全国の両爬ファンのみなさん、コンニチハ!現在、私の住む宮崎県は梅雨のまっただ中で鬱陶しいことこの上ないです。しかも、コレが終わればいよいよ本格的な夏!両爬ならずとも動物飼育者には厳しい季節が待っています。でも、せっかく四季の国・日本なのですから、この夏という季節も楽しんでみませんか?そんな夏にピッタリの涼をよぶ、ちょっと上品な趣味を今回はご紹介です。そう、日本が世界に誇る、最古の両生類飼育「河鹿籠(かじかかご)」を紹介しましょう。
 


 
 

カジカガエルの飼い方/河鹿籠って何?

「河鹿籠」は日本古来の夏の涼をよぶ楽しみです。古くから日本ではカジカガエルを水盤などに籠をかぶせて飼育し、その声を楽しんだとされ、まさに「夏の粋」とも言えるでしょう。もしかすると、世界でもっとも古い両生類飼育の歴史かもしれません。こんなすてきな文化を考えた先人たち、そしてこんな粋を楽しませてくれる日本の自然に感謝せずにはいられません。私たちも昔の粋人に倣って、河鹿籠を作ってみましょう。
 

カジカガエルの飼い方/その前に...

しかし、私たちは忘れてはいけないことがあります。それは「生き物を飼育すると言うことは、彼らの命を預かること」です。私たちの楽しみのためだけに命を無駄にしてしまうようなことはしてはいけません。しっかりとカジカガエルのことを知り、彼らが幸せになるように飼育をすることによって、はじめて私たちはその美しい声を聞くことができるのです。

◇カジカガエルはこんなカエル
カジカガエルBuergeria buergeriは本州・四国・九州の広い範囲に分布するアオガエル科のカエルです。体長はオスで4cmほど、メスは大きく7cmに近い大きさになります。山地の渓流や湖周辺など、いわゆる清流をすみかにしており、特に繁殖期には、オスが清流の岩にテリトリーを持って、美しい鳴き声を競い合います。

その声は「フィフィフィフィフィフィ、フィーフィー」と高く澄んだ声であり、「シカの鳴き声に似ているから『河鹿』と呼ばれるようになった」と言われています。

◇体の作りから彼らを理解しよう
彼らの体の特徴をよく観察すると、きっと飼育に役立つ、彼らの生態を理解することができるはずです。まず彼らの指を見てみましょう。彼らの指先にはアオガエルの仲間の特徴である大きな吸盤が発達しています。

これは、彼らが何かにはりついて生活していることを意味しています。そして彼らの体色は、何にはりついて生活しているのかを教えてくれることでしょう。彼らはアオガエル科ですが、決して緑色にはなりません。常に褐色の体色です。これは彼らが樹上生活者ではないことを示しています。つまり、彼らはその大きな吸盤で「岩」にはりついて生活していることを私たちに教えてくれています。
 

カジカガエルの飼い方/河鹿籠の作り方

さて、それではカジカガエルの美しい声を聞くための河鹿籠のケージセッティングをご紹介しましょう。ここでは今回、アドバイス頂いたKさん宅の河鹿籠を例に紹介します。写真を参考にして下さい。
 

◇ケージ
もっとも重要な「カゴ」は縦14cm横22cm高さ14cmのCDを入れるカゴ。高さは、もう少し低くても構わないようです。これをアルミのバットの上に逆さに伏せてセットするのですが、ここで重要なポイントです。カゴとバットの間に隙間ができないように!彼らの体は、思った以上に平たいので、少しでも隙間があると、そこから脱走をします。もちろん、真夏の部屋の中に脱走してしまったカエルがどうなってしまうかは、容易に想像できます。注意しましょう。

◇床材
基本的に床材は必要ありません。と言うか、ない方が良いです。後述する水替えが面倒になるからです。なお写真では見栄えをよくするためとカエルが安心できるために砂利と色つきのビー玉が敷いてあります。
 

◇インテリア
絶対に忘れてはいけないのが、彼らが自然でテリトリーとしている「適当な大きさの石」です。これを河鹿籠の中心にセットしてあげましょう。きっと彼らはそこをお気に入りのテリトリーとしてくれることでしょう。ただし、使うカゴが金網のように透過性に優れている場合はカジカガエルが落ち着くようにシェルターは必須です。植木鉢の割ったものやウェットシェルターなどを利用すると良いでしょう。
 

