ニホントカゲの飼育方法とは?


全国の両爬ファンのみなさん、コンニチハ!

かなり一般の方からのニーズが多い「身近な両爬の飼い方」シリーズです。
今回は、ズバリ「トカゲの飼い方」です。
なんか、もう露骨に検索エンジンに引っかかりやすいようなタイトルの付け方に感じる向きも多いかもしれませんが、違いますよー。だって本当に「ニホントカゲPlesteodon japonica の飼い方」なんですから。

どうすれば、あの金ピカのチョロ助たちと仲良くなれるのか?それを徹底的に、ご紹介いたします!
実は...オオシマトカゲ...気づく人はそんなにいないだろ...
トカゲ

いつものように、今回の記事作成にあたり、ベテラン飼育者の方からの協力をいただいていますし、何より実は私・星野の得意分野でもありますので、安心して参考にしてください!

   

二ホントカゲと二ホンカナヘビ

さて、本編に入る前に、念のため確認をしておきましょう。

南西諸島や対馬以外の日本国内で、単に「とかげ」と言った場合はちょっと注意が必要です。
つまり日本で一般に知られている「とかげ」には、正真正銘のトカゲである「ニホントカゲ」とまったく別のグループの爬虫類である「ニホンカナヘビ」の2種があるからです。
見分け方は、いくら言葉で表現しても伝えきれないでしょうから下のリンク先でご確認下さい。

ニホントカゲ
ニホンカナヘビ

一応、言葉で表現してみると
  • スベスベした感じがニホントカゲ、カサカサした感じがニホンカナヘビ

  • 尻尾が青いのはニホントカゲ

  • 顔が赤くなるのがニホントカゲ
と、こんなところでしょう。
本編では「ニホントカゲ」に関して述べてありますので、カナヘビに関して情報が知りたい方はコチラへどうぞ。
 

ニホントカゲの生態、生息地

ニホントカゲは北海道から九州まで、日本全国に普通に分布する日本固有のスキンク科の爬虫類です。
えらい昔に撮影した写真でした
ニホントカゲのオス ※頭部は歴戦のケガ

「スキンク」というのは、ニホントカゲのように一般にスベスベした感じの鱗に体が覆われているトカゲの大きなグループで、世界中で最も種類数の多いトカゲの仲間のことです。あまり一般の方々には聞きなれない呼び方ですから、ま、普通に「トカゲ科」としていいでしょう。

日当たりのいい環境を好みますが、都心部でなければ住宅街でも見ることができますし樹木の多い公園などでも生活しています。もちろん山や森林にもいますし、海岸線などでも生活できます。特に西日本では普通に見られますが、関東地方では「とかげ」というとカナヘビを表す場合が多く、本種は「金トカゲ」などと呼ばれたりして子ども達の間でも特別扱いされているようなこともあります。

基本的に巣穴を掘って生活しており、山の切り通しの斜面では舗装用のブロックなどを利用して生活している姿をよく見かけます。特にオスはテリトリー意識が強く、他のオス個体に対して攻撃的になります。

成体は背面が金色がかり、特に繁殖期のオスでは頬からのどにかけて朱色に染まります。一方、幼体では金色地に黒色のライン(黒色地に金色のライン)が入り尾がメタリックブルーになっていて、非常に美しいトカゲです。
写真、ショボっっっ
尾が青い幼体


敵に襲われ身の危険を感じると、カナヘビ以上に尾を自切しやすく、青くて目立つ尾を切り離して敵の目がそちらに向いている間に逃げていくという作戦をとります。
尾は再生し、青くなりますがオリジナルの尾よりは青みが薄い場合が多いようです。

食性は昆虫食が基本で、さまざまな虫を食います。ニホントカゲより体ががっしりしている分、大きい餌を食うようで、私は以前、自分よりも大きいムカデを食べている本種を観察したことがあります。
また飼育下では果実なども食うようですから、野生でも落下した果実などを食っているのかもしれません。

初夏に巣穴や石の下などに産卵を行います。
メスは卵を孵化まで保護して管理することが知られています。このような習性は日本国内の爬虫類では珍しくニホントカゲの仲間だけの特徴と言えるでしょう。
 

その他のスキンク

ちょっとオタクっぽい話なのですが、結構重要なお話なので、お付き合い下さい。

日本国内にはニホントカゲの他にも多くのスキンクが生息しています。
一覧はコチラのページをご覧いただくとして、ニホントカゲに近い種であるPlestiodon 属の他のトカゲに関して、少しだけ理解してください。

