小さいカメの特徴を解説

小さいカメの特徴を解説

全国の両爬ファンの皆さん、コンニチハ!

両爬の、ある特定のグループの魅力を紹介する、といったタイプの記事ですね。ハイ。
で、今回はどんな生き物を紹介しようと思ったかというと...カメです。テーマはズバリ、「小さいカメ」です!!
   

小さいカメは本当に飼育が簡単なのか?

一般の方が持たれている「カメ」のイメージって、どんなでしょう?
もちろん、浦島太郎の物語でわかるように背中に人を乗せることができるくらい大きい生き物、というイメージもあるでしょうけど、それはあくまで極端な話で、こと「飼う対象」「ペット」としてのカメは「小さい」と考える方が多いと思います。
それが、証拠にペットとしてもっとも親しまれている「みどりがめ」の成長した姿を見てしまった多くの人は、その大きさにビックリしてしまうのですから。
つまり何が言いたいのかというと、私たちが飼う対象のカメって、意外に大きくなり、飼うためには相応の覚悟がいる場合が多い生き物なんだということです。
そう考えたとき、私たち愛好家の中に
「カメって小さかったら飼いやすいのに」
とか
「大きくならないカメっていないのか」
という実に自分勝手で人間本位の安易な考えをしてしまいます。

しかし、本当に小さいカメって飼いやすかったり、飼育に向いていて、私たちにとって都合がいいばかりなんでしょうか。
 

小さいカメとは?

確かに、小さいカメって、とても魅力的だと思うんですよ。
使い古しの写真でスミマセン
人気のキボシイシガメも小さいカメだ

そもそもカワイイということがカメの一番の魅力と私は思うんですが、それが小さいままなわけですから、そりゃもうカワイイに決まっています。
ところが、体が小さいということは、基本的な体力も弱いし、環境の変化とかに弱かったりします。それが理由なのか、ペットとして流通するカメに極端に小さい種類というのはあまりいません。
どうやら、絶滅の危機に瀕していたり、手厚く保護されていたり、飼育方法が確立されていなかったり、と誰もが小さいカメの魅力を堪能することができるとは言い難いのが事実です。ちょっと皮肉めいた感じではありますよね。

我々両爬飼育愛好家にとっては、良くも悪くも、カメって「大きくならない」それだけで、ものすごく強い個性なんです。

とにかく、ある意味カメ界の変わり種である「小さいカメ」たちをご紹介しましょう!
 

小さいカメの種類1:ヌマガメ科の小さいカメ

さて、ここでは小さいカメを、その科ごとに最小種あるいは、それに準ずる「小さいカメ」を中心に最大甲長が14cm程度、をメドにご紹介しましょう。いや、大きさの数値に別に根拠はないんですけど。定型のハガキの長辺が140mmだそうなので、大きく成長しても、ハガキくらいの大きさの甲長と考えればわかりやすいかな、と。

さて、アメリカを代表するヌマガメ科の仲間たちで、もっとも最大甲長が小さいのはなんでしょう?
どうやら手元にある図鑑を見てみると、ミューレンベルグイシガメGlyptemys muhlenbergii のようです。最大甲長は11.4cmですから、ちょうどCDとかDVDくらいの大きさです。
アメリカ合衆国の東部に生息する水生のカメです。全身が黒色ですが、首のところに大きなピンク色がかった斑紋が美しく特徴的です。え?画像は?と?スミマセン。持っていません。実は、この小さくて美しいカメは、国際的な商取引が禁止されていて、国内では種の保存法で流通が禁止されているCITES I 掲載種なんです。
どうやらアメリカでももっとも人口が多く開発が進んだ東部が分布域であり、さらにそのかわいさからペットとしての捕獲も原因となって激減してしまったのです。「小さいカメ」の悲しい宿命に直面したカメなんです。
この小さいカメをご覧になりたかったら学名の「Glyptemys muhlenbergii」または旧学名の 「Clemmys muhlenbergii」で検索してみてください。

で、このミューレンベルグイシガメに準ずる小さなカメが、日本でも大人気のキボシイシガメClemmys guttata っぽいかな、と。最大甲長の記録が13.6cmとありますから今回のコンセプトはクリアしています。
小さい上に、文句なく美しく、飼育もしやすい。そして何より国内CBで流通が賄えていけそうな現状がイイです。ミューレンベルグイシガメと同じ轍を踏まないように、飼育者の皆さんが頑張っているわけです。

一方、アメリカのヌマガメ科の陸生種であるアメリカハコガメの仲間ではニシキハコガメTerrapene ornata の154mmが最小であるようです。こちらも細々ではありますが、国内でも時折CB個体が流通したりしますので、やはりブリーダーの方々が頑張っているわけです。
 

小さいカメの種類2:イシガメ科

さて新大陸を代表するヌマガメ科に対して、アジアを代表するイシガメ科の方では、小さいカメはどんなのがいるのでしょう。
これは未発表の写真です
記録上はヨツメイシガメも小さい


実は、まだ見つかっていないのか、それとももう絶滅してしまったのか、水生傾向が強い種類の中では14cm前後の種類というのはいないようです。
もう少し、大きいのいるんじゃね?って感じではあるんですが、最大甲長が14.5cmとされているのがジャノメイシガメヨツメイシガメです。
最近は、ずいぶんと印象が変わってきましたが、飼育が難しいという印象がぬぐえない2種です。

