原則として、火元からは賠償を受けられない

失火責任法により、民法709条の効力は失火では打ち消されている

失火責任法により、民法709条の効力は失火では打ち消されている

失火責任法により、民法709条の効力は失火では打ち消されている

民法709条には「不法行為責任」が規定されています。故意または過失により第三者に損害を与えたら、その損害を賠償しなくてはなりません。

ですが、火災には例外規定があります。民法の特別法である通称「失火責任法」は、失火では火元に重大な過失(=重過失)がない限り、民法709条を適用しないと規定しています。

つまり、隣家が起こした火災で一方的に被害に遭い、損害を受けても、火元には原則、賠償請求ができないのです。住宅や家財が失われれば、最悪の場合、数千万円レベルの損害を負うことになります。この損害を貯蓄で対応することは困難ですが、火災保険の補償でまかなうことができます。これが誰しも火災保険が必要な根拠です。


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共済で備える方法もある

火災等による住まいや家財の損害をカバーする方法としては、損害保険会社が取り扱う火災保険のほか、JA共済や生活協同組合などが取り扱う火災共済などに加入する方法があります。

JA共済で扱う「建更むてき」は、最長30年にわたる積立型の火災共済です。加えて、全労済「住まいる共済」、都道府県民共済「新型火災共済」は、生活協同組合の提供する火災共済です。

いずれの商品も、現在は住宅や家財を再度入手するために必要な金額を受け取れる仕組みとなっています(=再調達価額・再取得価額)。ですが、実際に被災後に十分な保険金等を受け取るには、適切な保障額(保険金額)で契約しておくことが前提です。とりあえず何にでも入っておけばよいというものではないので、金額をしっかりチェックして契約しましょう。


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火災保険と火災共済、どう違う?


賃貸住まいでも入らなきゃダメ!

賃貸住まいでも、家財は自分の財産であり、火災保険はだれしも必要

賃貸住まいでも、家財は自分の財産であり、火災保険はだれしも必要

賃貸借契約を結ぶときに、何らかの火災保険契約をしたという人が多いのではないでしょうか。ここで契約するのは、入居者の家財を補償する火災保険です。

前述のように、失火責任法が適用されると近隣の火災で家財に損害を受けても賠償は受けられません。つまり賃貸住まいの人でも、家財の損害をカバーするための火災保険は必須。これらの保険は不動産仲介業者を介して加入するケースが多いですが、実はどこで加入してもよいのです。過不足のない適切な金額で、忘れずに加入しておきましょう。

入居者が火災を発生させてしまったとき、失火責任法により隣家への損害賠償義務は免れますが、賃貸物件に与えた損害についてはオーナーに賠償しなくてはなりません。賃貸借契約上の原状回復義務には、失火責任法が適用されないからです。

賃貸借契約時の火災保険には、この場合への備えとして、オーナーへの損害賠償責任をカバーできる借家人賠償責任保険がセットされるのが一般的。あわせて、自転車による加害事故やマンションの階下に及ぼした水濡れ損害等、第三者に損害を与えた場合にも役立つ、個人賠償責任保険もセットされていることが多いです。

なお、損害保険会社の商品以外だと、賃貸借契約時の火災保険は、少額短期保険事業者の取り扱う少額短期保険(ミニ保険) の場合もあります。ミニ保険の場合、各補償の保険金額は1000万円が上限となります。


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賃貸住宅の火災保険って、入らないとダメ?
「ミニ保険」の火災保険とは?
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自分が火元になったときは

過失、すなわちちょっとした不注意で発生させた火災には失火責任法が適用されるため、火元は原則、延焼先に対する責任を負いません。ところが、過失のレベルが高すぎる重大な過失では、失火責任法が適用されず、火元は火災によって被害者に負わせた損害の責任を負わなくてはなりません。この時、役に立つのが個人賠償責任保険です。

個人賠償責任保険は、個人の日常生活上で第三者を死傷させたりモノを破損させ、法律上の責任を負う場合に、その損害を補償するもの。重大な過失による火災のほか、自転車による加害事故やマンションの階下に及ぼした水濡れ損害等がカバーできます。

火元に重大な過失がない場合でも、被害を与えられた隣家が十分な火災保険に加入していない場合などに、その損害をカバーできる類焼損害補償特約もあります。ただし、この特約では火災保険の補償が優先されるため、隣家が十分な火災保険に加入している場合には補償されません。また、30万円以上の書画・骨董品・貴金属など補償の対象とならないものもあることなど、生じたすべての損害がカバーされるわけではない点についてもあわせて知っておきたいところです。


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