河鹿籠でのカジカガエルの飼い方

◇収容数
彼らは、自然では多個体とは適正な距離を保ってテリトリーとしています。ですから、狭い河鹿籠では複数は飼育できません。Kさんは以前、二匹のカジカガエルを同時に収容したそうですが、一匹はずーっと隅っこでじっとしていたそうです。

◇水の管理
バットには深さ2cmほどになるように水を張ります。水換えの頻度は毎日でなくても良い、と言うことなのですが、私のようなずぼら飼育者はむしろ水換えは毎日の日課にした方が良いように感じます。夏の暑い中、2cm程度の深さの水は思った以上に早く蒸発します。気づいたら水がなくて干からびていた、なんて悲劇は避けなくてはいけません。バットを傾けて水をこぼし、あらたに水を足すだけでいいのですから、カエルにストレスを与えない程度にできるだけ水の管理はこまめにした方が良いと思われます。

◇温度管理
高温には弱いと思われがちなカジカガエルですが、夏場は直射日光が当たったり極端に暑くなるような場所でなければ、特別な冷房は必要ありません。玄関など、暗すぎない窓際などに河鹿籠をセットしてあげれば、よく鳴いてくれるし、暑ければ水の中に入って暑気払いをするようです。

むしろ高温よりも「蒸れ」に注意しなくてはいけません。風通しが良ければ水の気化熱により温度の上昇は防げますが、蒸れてしまっては水も気化できませんから。そういう意味ではプラケなどより、カゴを使う方が理にかなっています。とにかく「風通しの良さはカジカ飼育の命」

◇河鹿籠の季節
残念ですが、河鹿籠で通年カジカガエルを飼育することはできません。春から夏の間は、河鹿籠で鳴き声を楽しめますが、秋になったら飼育のセッティングを変えて、冬眠させることになります。カエルの飼育と冬眠に自信のない方は、秋になったらカジカガエルを生息地に逃がすことを奨めます。また、カジカガエルの飼育は特に冬眠のさせ方が、他のカエルと異なる点があるため、もしも今回の記事が評判が良くて、反響や要望があれば、冬眠を含めた秋以降のカジカガエル飼育の方法をご紹介します。

その他の飼育環境は普通のカエル飼育に準じますので、ここでは割愛します。
 

カジカガエルの飼い方/最後に

さて、今回の記事を読まれた上で、みなさんに感じて欲しいことは
「カジカガエルを真剣に飼えば、美しい鳴き声というすばらしいギフトがある。逆に言うと、鳴き声を楽しみたければ真剣に飼育する」
と言うことです。

実は、私自身カジカガエルの飼育には過去、何度か挑戦したのですが、ことごとく失敗しています。私が両生類飼育が苦手である、と言うことが原因ではありますが、カジカガエルは日本のカエルの中では、その飼育が決して簡単な部類あるとは言えません。

ですから、今回の河鹿籠のすすめも、安易にカジカガエルを飼育することを奨めるものではありません。ましてや、カジカガエルが注目されてショップやオークションなどで、場合によっては劣悪な環境でストックされた愛されていない個体が大量に扱われ、消費的に飼育されてしまうことは本意ではありません。

これから河鹿籠を楽しもうと考えてらっしゃるみなさまには、どうかご自分でカジカの鳴く清流に足を運ばれ、自然の中で彼らを観察して愛情を持って飼育して欲しいと思ってやみません。河鹿籠から聞こえる美しい鳴き声は「カジカガエルを愛して、大切に飼育してくれた飼育者に対する、カジカガエルからの素敵なプレゼント」なのです。
 

なお、今回の記事はカエル飼育の大ベテランであり、十数年前から自宅で河鹿籠でカジカガエル飼育を楽しみ、最長で同じ個体を7年間、現在は4年前から飼育している個体で河鹿籠を楽しんでいらっしゃる友人のKさんから河鹿籠の極意を教わりました。この場をお借りして、Kさんに感謝いたします。

【関連記事】
【参考サイト】
カジカガエルびっきぃとやまどじょう

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※ペットは、種類や体格(体重、サイズ、成長)などにより個体差があります。記事内容は全ての個体へ一様に当てはまるわけではありません。