さて、それではハコガメやヤマガメのように陸生傾向が強いカメではどうでしょう。
どうやらイシガメ科の中での最小種とされているはケララヤマガメ(またはモリヤマガメHeosemys silvatica (またはVijayachelys silvatica )というインドのヤマガメのようです。こちらが今のところは最大記録が13.1cmということですから、かなり小さいことは間違いありません。
あまり知られていない、この小さなヤマガメは1912年に記載されてから、70年間の間、再発見されることがなかった非常に稀少な種類です。CITES II であるに留まっていますが、インドでは厳重に保護されているようなので、国内に輸入されることは、まずないと考えていいでしょう。一応、Heosemys silvatica の学名で画像検索をすると少数ではありますが、画像を見ることはできます。
これも使い古しですが、キレイな写真なので
小さいヤマガメであるスペングラーヤマガメ


ちなみに、国内でコンスタントに流通し人気が高いスペングラーヤマガメも13cm程度が最大甲長とされていますので、かなり小さいカメであります。
 

小さいカメの種類3:曲頚類

次に曲頚類を見てみましょう。こちらは、結構有名ですからご存じの方も多いかもです。

まずヘビクビガメ科では言わずと知れたオーストラリアの超貴重種であり、世界でもっとも個体数が少ないカメの一つであろうクビカシゲガメでしょう。詳しくは上のリンク先をご覧いただくとして、オスの最大甲長が15.5cmです。もちろん、CITES I であり流通はあり得ません。

もう一つの曲頚類であるヨコクビガメ科では、こちらも最近、おそらく世界初流通であろうという感じで国内に輸入されて話題になったヒメハコヨコクビガメでしょう。最大甲長は12cm程度とされています。
小ささがよくわかる
これでアダルトのヒメハコヨコクビガメ
画像提供:Herptile Lovers

小さいカメとしては珍しく、保護の対象等にはなっていないようで、今後は流通量も増えるかもしれませんが、他の種類の例もありますので、キボシイシガメのように国内でのCB化は急務でしょう。ぜひ、頑張っていただきたいものです。
 

小さいカメの種類4:ドロガメ科

もう一つの水生ガメの大きなグループがドロガメ科です。そして、小さいカメ、と言えばこのグループの独壇場でしょう。何種かの大型種を除けば、ほとんどが大きくても20cm前後、多くは15cm程度の種が多いのですから。

その中で、最小の種がみんなの憧れ、ヒラタニオイガメSternotherus depressus でしょう。いろいろと真贋論争が絶えない種類ではありますが、とりあえず文献上の最大甲長は11.5cmとなっています。アメリカ合衆国のアラバマ州の一部にのみ分布していて、厳重に保護されていますので、まず野生個体の流通はないようです。EUでのCB個体が非常に高価で少数流通することもあるようですが、あっという間に売れてしまっているようです。
色彩は地味ですが、カメらしい高い背甲が個性であるドロガメ科にあって、名前の通り「平たい」背甲は、それだけで強い個性を持っているカメと言えるでしょう。
平たいのがわかる写真にしてみました
ヒラタニオイガメ
画像提供:小家山さん

また最大甲長では、それほど変わらない近縁種のヒメニオイガメは背甲が高い分、ボリュームがあるのですが、本種の場合はそれが低いために余計に小さく見えてしまいます。

ちなみに、スッポン科ではこのような小さい種は存在しないようで、最小でもアメリカのスベスッポンApalone mutica や日本のスッポンの35cm程度であるようですから、とても「小さいカメ」という感じではありませんね。逆にカントールマルスッポンPelochelys cantoriiは2mにもなるとも言われています。

 

小さいカメの種類5:リクガメ科

ゾウガメのイメージがあるからでしょうけど、大きなカメのイメージが強いのがリクガメの仲間でしょう。しかし、こちら結構小さいのがいます。
ざっと考えても、ヤブガメの仲間クモノスガメの仲間セオレガメの仲間の一部パンケーキリクガメそしてヒラセリクガメの仲間は15-20cm程度の大きさの種類が多いようです。
とりわけ小さいのはヒラセリクガメの仲間で、現在はシモフリヒラセリクガメHomopus signatus で最大甲長は10cmに満たない9.6cmということですからタバコの箱より少し大きいくらいです。つまり、現在知られている現生のカメの中では最小ということになります。
これもあんまり小さく見えないんですけどね
もっとも小さいリクガメの一つ・ナマクアヒラセリクガメ
画像提供:aLive

まさに大きいイメージであるリクガメの、そんな小さな種類ですからかわいらしく、魅力がたっぷりですが、野生動物を厳重に保護している南アフリカ原産ですから流通する機会もないし、飼育法も確立していません。とてもではありませんが、かわいらしいから飼いたい、という対象にはならないでしょう。繁殖も非常に難しいですし、産卵数も少なく流通させるほどに殖やすのは途方もなく長い時間がかかるでしょうから。

と言うわけで、魅力がたっぷりでカワイイに決まっている小さいカメたちをご紹介しましたが、一部を除いて、私たちが愛玩を目的で飼育できるような種類ではないことも実感できたと思います。

でもいつの日か、こういう小さくて誰が見てもカワイイであろう魅力たっぷりのカメたちが、たくさん殖やされて多くの飼育者がその魅力を堪能できる日が来ることを期待してしまいます。

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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※ペットは、種類や体格(体重、サイズ、成長)などにより個体差があります。記事内容は全ての個体へ一様に当てはまるわけではありません。