マーケティング/マーケティング事例

半年で600万円!東大の学費、高い?安い?(2ページ目)

東京大学が社会人を対象に新たなプログラムを開始しました。その学費はなんと6ヶ月で600万円!今回はマーケティングにおける価格の持つ意味について考えていきます。

安部 徹也

執筆者:安部 徹也

マーケティング戦略を学ぶガイド

価格の持つ意味とは?

価格戦略
価格は顧客に対するメッセージとフィルターの役目を果たす。
マーケティング戦略の中でも特に価格戦略は消費者に対して直接かつ強力なメッセージ性を持っています。ですから、企業側は意図的に価格を設定することにより、顧客に対して商品やサービスに関するメッセージを発することができます。

たとえば、今回東京大学が提供するエグゼクティブ・マネジメント・プログラムの価格は600万円ということで、『日本で最高峰のビジネス教育が受けられる』、『他の大学では受けることのできない教育が提供される』というメッセージを価格から受け取るということができます。

また、企業側が価格のメッセージ性を意識していない場合でも、消費者は価格によってその商品やサービスのメッセージを自分なりに認識することになりますので注意が必要です。

価格を安く設定すれば『安くて品質に問題があるのではないか?』というメッセージを価格から受け取る場合もあるでしょうし、高く設定すれば『品質も高いのではないか?』というメッセージを自分なりに意識することもあるでしょう。

価格が果たすフィルターの役目

価格はメッセージに加えて、顧客を選別するフィルターの役割も果たします。たとえば、受講料が600万円であれば、600万円という高額な資金負担を行える人だけが受講対象となります。エグゼクティブ・マネジメント・プログラムは講師から学ぶ知識だけではなく、受講生同士の人脈の構築も大きな価値がありますから、600万円という価格のハードルを設けて、日本でトップクラスのビジネスパーソンのみを集めるフィルターの役目を果たすということなのです。

このような価格のフィルターは今回のようなエグゼクティブ向けの教育ばかりでなく、様々な高級会員制サービスでも活用されています。入会金や年会費を高く設定し、その価格に相応しい収入の会員だけを集めることによって、参加する会員の質を高めて会員同士の交流を含めてサービス自体の質の高さを維持しているのです。

今回、日本では初めての試みとなる600万円という価格のハードルを掲げた東京大学EMPですが、海外ではハーバード大学など数々の大学で高額なエグゼクティブ向け教育プログラムでの成功事例があるだけに、今後の成否が注目されるところです。


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