コーチング/人材育成・組織作り

会社のために上司に逆らおう!

繰り返し明るみに出る組織の不祥事。「なんてバカなんだろう」と思いがちですが、よく考えてみれば他人事ではありません。しかし、どうやったら、この愚かな行動から抜け出すことができるのでしょう?

宇都出 雅巳

執筆者:宇都出 雅巳

コーチング・マネジメントガイド


繰り返し明るみに出る組織の不祥事。「なんてバカなんだろう」と思いがちですが、よく考えてみれば他人事ではありません。しかし、どうやったら、この愚かな行動から抜け出すことができるのでしょう?

《CONTENTS》●愚かな行動を繰り返す組織(1P目)●“合理的”だからこそ愚かになる(1P目)●“合理的”で愚かな組織を救う「命令違反」(2P目)●愚かさを認めることで愚かな行動から抜け出そう!(2P目)

愚かな行動を繰り返す組織

「次の会議で再度検討しましょう」と先送りし続けられる問題
政治を大きく揺り動かす原因の一つとなった社会保険庁のさまざまな不祥事。2006年には保険料納付率を上げるために国民年金保険料の不正免除を行っていた事実が明らかになり、今年・2007年には、年金記録をオンライン化した際のコンピュータ入力漏れやミスといったずさんな記録管理が明るみに出ました。さらには、年金保険料の横領事件、それを外部に公表せずに処理していたことも発表されています。

「なんてひどい組織なんだ!」「いつか問題になるとは思っていなかったのか?」「民間企業なら考えられないことだ」

多くの国民からの厳しい批判にさらされている社会保険庁ですが、こんなことは本当に民間企業ではありえないのでしょうか? あなたの会社や組織で、これと同じようなことは起きていませんか?

例えば、売上げ目標を達成するために、強引に年度内に押し込む、売上げの前倒し計上を行う。不採算部門やプロジェクト処理を先送りする、従来の非効率なやり方を続けている、不正な経費処理を見て見ぬふりをしている、などなど。

見覚え、聞き覚えありませんか? 実は、どこの企業・組織でも、多かれ少なかれ愚かな行動が行なわれ、繰り返されているのです。けれど、なぜ、こんなことが繰り返されているのでしょうか?

“合理的”だからこそ愚かになる

社会保険庁だけでなく、どこの企業・組織でも起こり続ける愚かな行動。外部から見ていると「あんな行動をするなんて、なんて愚かな人たちなんだろう」と思いがちですが、実はある意味、”合理的”で”賢い”人だからこそ、”バカ”な行動をしてしまうとも言えるのです。

例えば、保険納付率を上げるための方策をいろいろ考えた際に、不正であったとしても保険料の免除を行うことが、もっとも簡単で楽な方法だったとしたらどうでしょう? わざわざ、保険料を払っていない人を訪ねていく手間と比べてどうでしょう? “合理的”に考えたからこそ、保険料の不正免除という選択をしたという可能性は十分にあります。

また、社会保険庁のある人が、膨大なデータがコンピュータに未入力だったり、かなりのミスがあることを知った場合、この人個人にとっては、何が効率的でしょう? この事実を上司や同僚に伝えたとしたら何が起こるでしょう? もしかすると、例えば、実際の入力作業を任せられて仕事が忙しくなるかもしれません。もしくは、「余計なことを考えるな」と怒られたり、疎んじられるかもしれません。最も”賢い”選択が、見て見ぬふりをすることだったかもしれないのです。

愚かな行動の裏には愚かな人間がいるのではなく、このように”合理的”で”賢い”人間がいるのです。だからこそ、こんな愚かな行動が、どの組織でも起こり、そしていつまでも繰り返されていくのです。

では、どうしたら、こんな愚かな行動を止めることができるのでしょうか?

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