう。

なお、クレジットカードにもこの保険が付帯しているケースがありましたが、無料付帯されるものはほとんどなくなりました。いまは傷害保険に少ない死亡保障などをメインにこの保障を付帯して月々数百円で案内しているケースが多いようです。

他に特約でつけるものがなく、一つきちんとしたものに加入しようと思うなら選択肢の一つとして検討してみてください。
 

個人賠償責任保険の対象となる人の範囲

■対象者の範囲
この保険の使えるところは、保険料の安さだけでなく、対象となる人の範囲が広い点です。通常は下記の通りとなります。
  • 本人
  • 配偶者
  • 同居の親族
  • 生計を一にする別居の未婚の子(仕送りを受けている学生など) 
その家の生計維持者などが加入していれば、子供などほぼ同居の家族全員等をカバーすることができます。夫婦で重複して加入する必要がありませんし、家族型に入らなければならないということもありません。

もちろん血族・姻族とも限度はありますが、本人からみて親・兄弟姉妹までは普通に入ります。

また個人賠償責任保険の被保険者の範囲について一部改定の動きがでています。いくつかの動向をみてみましょう。

■対象者の範囲の最近の拡充
  • 責任無能力者の監督義務者など
JR東海の認知症訴訟事件を受けて、責任無能力者の監督義務者などを個人賠償責任保険の被保険者の範囲に拡大するケースが増えてきてています。具体的には別居で認知症の親を介護する子などが対象にするものです。
  • 同性パートナー
同性パートナーまでを個人賠償責任保険の範囲に入れる動きも見られます。一部生命保険会社などでこうした動きがありましたが、損保の方でもでてきています。
 

個人賠償責任保険の保険金額(契約金額)はいくら必要?

個人賠償責任保険について言えば、保険金額の設定はケチってはいけません。わずかな保険料をケチったために賠償額が足りず、数千万円が自腹になってしまっては保険の意味がなくなります。

例えば傷害保険に付帯する場合だと保険金額1億円で月100円程度と言いましたが、保険金額を1000万円に下げても月数十円くらいの差額です。悩む金額ではないので、個人賠償責任保険の保険金額はきちんと付けておきましょう。
 

個人賠償責任保険の対象とならないケース

対象とならない事故(主なもの)は下記の通りです。よく覚えておいてください。
  • 職務の遂行中の賠償事故
  • 車両(船舶・航空機等も)の所有や使用・管理により発生した事故
  • 闘争行為(いわゆるケンカ)
  • 他人から借り物を壊した場合の賠償事故
  • 同居の親族に対する損害賠償

職務遂行に起因する事故(飲食店で店員が料理を客の服にこぼした等)や車両に関する事故は、それを補償する保険(業務向けの賠償保険や自動車保険)が別にあるためです。

気になるのは、4つめの「他人からの借りた物」という項目。他人の物であっても借りている人の所有・使用・管理下にあれば(管理財物・借用財物などと言う)対象としないという規定になっています。

なお、最近は他人からの借り物を補償するものも一部発売されています。まだ主流ではありませんが、「借用財物」「受託物」などの名称で別途補償が付帯しているケースがあります。保険金額は限度額が設定されていますが、付帯できればそれに越したことはありません。

最近聞かれることが多いのが、台風などで屋根が飛ばされて近所の家などを破損させた場合はどうなるのかというものです。一般的には自然災害は不可抗力として責任を問われません。

但し屋根が壊れかけていて、もともと危険性を指摘されていたり、それを知りながら放置しているようなケースだと管理責任などを問われる可能性はあります。
 

個人賠償責任保険は「示談交渉サービス」にも注目

知っておきたいのが示談交渉サービスです。ほとんどの人が当然にあるものだと思っていますが、以前は必ずしもそうではありませんでした。

最近では個人賠償責任保険の特約は示談交渉サービス付きのものが主流になりつつあります。個人賠償責任保険は自動車保険、火災保険、傷害保険などに付帯するのが一般的ですが、最近のこれらの保険への特約付帯であれば示談交渉サービスが付帯されていることが増えています。

必ず示談交渉サービスが付帯されているわけではありませんので、契約時に忘れずに確認してください。加害者として被害者と直接交渉するのは、かなり大変であると認識してください。
 

損害保険ガイドからこの記事のポイント

  • 個人賠償責任保険(個人賠償責任補償特約、日常生活賠償責任補償)の付帯漏れや重複がないか、今ある保険契約の補償内容(保険金額、示談交渉サービスや借用財物の有無など)を確認してみよう。
  • 誰でも、「加害者」にも「被害者」にもなりうることを覚えて備えておこう。
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