沖縄を含む南西諸島ではオオシマトカゲ、オキナワトカゲ、バーバートカゲ、イシガキトカゲ、アオスジトカゲの亜種を含む6種が分布しています。
一方、いわゆる本土ではニホントカゲと伊豆諸島に分布するオカダトカゲが生息しています。
ここで注意したいのは伊豆半島です。
昔は本州全域のトカゲはニホントカゲで、伊豆諸島にはオカダトカゲが分布しているとされていました。ところが近年の研究で、伊豆半島に分布しているのはオカダトカゲであることがわかったのです。つまり本州の中で伊豆半島だけはニホントカゲは分布せずにオカダトカゲが分布しているのです。別種と言うことです。
どっちがいいと言うわけでもないし、見た目ほとんど区別できないから、フツーの人にはどーでもいいことなんですが...

基本的にこれらPlestiodon 属のトカゲたちは、同じような生活をしていますので飼育法も準じてかまいません。
 

ニホントカゲの魅力

実は、私ってニホントカゲをはじめとしたPlestiodon 属のトカゲたちが大好きなんです。
どんな魅力があるのでしょう。

・かわいい
私は個人的に、ニホントカゲは日本で一番かわいい爬虫類であると思っています。つぶらな瞳が文句なしに単純にかわいらしいと思うのですが、どうでしょう?
<関連ガイド記事>
Lovelyトカゲ・BEST5!!

・飼育しやすい
後述するように幼体時以外は、かなり丈夫な生き物ですので基本的なセッティングができるのならば、かなり飼育しやすい生き物だと思います。

・実は結構慣れる
本当は「馴れる」にしたいくらい、人なれするトカゲです。他のトカゲもそういう感じはありますが、少なくとも飼育下ではこちらの姿を確認すると餌をねだるくらいにはなります。
私の友人などは、にわかには信じがたいような馴れさせ方をして飼育を楽しんでいる方もいらっしゃいます。ここではあえて書きませんが。
<関連ガイド記事>
彼らが見せる謎の行動いろいろ 両生爬虫類も『遊ぶ』の!?

とにかく飼っていて楽しい生き物であり、外国産の生き物と同等以上の魅力がある生き物です。

一方、いくつか飼育に向いていないと思う点もあります。

・大きい飼育容器が必要
後述しますが、カナヘビ以上に飼育容器は広いものを使います。また屋内の飼育ならば照明器具も必須ですから、爬虫類の飼育に詳しくない方から見ると大げさで規模が大きいと感じられると思います。

・潜ってばかり
最大の欠点かもしれません。基本的に朝の日光浴時間以外は床材の中に潜って生活しています。ですから、日中や仕事から帰ってきた夕方以降は姿を見ることができません。
逆に言えば、だから姿を現しているときが楽しくて飽きないのですけど。

・雌雄の区別がつきにくい
正直、国産種大好きの私ですが、唯一雌雄の区別が確実にはできないのがこのグループです。ほとんど外見的な性差がありません。
絶対にほほえましい
メス親と幼体
写真提供:かなかなさん


成熟したオスは頭が角ばって大きくなり、のど元が赤くなるのですが、じゃ、そうでない個体はメスかといえばそうとも言えないのです。
オス同士は激しくケンカをしますので、生き残ったのが一番強いオスとメスであるというような乱暴な雌雄の見分け方を実践する人もいるくらいです。

さて前置きが長くなりましたが、そんな魅力や欠点を踏まえた上で、飼育法を解説しましょう。
 

成体の二ホントカゲの飼い方

実を言うと、ニホントカゲの飼育は「屋外飼育」が最も適した方法なのです。つまり衣装ケースや60cm以上の水槽に厚めに黒土と腐葉土を敷き、バーベキューネットで蓋をして雨の入らないベランダに置く。そして時々餌のコオロギを撒いて水入れに水を切らさない。
おそらくこのように飼育をしておけば、勝手に冬は冬眠をして何年も生き続けると思います。
ただ、そういう飼育法じゃちょっと...という方もいらっしゃいますでしょうし、爬虫類の飼育に詳しい方なら
そんな方法は温帯性の爬虫類全部に共通することじゃねーか
と言いたいところでしょうから、屋内での飼育も同時にご紹介していきましょう。

ただし!!!
尾の青い小さなベビートカゲだけは別です。
成体のニホントカゲはあんなに飼育しやすいのに、尾の青い小さなトカゲは非常に飼育しにくい生き物です。
室内で飼育していると原因も分からず、どんどん数が減っていってしまいます。これは多くの経験者の方が共通して言っていることですのでほぼ間違いありません。
ベビーの飼育では、私も今まである程度の成功を見たのは、北米産のヒロズトカゲのベビーだけです。

