地下鉄が開通するまで、公共交通といえばバスだけ。一部には「陸の孤島」なる言い方もあった麻布十番。しかし、ここ数年、この街は大変貌を遂げています。昔ながらの下町風のたたずまいは残しつつ、見上げると高層ビル。多彩な顔を持つ、麻布十番の魅力を覗いてみると……。

地下鉄開通、六本木ヒルズオープンで
変わり始めた麻布十番


麻布十番と周辺の位置関係は?

麻布十番の地図
麻布十番は六本木ヒルズのすぐ隣、広尾や芝公園、三田などに囲まれた場所にある

地下鉄麻布十番駅
地下鉄開通で利便性が一気に向上した麻布十番
東京メトロ南北線、都営地下鉄大江戸線がクロスする街、麻布十番。この2線を利用すれば、永田町や目黒、新宿、浜松町、汐留など、都心の主要オフィス街には直通。かつて、バスしか利用できなかった街の利便性は2000年を境に劇的に変化しました。以前は、近くにあるテレビ局や大使館関係者などの隠れ家的遊び場として知る人ぞ知る存在でしたが、簡単に地下鉄利用でアクセスできるとあって、観光客も含め、多くの人が集まるようになりました。


麻布十番から望む六本木ヒルズ
商店街のあちこちから六本木ヒルズを望むことができる
その動きに拍車をかけたのが2003年の六本木ヒルズオープン。ヒルズ内を横切るけやき坂を下れば、すぐに麻布十番商店街です。ヒルズに勤める人、遊びに来た人が、ちょっと足を伸ばそうか、住んでみようかと思うようになるのは必定。以前より、住む層も、遊びに来る層も広がりを見せています。


暗闇坂
かつては暗く危ない急坂という意味で名づけられた暗闇坂。途中にオーストリア大使館がある
さて、この街自体は江戸時代から賑わっていました。もともとは高台に武家屋敷や寺社があり、その坂の下に商業地が広がる場所で、現在の麻布十番商店街もちょうど、どこから来ても坂の下。六本木から、広尾から、芝から、いずれからアプローチしても、坂を下らなければ辿りつきません。そして、この商店街には江戸時代創業の店が8軒も残っているとか。最古の店は220年以上の歴史があるといいますから、下町風なのは当然かもしれません。


下町風プラス国際色豊かな住民が
独自の雰囲気を醸成


麻布十番あべちゃん
庶民的な店も多い麻布十番。こんな雰囲気の有名店も
下町風を実感させられるのが、夕方には人が並び、店先に煙が立ち込める庶民的なもつ焼き屋さんや飲み屋さん、おでん屋さんなどなど。それに、そもそも、この街は個人商店を中心にした商店街が元気で、意外にスーパーやドラッグストア、ごく普通の八百屋さん、魚屋さん、豆腐屋さんなどが多いのです。


パティオ十番
商店街の真ん中にある広場、パティオ十番を中心に屋台が並ぶ
この商店街パワーを見せつけてくれるのが、夏に開かれる麻布十番納涼祭り。40回を越すこのイベントは港区では最大規模の夏祭りで、8月後半の金、土、日の3日間に行われ、身動きできないほどの人出となります。


国際色豊かな麻布十番の街角
国際色豊かな麻布十番の街角。最近、目立つオープンカフェでもよく見かける
このイベント、面白いのは、山車も出なければ、盆踊りもないというところ。普通、祭りといえば、何か神事めいたものがありそうですが、この祭りのメインは屋台。しかも、一般的な祭りの屋台と異なり、インターナショナルなのです。というのは、かつて武家屋敷のあった高台を中心に大使館やインターナショナルスクールなどがあるため。歩いていても、世界各国の人が目につく街なのです。


シュークリーム屋さんの行列
流行に敏感な街だけに、変遷も激しい。こちらは2006年5月にオープンしたシュークリーム専門店の行列
日本だけでなく、世界から人が集まってくる結果でしょうか、飲食店も国際的スケール。由緒正しい蕎麦屋さん、寿司屋さん、和食屋さんに加えて、仙台坂の韓国大使館があるため、韓国料理屋さんは20軒近くありますし、スペイン、アジア、タイ料理などもあれこれ。全国レベルの有名店も少なくありません。ただし、このところ、競争が激化、1年持たないような店もあるようですが。いずれにしても、足回り、日常の買い物、外食と生活のあらゆる場面で暮らしやすそうな街なのです。

では、気になる住宅の相場はどうなっているか、次ページで見ていきましょう。