地震保険で何度も保険金をもらえるもの?
地震災害で被災した後、地震保険金の請求を行います。保険金がいくらもらえるかは損害鑑定の結果次第です。被災後に余震が続くことも多く、一度保険金を受け取った後に再び地震による損害があった場合、どのような扱いになるのか気になる人も多いでしょう。 地震保険がもらえる回数について基本ルールからその仕組みまで解説します。地震保険金の支払いに関する基本知識
地震保険金の支払いについての基本知識を確認しておきましょう。地震保険の保険金の支払いは現在、4段階の基準です。一番損害の程度が軽い基準となる一部損に該当しなければ保険金の支払いはありません。また4段階の基準に当てはめるだけですので、実際の損害よりも多く保険金を受け取る人もいれば、少ない人もいます。契約時期によって保険金の支払い基準は4段階もしくは3段階になります。どうなると全損かなどまで記載すると細かいルールブックのようになるので割愛しますが、まずは加入時期によって基準が違うことを理解してください。
なお、建物の損害鑑定では、柱や壁などの建物の主要構造部の損害をみるため、門塀・垣、ガラスだけなどの損害は支払い対象ではありません。
■2017年1月以降の保険始期
- 全損 地震保険金額の100%(時価が限度)
- 大半損 地震保険金額の60%(時価の60%が限度)
- 小半損 地震保険金額の30%(時価の30%が限度)
- 一部損 地震保険金額の5%(時価の5%が限度)
- 全損 地震保険金額の100%(時価が限度)
- 半損 地震保険金額の50%(時価の50%が限度)
- 一部損 地震保険金額の5%(時価の5%が限度)
どちらがいいかは個別の被災状況によります。例えば旧基準の半損にぎりぎり届かないケースでは新基準が有利なことが多いでしょう。
地震が複数あったときの地震保険の支払いルール
地震災害が複数回起きたときに、地震の件数としてどのように考えるのかのルールをみていきましょう。ポイントは次の2つです。- 72時間以内に発生した2回以上の地震等は一括して1回とみなす
- 地震等が発生した日の翌日から10日経過後に生じた損害は対象外
もう一つの地震発生の翌日から10日以内の損害は対象外というのは、地震損害との関連が難しくなるためです。
全損認定されたら契約は終了する
火災保険でも火事で建物が全焼したら全損の扱いです。これで保険金が支払われます。全焼によって火災保険の契約対象である建物がなくなっていますから、全損認定するとその損害のときに遡って保険契約は終了します。地震保険で全損認定された場合でも基本的な考え方はこれと同じです。地震で全壊になると一応壊れた建物はそこにありますが、契約は終了します。そのため全損の認定を受けた後については再び保険金が支払われることはありません。
その後に新たに建物を再築すれば別ですが、この時には改めて地震保険の契約をすることになるので何回かもらえるというものとは違います。それでは全損ではなく、一部損などの分損の場合について続けてみていきましょう。
地震保険がもらえる回数、一度受け取った後にまたもらえる?
例えば地震災害によって一部損の認定を受けて保険金の支払いを受けた、その後また地震災害があった場合に地震保険金はもらえるかどうかということです。分損の場合、先ほどの全損のように契約が終わるわけではありませんので、理屈の上では保険金の受け取りは可能です。但し最初の損害以降、その損害の修理をしているかどうかで扱いは変わります。
■最初の損害は修理済み
修理をしたことで元の状態に戻っているので、その後に小半損などの認定があればそれはそれで保険金の支払いはあります。
■最初の損害の修理はしていない
この場合、仮に次の地震で小半損と認定されてもすでに一部損の損害が維持された状態になります。同じ損害箇所を2回認定してまた支払うことはありませんから、支払い済みの分は考慮した損害鑑定になります。
地震保険が何回もらえるものなのか気にする人は、後者の修理をしていないケースが多いでしょう。実際に一部損などは認定を受けても程度が軽いものだと保険金を受け取ってそのままにしている人もいます。いずれにしても過去に支払った損害について保険金が重複する部分については支払うことはありません。
■家財の地震保険の支払いは?
主に上記では建物について複数回の保険金を受け取ることが可能かどうかについてお話ししました。次に家財の場合にはどうなるかみてみましょう。
基本的なスタンスは同じですから、一度地震保険金が支払われた後で重複して保険金が支払われることはありません。実際に食器などは割れてしまえば、捨ててしまうでしょう。
逆に家具や家電製品などは修理して使えるようであれば、修理するでしょうから1回目の損害で鑑定してそのままになっているものは考慮した上で家財の損害鑑定をすることになります。
【関連記事】