ですから、私としては尾の青いベビーは少なくとも生後1年間は屋外で飼育して、ある程度成長したら室内で飼育することをすすめます。
なんの工夫も自慢もできない飼育環境...恥
飼育容器の例

・飼育容器
屋内でも屋外でも、大切なのは床面積が広いことです。衣装ケースやコンテナボックスでもガラス水槽でもいいですから、成体には60cm以上が必要です。

収容頭数は尾が青くない成体ならば60cmに2匹程度まででしょう。もちろんオス同士はNGです。幼体ならば5-7匹くらいまではいけると思われます。
なお、サイズ的にニホントカゲの飼育に耐えるプラケ(プラスチックケース)はありませんので、使わないようにしましょう。絶対に衣装ケースやコンテナボックスの方がいいです。

・フタ
十分な高さがあるならば不要ですが、屋外飼育の場合はネコやカラスなどに襲われないようにバーベキューネットを使います。

・床材
個人的には、ニホントカゲ飼育の命と考えています。
先述したように、ニホントカゲは土に穴を掘って生活していますので、穴は掘れなくともしっかりと潜れるようにします。
大切なのは材質と厚さです。

材質は、成体の場合はそれほど気を遣わなくてもいいでしょう。
私は「海の砂」「ピートモス」「腐葉土と黒土のブレンド」の3種類を使っていますが、どれも特別に問題は感じずに使ってもらっています。特別に保湿に注意を払うこともなく乾きすぎだなと思ったら水を差すくらいです。

問題は、尾の青い幼体です。
幼体の飼育でピートモスやヤシガラ土を使って成功したという例をほとんど聞けません。
どうやら、これらの床材の「繊維」が幼体の食道や気管に詰まってしまうようなのです。この問題はニホントカゲに限らず、地表性トカゲの幼体全般に言えることです。

ですから、これらの床材は厳禁と言っても過言ではありません。
したがって、保湿の面まで考えれば「黒土」を敷いた上に「腐葉土」を乗せる。というのが最良のようです。

厚さは5cm以上は敷きましょう。
特に屋外での飼育は厚めに敷きます。
屋外では、万一直射日光が当たった場合、暑すぎて熱射病になってあっという間に死んでしまいます。
床材を厚く敷いておけば、そのような場合にも土の中に潜って暑さから避難できるようになります。

・照明
もちろん紫外線が必要ですが、どうもニホントカゲは思ったほど強い紫外線を必要としないような気がしています。それでも屋内では紫外線が全く足りませんので、爬虫類用の蛍光灯は必要です。
また室内での飼育には日光浴用のホットスポットが必要です。40Wほどのミニレフ球を設置しましょう。

<関連ガイド記事>
両爬飼育入門コトハジメ・照明

・保温
不要です。冬は屋外ならば冬眠します。室内でも、室温程度あればいいでしょう。心配ならば冬場のみケースの下に敷くタイプのフィルムヒーターを使いましょう。

・湿度管理
床材が常に湿っているような状況にはしないようにしましょう。
水容器に水を常に湛えている状況ならばいいでしょう。
水入れに水を入れるときに意識的に水をあふれさせて床材を湿らせれば十分です。

・シェルター
ニホントカゲは土の中に潜りますので、隠れ家になるようなシェルターは必要ありませんが、ホットスポットの真下にレンガなどを置いて日光浴の場所になるようにした方がいいでしょう。

以上がニホントカゲを飼育するために、必要な器材です。
それでは次に餌や管理に関してお話ししましょう。

二ホントカゲの餌は…

一般の方が飼育するときに、一番困るのがこれでしょう。
とにかく爬虫類を扱っているショップならば餌用のコオロギが売っていますので、何も言わずにこれを購入してください。
コオロギの他にも、ミールワーム、ハニーワームなども用意して餌のバリエーションを豊富にする必要があります。
<関連リンク集>
餌専門ショップ

餌には必ずカルシウム剤などの、栄養添加剤も添加してあげてください。
<関連ガイド記事>
サプリメント 両爬の栄養学

もちろん、屋外で虫を捕まえて与えてもいいですが、ニホントカゲは大食いです。
また小さいベビーはなおさら食わせて、少しでも早く成長させて丈夫にした方がいいです。そう考えると、一週間や10日くらいならまだしも、自家採集の昆虫類だけでトカゲを飼育し続けることは不可能です。

