火災は通常の損害賠償事故と扱いが異なる

近年、自然災害の多発が目につきますが、火災も非常に怖い災害の一つです。
平成27年中の出火件数3万9,111件です。1日当たり107件の火災が発生していることになります。

総務省消防庁の「平成28年版消防白書」によると、出火原因は多い順に次のとおりです。

1位 放火
2位 たばこ
3位 こんろ
4位 放火の疑い
5位 たきび
6位 火入れ
7位 電灯電話等の配線
8位 ストーブ
9位 配線器具
10位電気機器

放火については防ぎようがないと思われる人もいるでしょうが、それでも自分でできることはたくさんあります。総務省消防庁のチェックシートなども利用してみてください。

タバコの消し忘れはくれぐれもしないようにしたい

タバコの消し忘れはくれぐれもしないようにしたい

タバコについては、うちの家族は吸わないからという人もいるでしょうが、自分が火を出さなくても隣の家(あるいは部屋)から燃えうつることもあります。それなら相手に損害賠償してもらえばいいと考えるでしょうが、火災の場合は通常の損害賠償事故と事情が少々異なります。

他人の家から類焼して自宅が燃えた(あるいは逆に相手の家を燃やした)場合に関係する法律が「失火責任法(失火法)」です。

失火責任法(失火法)とは何か、また重過失の有無と損害賠償責任を解説します。まずは失火責任法(失火法)に関連する法律関係についてを確認しましょう。

損害賠償責任は「民法709条」で定められている

「故意または過失によって他人の権利を侵害したる者はこれによって生じたる損害を賠償する責めに任ず」(民法709条)

簡単に言えば、自分の落ち度などで第三者(他人)に迷惑を掛けたのなら相手に損害賠償しなさいということです。社会的・道義的な責任があるのはもちろん、法律上も損害賠償責任があると明確に定められています。

加害者に責任があるのは当然です。しかし失火により周囲に類焼したとなると、実は別の法律が関係します。

失火の責任に関する法律(失火責任法あるいは失火法)とは

「民法第709条 の規定は失火の場合にはこれを適用せず。但し失火者に重大なる過失ありたるときはこの限りにあらず」 (失火責任法)

失火の責任に関する法律(失火責任法、失火法)は、民法709条で規定されているように原則とは別に失火(火事)の場合、この原則を適用しないとしています(重過失の場合を除く。詳しくは後述)。

これは明治32年に制定された古い法律で、現在でも適用されています。日本は昔から木造家屋が密集しており、火災が発生すると類焼しやすい住環境にありました。自宅を失った上に延焼させた人に損害賠償責任を負わせるのは個人の賠償能力をはるかに超える、といった様々な背景があるようです。

この法律が現在の日本の建築物の構造や環境、考え方にマッチしているものかはともかく、現状こうした法律があることは覚えておいてください。