亀などの温帯性両生爬虫類の冬眠明けの時期・飼育方法

亀などの温帯性種の冬眠明けを成功させるには

亀などの温帯性種の冬眠明けを成功させるには


全国の温帯性両生爬虫類飼育者のみなさん、こんにちは!と、いきなりただでさえ狭い世界の趣味なのに、さらに狭い方々に向けてあいさつしてどうする!?って感じですが、今回はそういう話題だから仕方ないですねっっ!
この時期、温帯性の両生爬虫類、例えばその辺の野原で捕まえてきたトカゲやカナヘビ、カエルとか、川で拾ったカメとかのような国産種、あるいは北米産の水棲カメ、アジア産ナメラとか、そういった「四季のある」地域原産の種類の飼育者達にとって最大の緊張の瞬間がやってきます。それは...「冬眠明け」です。

温帯性種の冬眠明けを成功させよう!

前年の秋から慎重に計画を立てて冬眠に導き、彼らに会えない寂しく厳しい冬を乗り越えて、ようやく彼らと再会できる、そんな心待ちにした瞬間ですが、それは「冬眠失敗」という恐ろしい事実を目の当たりにしてしまう瞬間でもあると言えるのです。温かくなってきたので冬眠ケージを開けたらミイラになっていた、水入れの中で溺死していたなどなど冬眠中の死亡の話は毎年あとを断ちません。あるいは目覚めたのはいいが餌を食べずに骨と皮になって死んでしまった、外に出していたら夜中に凍死していたなどと今までの苦労が水の泡になってしまう話も残念ながら、よく聞きます。今回、飼育下での冬眠の成功に高い実績を持っている私の友人から多くのアドバイスをもらえたので、そのポイントを以下に紹介していきます。なお、冬眠明けの方法は、種類・地域などによって差があることをご了承下さい。
 

温帯性種の冬眠明けは彼らにお任せ

まず、最初に意識していただきたいことは、冬眠からは「起こす」のではなく、「起きる」のを「待って、見守る」のだと思って下さい。こちらの都合で「もうそろそろ『起こして』やるか」と寝ているところをほじくり返して、いきなり夏と同じような飼育環境下に置いたりしてはいけません。そんなことをして「餌を食べない。どうしたらいいだろう?」って、当然です。今まで気持ちよく寝ていたところを起こされて「さ、働け。飯食え」と言われても人間だってできませんよね?
 

冬眠明けの4つのプロセス

当たり前の話ですが、冬眠明けは気温との相談になります。その気温の変化とともに冬眠明けは以下の4つのプロセスで進行しましょう。
・「起きてみただけ
・「温かくて寝ぼけまなこ
・「体力回復
・「本格的活動開始
各プロセスを関東地方における飼育下のニホンカナヘビの場合で考えてみましょう。
 

2月……毎日1回は冬眠用ケージの観察を

2月に入り、ちらほらと温かい日があるようになると昼の気温が高い時に出てきて動き始めます。この頃の「目覚め」は人間の睡眠で置き換えれば「明け方に『のどが渇いて』目が覚めた」とかのような一時的なものです。まだ眠りたいのです。
ですから、もちろん餌も食べなければ日光浴もしません。早々と隠れてしまうはずです。ただし、目覚めが近いというしるしですから、この時期、毎日1回は冬眠用ケージの観察をしましょう。冬眠用ケージもそのままです。

飼い主にとって最も気になる時期ですが、決して掘り返したりしてはいけません。もしも掘り返してしまっても、少し暖かい時に自分で潜ります。埋めたりしてはダメです。落ち葉を上にかぶせるくらいにしてそっとしておきましょう。もちろん、この時期に冬眠中の個体を手にのせたりハンドリングなどは厳禁です。不自然に温めることになるからです。もう少し我慢しましょう。
 

気温だけでは基本的な体温にはなれません!

人間で言えば「朝だ、起きなければ…あー、でも、まだあと5分だけ…」みたいな状態でしょう。最低気温が10℃前後になってくるとこういう状態になります。冬眠用ケージを暗くしたまま日陰から日が当たる場所に移動します。
この時期の観察は3つの時間帯がポイントです。つまり日が昇って暖かくなり始める10時前後、日が最も高い正午過ぎ、および日が傾きかけて温度が下がり始める15時前後です。特に15時前後にすでに隠れてしまっていれば気温だけでは基本的な体温になれない、つまり気温がまだ低いと言うことです。無理は禁物です。人間は恒温動物、爬虫類は変温動物なのだと言うことを忘れてはいけません
 

日中の温かい時間が続くようになったら日光浴を! 健康チェック

人間で言うところの「眠いけど、朝飯を食わなきゃ」って感じでしょうか。日中の温かい日が続くようになってくると、いよいよ日光浴によって活性化され、活発な行動を開始します。
昼間に時間がある方は10時から14時の4時間ほど、ケージ覆いを取り外して日光浴をさせます。昼間に時間がない方は休みの日などだけでも構いません。ただし、まだこの時期でも夜は気温が下がりますので、ケージを覆うのを忘れないようにしましょう。

このときに肌の質感などを観察して健康チェックをします。特に体調が悪い状態で無理に暖めて活性化させるのは危険です。ゆっくりと栄養を摂らせて徐々に体力を回復させます。
 

繁殖行動が見られたら……普通のケージへ

人間ならば「朝の始業」とでも言いましょうか。3月半ばあたりには、様子を見ながら覆いをはずして外にケージを置きます。ただし、ここでも夜は覆いをしましょう。

この頃から活発に活動を開始します。ここで言う本格的な活動とは「索餌(餌を探す)」と「繁殖(雄が雌を追いかける)」ことです。もちろん「索餌」が先ですが。
ケージ内も立体活動などができるようにしていきます。さらに昼間に「繁殖行動」が見られるようになれば、ほぼ完全に無事に目覚めた証拠ですから普通のケージに戻し、普通の飼育を開始します。
 

冬眠明けの餌について

実際には餌は「体力回復」くらいから食いますが、念のため少ない数で、小さくて消化の負担にならないような餌を、「起きてみただけ」の段階からケージ内に入れておくとよいでしょう。

生きた餌を与える場合は、餌自身が隠れてしまうので食べているかどうかは「糞」の有無で確認します。「餌は見えなくなった。糞はある。」ならば食べているので、餌は追加します。
言うまでもありませんが、水は冬眠中から欠かせてはいけません。水入れには常に水を入れておきましょう。
月に1度か2度は、床材の下の方の保湿用のミズゴケが湿るよう、床材の隅の方から静かに水を注ぎます。さらにじょうろなどで冬眠ケージ全体に一往復ほどまいて床材が常に湿った状態を保ちましょう。

長くなりましたが、いかがでしょうか?
カナヘビの例で説明をしてみましたので、他の種類の場合もこれを参考に「生き物」と「気候」の二つと相談しながらやってみて下さい。

とにかく、最も大切なことは「観察」をしながら、ということがおわかりいただけたかと思います。
さあ、これを読んだあなた!あなたの生き物たちにもさわやかな目覚めを!!

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※ペットは、種類や体格(体重、サイズ、成長)などにより個体差があります。記事内容は全ての個体へ一様に当てはまるわけではありません。