三軒茶屋、駒沢大学、二子玉川など、東急田園都市線の他の駅からすると、地味な印象のある桜新町。大型店があるわけでも、目だつランドマークがあるわけでもありませんが、この街の静かで、穏やかな佇まいは、この地に長らく住んだ長谷川町子さんが描く、サザエさんの時代の良き住宅街。この街の知られざる住み心地を探ってみましょう。

桜新町周辺の位置関係図

桜新町駅周辺の位置関係
国道246号から少し入ったところに位置する東急田園都市線桜新町駅


明治末期、日本で最初の宅地分譲は
桜新町で始まった


深沢のお屋敷街
駅から国道246号を渡った深沢あたりには今も往時の面影の残るお屋敷街が続いている
渋谷から東急田園都市線で9分。国道246号から少し入った場所にある桜新町は明治45年~大正2年に日本で始めて、宅地分譲が行われた街です。場所は、桜新町駅から国道246号を挟んだ深沢7丁目、8丁目、駅周辺の桜新町1丁目あたり。新町開発と呼ばれたそのプロジェクトで、それまで単なる寒村だったこの地域は一気に変貌を遂げます。商店街、銭湯に交番なども含めた総合開発でもあり、当時は大人気だったそうです。当時分譲された区画は100坪(330m2、200坪と大きく、そのせいか、この街にはまだ、こうした大きな区画を持つお屋敷も点在しています。地名もこの開発に由来します。宅地造成に当たって植えられた桜並木、それが元々の地名、新町と結び付けられ、桜新町となったのだとか。意外に新しい地名なのです。

低層住宅が並ぶ
通り沿いを除けば一戸建てや低層のマンションが中心。車の往来も少なく、静か
その歴史のせいか、区画が大きいだけでなく、この街では道路は広く作られ、街並みがきれいです。また、他の東急田園都市線の都内の駅と異なり、国道246号、首都高速3号渋谷線とも離れているため、他の駅より交通量は少なめですし、静か。街全体にゆったり、落ち着いた雰囲気があるのは、そうした地理的な要因も大きいようです。


元気な地元商店街、
住宅街には知る人ぞ知る名店も点在


長谷川町子美術館
右手のレンガの建物が長谷川町子美術館
桜新町はサザエさんの作者、長谷川町子さんが住んでいた街。駅から少し離れた場所にある長谷川町子美術館は桜と並ぶ、この街のシンボルで、街の中にもサザエさんファミリーの絵があちこちに。駅前にはサザエさん通りなる通りがあるほどです。

サザエさん通りの標識
街のあちこちにサザエさんファミリーの絵が飾られている
さて、その駅周辺は、240軒余の商店が並ぶ桜新町商店街。サザエさん通りと駅前通り、2本の通りからなり、40年以上の歴史を持つ店も少なくありません、もちろん、長谷川町子さん御用達だった店や、漫画に出てくる魚屋さんも健在。ホームページも含めて、元気で活気のある商店街です。


魚屋神田屋
駅から少し離れた場所にある魚屋さん。開店とともに客が集まる
半面、大型店は少なく、駅前通りに1軒、少し離れて弦巻通りに1軒ある程度。この街では、個人の店で店の人とやりとりしながら買い物をするスタイルが生きているのです。

教育センター通りのパン屋さん
雰囲気のある店構えのパン屋さん。ドイツ風のパンが名物
駅周辺から少し離れた住宅街に面白い店があるのも、この街の楽しいところ。行列のできるパン屋さんや、老舗洋食屋さんがわざわざ仕入れに来る酒屋さん、珍しいモロッコの料理などが楽しめるレストラン、遠くから車で買いに来る人もいる魚屋さんなどなど、ご近所にあったらウレシイ店が少なくないのです。


桜に、ぼろ市、プラネタリウム……
生活を豊かにしてくれる環境も魅力



世田谷区立教育センター
図書館、プラネタリウムのある世田谷区立教育センター。建物横にはせせらぎのある小道が整備されている
駅周辺の桜は有名ですが、この街はそれ以外にも生活を豊かにしてくれる場には事欠きません。図書館も併設された世田谷区の教育センターにはプラネタリウムがあって、大人200円で幻想的な1時間が楽しめますし、そのちょっと先には年末年始の風物詩ボロ市が行われるボロ市通りがあります。


馬事公苑
馬事公苑では広い園内を利用したイベントもしばしば開かれている。大人だけでなく、子ども向けの乗馬教室も

世田谷通り沿いには、1日乗馬教室などで、馬と気軽に楽しめる馬事公苑があります。こちらも桜の名所で、その他、梅に藤、チューリップなど、どの季節にも花が楽しめます。公苑前では、フリーマーケットや世田谷区の各種イベントなどもよく開かれており、1日フルに楽しめます。


では、気になる住宅の相場はどうなっているか、次ページで見ていきましょう。