賃貸派も家財は自己責任で守るのが基本

賃貸借契約をするとき、何か保険に入りませんでしたか? その時保険料として1万円、ないし2万円などを支払っているはず。契約手続きの一環として流れるように手続きをすることも多いので、覚えていない人もいるかもしれません。実はコレ、賃貸派に不可欠な“非常用グッズ”なのです。一般に、家財の火災保険と、借家人賠償責任補償(しゃっかにんんばいしょうせきにんほしょう)、および個人賠償責任補償がセットされています。

賃貸派の場合、部屋は借り物ですから、部屋そのものについては、建物オーナーが火災保険の契約をしています。一方で、後から運び込んだ自分の家財道具は、自分で火災保険の契約をしておかなくてはなりません。「火事なんて出さないし」と言うなかれ。わが国には民法の特別法である失火責任法があります。例えば、隣家のちょっとした不注意から起きた火事では、たとえもらい火であっても、隣家には賠償してもらえません。こうした理由から、自分の家財道具は、自分で火災保険をかけておかないといけない……。これが賃貸派にも火災保険が必要な根拠です。

ただ設定する保険金額は、建物とは異なり、人それぞれでかまいません。暮らし方はみな異なるものですし、場合によっては“所詮は古いモノ”という考え方も成り立ちますから、実態に応じて決めればいいのです。保険金額を設定する際の目安として、世帯主の年齢や家族構成、および部屋の広さなどに応じた保険金額を表示している保険会社もありますので、こちらを参考に検討してみてもいいでしょう。なお、保険会社により基準は異なるのですが、一定額を超えるジュエリーや美術品といったものは、契約時に申告しないと家財には含まれないことがあります。

【簡易評価表(家財の再調達価額の目安)】※2017年10月時点
一般的に所有している家財の評価額(再調達価額)の目安は下表のとおりです。

ご家族構成 2名 (大人のみ) 3名 (大人2名・子供1名) 4名 (大人2名・子供2名) 5名 (大人2名・子供3名)
25歳前後 560万円 640万円 720万円 830万円
30歳前後 760万円 860万円 920万円 1020万円
35歳前後 1070万円 1170万円 1230万円 1350万円
40歳前後 1300万円 1400万円 1490万円 1590万円
45歳前後 1490万円 1590万円 1650万円 1760万円
50歳前後(含む以上) 1580万円 1670万円 1730万円 1850万円

※上表にない家族構成の場合は、大人(18歳以上)1名につき140万円、小人(18歳未満)1名につき90万円を目安に実態に合わせて加算・減算してください。また、上記簡易評価表は目安ですので、実際の家財評価額と異なる場合があります。

出典:セゾン自動車火災保険/家財の保険金額の目安は?(家財簡易評価表)より

火事で建物を損傷させると、建物オーナーへの賠償義務が生じる

一方、火災保険にセットされる借家人賠償責任補償ですが、こちらは建物オーナーに対する賠償を補償するものです。「だって、火事を出しても、賠償しなくていいんでしょ」と言うなかれ。建物オーナーとは賃貸借契約を結び、建物を返す時は元通りにして戻す“原状回復義務”を負っています。ところが火を出したら、それを果たせません。賃貸借契約上の原状回復義務が優先され、失火責任法の適用はないのです。このように、火災・破裂・爆発で生じた建物オーナーへの建物原状回復義務をカバーしてくれるのが借家人賠償責任補償です。

もうひとつが、個人賠償責任補償。こちらは集合住宅ならではのトラブルにも心強い保険です。よくあるケースが、洗濯機のホースが外れるなどして階下を水浸しにしてしまったというもの。あるいは、ベランダから落ちたもので下を歩いていた通行人がけがをしたなど、日常生活上で起きた賠償トラブルをカバーできます。

リンク:「火災保険にセットする個人賠償責任補償とは?」

このように、賃貸派の入る火災保険は、家財・借家人賠償・個人賠償の3つの補償がセットされており、賃貸派の暮らしのトラブルをカバーしてくれます。昨今では、少額短期保険業者の扱う少額短期保険を提案する不動産業者も多いようですが、補償内容は民間損保商品とほぼ同様です。全労済や都道府県民共済が取り扱う火災共済なども選択肢のひとつです。

不動産屋さんで入らなくてもかまわないが

賃貸派にも火災保険は必要です

賃貸派にも火災保険は必要です

賃貸派用の火災保険、契約の度に不動産屋さんで入らないといけない、ということはありません。不動産屋さんで契約する時の火災保険は、前述のように保険期間2年間で1万円とか2万円など端数のない保険料を支払うような仕組みになっています。つまり、キリのいい保険料をはじき出すため、逆算して保険金額が設定されているわけで、必ずしも個々の暮らしにマッチした保険金額が提案されているのでない点に注意も必要。暮らし方や家族構成によっては保険金額が多すぎるとか、少なすぎるといった問題が出てくる可能性があります。

言われたままに提示された保険料を支払うのではなく、まずは保険金額を確認して、自分の状況と照らし合わせ過不足があるようなら保険金額を修正して契約しましょう。保険金額を増やせば保険料は上がり、保険金額を減らせば保険料は下がります。

また、火災保険は、保険期間が賃貸借契約と同一だとしても、契約そのものがリンクしているわけではありませんので、今まで住んでいたところでの火災保険契約を、転居後の新しい住所に変更して継続することも可能です。ただし、今までとは異なる地域に引越して、住まいも木造住宅から鉄筋コンクリート住宅に変わるといった場合には保険料が変わってくる場合があります。

解約したら手続きを。解約返戻金を受け取ろう

賃貸借契約の期間中に引越した場合には、引越し先でまた新たに火災保険に入ることにして、退去時にそれまでの火災保険の解約手続きをしましょう。途中で解約した場合には、期間に応じた解約返戻金が支払われますのでお忘れなく。

よくあるのは、今まで住んでいたところで火災保険の契約をしていたけれど、引越し先で新たに火災保険に入ってしまい、これまでの火災保険もそのままというケース。よく耳にするのですが、手続きしないと戻るものも戻りません。もったいないですよ。

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