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蒲田、変化目前の便利で実質本位の街(3ページ目)

京浜東北線、東急多摩川線や京浜急行本線など5線が利用できる足回りの便利さに物価の安さを兼ね備えた街、蒲田。しゃれた雰囲気とは無縁ながら暮らしやすさは折り紙付き。実を取るならこの選択、ありです。

中川 寛子

執筆者:中川 寛子

住みやすい街選び(首都圏)ガイド

便利さから考えれば
比較的手頃な物件価格、家賃は魅力

呑川沿いのマンション
呑川沿いのマンション群。比較的古いもの、小規模なものが多く、賃貸も混在
住宅購入で考えると、蒲田はあまり物件が豊富なエリアではありません。蒲田駅、京急蒲田駅間は早くから商業地域などとして開発されてきたため、大きな住宅用地が少ないのです。そのため、現在、あるいはこれから新築が期待できそうな地域は京急蒲田周辺の、京浜急行空港線糀谷や京浜急行本線梅屋敷、同線雑色など。規模で言えば100戸以下のマンションが中心と考えられます。

また、中古の中心は京急蒲田周辺。築4~5年と、比較的築年数の経っていないマンションも少なくありません。ただし、こうした物件では広くて70m2程度まで。基本的には単身者、カップル向きの間取りが多いものと考えてください。

アパート、一戸建て、マンションが混在
一戸建て、マンション、アパートと各種の住宅が混在するエリアも多い
賃貸も中心は単身者向きのワンルーム、1Kなど。古くて20m2以下、駅から遠いワンルームなら4万円以下、物件によっては2万円、3万円でみつかることもあり、このあたりも実質的。平均的な賃料ではワンルームアパートで6万円~7万円、同マンションで8万円台半ばというところ。それ以上の間取りではアパートはほぼなく、大半はマンションで賃料は2DKで13万円前後、3DKで20万円前後。街を歩くと、あちこちで賃貸マンション建設の現場を見かけますが、そうした新築は単身者向きでも10万円以上になります。

JR駅ビルに京急駅高架化、
着々と変化の兆し

駅ビル建替え中
工事中の蒲田駅駅ビル。3軒もの駅ビルが林立する駅も珍しい(2007年)
さて、蒲田は今変化の途中にあります。ひとつは老朽化した蒲田駅駅ビルのリニューアル。ここには西口側にサンカマタ、東口側にパリオと2つの駅ビルがあったのですが、2008年3月末を目標に工事が進められていました(2007年時点)。
蒲田駅駅ビル

新しくなった蒲田駅駅ビル。以前よりも回遊性が高まり、買い物が楽になったという(クリックで拡大)

そして、2008年4月、大規模改修工事を終えて東西2つの駅ビルが「GRANDUO蒲田」に統合され、オープンしています。団塊ジュニアから東急沿線のシニア層までの幅広い品揃えが特徴で、蒲田という街に集まる人の層の厚さを示しているようです。

 

高架化工事中
進行する京急線の高架化工事。渋滞解消に加え、駅周辺の整備に期待したい(2007年)
もうひとつは京急蒲田駅の高架化。京急蒲田は京急本線と空港線の分岐点で、本線で環八通り、空港線で第一京浜との踏切がいわゆる開かずの踏み切り状態になっています。そのため、慢性的な交通渋滞が発生しているのですが、この周辺の踏み切りをなくし、2線あわせて6kmの連続立体化する工事が2000年から行われています。

 

京急蒲田駅

高架が完了した京急蒲田駅を第一京浜側から見たところ。右に伸びているのは羽田空港に向かう京急空港線(クリックで拡大)

工事が完成したのは2012年10月。京急線では平和島から六郷土手、京急蒲田から大鳥居の24カ所の踏切が解消、交通の利便性が高まりました。現在は駅の前のロータリーの工事が進んでおり、これが完成すると京急蒲田駅周辺の利便性は大きく向上します。

 
京急蒲田駅西口

京急蒲田駅西口地区の約1.0haに住宅、商業施設、駐車場を中心にしたビルが建てられる予定で、住宅は300戸弱とされている(クリックで拡大)

また、すでに京急蒲田駅前の商店街入り口では再開発が行われ、タワーマンションが登場していますが、それに続き、西口駅前地区でも再開発の予定があります。この辺りは老朽化した小規模な住宅兼商店が多く、防災上の問題があるとされており、その解消が目的です。現在の予定としては2013年に着工、2015年には完成の予定です。

 

蒲田東急プラザ屋上
独自ワールドが広がる蒲田東急プラザ屋上。進取の気風に独自の価値観のある街、蒲田ならではの風景のひとつ
変なたとえかもしれませんが、ハンサムではないし、しゃれた言葉は言えないけれど、長く付き合える生活力のある男。蒲田はそんな街です。公園などの緑が少ないこと、ファミリー向きの物件が少ないことから、子どものいるファミリーにはあまりお勧めしませんが、それ以外の方なら一度は訪れてみる価値はあると思います。

*2007年の記事に加筆、修正。

【シリーズバックナンバー】
「ハイソで国際的な下町『広尾』」
「中央線文化漂う住宅街『荻窪』」
「粋と新しい便利さの街『神楽坂』」
「元気、でも静かな街『学芸大学』」
「情報感度高い大人の街『表参道』」
「人に自然に優しい街『自由ヶ丘』」
「季節感と情緒、グルメの街『浅草』」
「自然、雑踏と文化の街『吉祥寺』」
「緑溢れる水辺の都会『二子玉川』」
「セレブで庶民派な街『白金』」
「元気な世田谷の下町『三軒茶屋』」
「意外に住める憧れの超都心『銀座』」
「独自性を貫く学園都市『国立』」
「最先端な庶民派国際タウン『恵比寿』」
「整然とした静かな街並みが魅力の『桜新町』」
「演劇、音楽と猥雑な活気の街『下北沢』」
「水辺に開かれるゆとりある新しい街『豊洲』」
「子どもと犬に優しい緑の地『駒沢大学』」
「急激に変化し続ける老舗の街『麻布十番』」
「商店街で有名、品川の下町『武蔵小山』」
「通勤に遊びに便利。勢いのある街『中目黒』」
「昔も今も交通の要所、変化し続ける『品川』」
「都会と郊外、両方の良さを備えた街『三鷹』」
「知る人ぞ知る、緑濃い文化の街『経堂』」
「新宿西口で進行中の再開発をチェック」
「今も憧れ、東京屈指のお屋敷街『成城学園』」
「歴史と活気あふれる東京北東部の中心『北千住』」
「東京の今を代表する24時間都市『六本木』」
「高低差が生んだ、2つの顔を持つ街『渋谷』」
「活気と自然、歴史が融合する街『千歳烏山』」
「小石川、小日向を擁する人気地域『茗荷谷』」
「ターミナルと住宅街が隣り合う街『目黒』」
「文化と雑踏が混在、活気が魅力の街『池袋』」
「再開発で生まれ変わった歴史の街『南千住』」

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