ただし、私はまだしたことがないのですが、ある程度慣れて、ピンセットから餌をとるようになった個体ならばアゴヒゲトカゲ用の配合飼料に餌付くかもしれません。そうなるとかなり楽です。

給餌間隔は、幼体ならば2日に一度、成体ならば3日に一度でいいでしょう。また成体はできるだけピンセットを使って餌を与えるようにしましょう。
 

屋外飼育の場所

屋外で飼育する場合に注意したいのは設置場所です。まず第一に「直射日光が当たらないこと」です。日光が直接入らなくても、屋外ならば十分彼らに必要な紫外線は得られます。それよりも熱射病の方が心配です。

また「雨が直接入らない」ようにしましょう。大雨で飼育容器内に水がたまってしまったら溺死してしまいます。

そういうわけで屋根があるベランダにケースを設置するのが一番いいでしょう。

とにかくニホントカゲ飼育のポイントは
・広い飼育容器
・幼体は「黒土と腐葉土」を床材にした「屋外飼育」
・床材を厚く敷く

の3つです。
 

二ホントカゲの入手法は捕獲…!?

さて、いつもの「身近な両爬の飼育法」では「入手法」には触れないどころか、否定的なことを皮肉いっぱいに書く私ですが、ちょっと今回は違います。

というのはニホントカゲは他の種類のように
たまたま手に入れてしまった。どうやって飼えばいい?
といったパターンは少ないと思われるからです。
つまり、ニホントカゲを飼いたい、と能動的に飼育に向かう方が多く、飼育に対するモチベーションが高い方が多いと思うのです。

そして、何よりニホントカゲは「見つけた」からといって「捕まえることができた」と簡単にはいかないからです。
とにかくニホントカゲは素早いので、捕獲するのは大変ですから。

そういうわけで、ニホントカゲを飼育したいと心から望むのならば、果敢に捕獲あるいは入手にエネルギーを費やしても良いのではないかと考えています。

それでも、ネットオークションで売っているのは大嫌いなんですけどね。つーか、ちゃんと動物取扱業とっているのか、と。
 

捕獲のポイント

もちろん、採集は飼育に必要な頭数だけにして下さい。

最も遭遇し、捕まえやすいのは交通量が少ない山道や日当たりのよい林道です。
草むらや岩場は数は多いのですが、とても捕獲の成功には結びつきません。
だからなんなのかという写真ではある
山道の石垣で日光浴をする個体

また人工建造物もいいポイントです。たとえば公園の植え込みとか、石垣とか。山の中の遊歩道の途中にある小さな橋も彼らの日光浴の場所に選ばれやすいので見つけやすいです。
山道では、捕獲するときに側溝を利用すると捕まえやすいです。

ただし時間帯によっては、彼らの体が十分に暖まっているので、そうなると私たち人類では敵いません。だってエネルギー充填120%になった彼らは「瞬間移動」という超能力を使うんですから...したがって、捕獲するためには午前中を選ぶことになります。

トカゲ釣り」は非常に効果的な採集方法ですが、ある意味「破壊的な効率」がありますので、ここでは触れません。自分で工夫をして試してみてください。
 

二ホントカゲの持ち方に注意

万一、手元に何も入れ物がない状態で青い尾をした幼体を捕まえてしまった場合は、持ち方に注意してください。

そのまま手に握っておくと、あっという間に体温を上昇させて蒸し殺してしまうことになります。
そんなときは親指と人差し指で彼らの前足を軽くつかんで保定します。できれば腕全体をつかんで動きを封じ込めたほうがいいでしょう。これならばしばらく持っていても死んでしまうようなことはまずありません。
いや、トカゲ持っている写真がなかったんだからしょーがねーじゃん
持ち方(写真はミナミヤモリ)

もちろんトカゲに限りませんが、採集しても持ち帰るのは必要最小限にしましょう。
先述したように、複数飼育ができない生き物ですから。

こうやって苦労して捕まえたニホントカゲを家に持って帰って、飼育容器に入れ、改めてよく見ると、本当にこのトカゲが美しいトカゲであるということに気付かされるはずです。
全身のメタリック感とそれに反するようなしなやかな動きと質感。つぶらな黒い瞳。きっと時間も忘れて見入ってしまうことでしょう。

ちょっと恥ずかしがり屋で、あんまり姿を現さない、でもそれだからこそ元気な姿を見たときは「飼っていてよかった」と満足感を得ることができる。

やっぱりいくつになっても関東生まれの私にとってニホントカゲは本当の意味の「金トカゲ」です。
床材に厳禁のピートモス使ってんじゃん!!というツッコミはなし
かわいいー
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