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CC160周年記念第2弾・アメリカからカナダへ

年が明けて、2018年、カナディアンクラブ(CC)は160周年を迎える。今回は記念記事第2弾。ハイラム・ウォーカーがカナダに蒸溜所を建設した19世紀半ばの時代背景について解説する。

協力:サントリー
達磨 信

執筆者:達磨 信

ウイスキー&バーガイド

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ボストンからデトロイトへ

ハイラム・ウォーカー

ハイラム・ウォーカー

前回記事で来年2018年、「カナディアンクラブ」(以下CC)が誕生160周年を迎えることをお伝えした。今回からは隣国アメリカンウイスキーの動向を眺めながら、現代カナディアンウイスキーの源流ともいえるカナディアン・テイストの創始者ハイラム・ウォーカーとCCの歩みを語ることにする。
CC 誕生は1858年。創業者ハイラム・ウォーカー42歳の時だった。彼は1816年の7月4日、アメリカのマサチューセッツ州に生まれた。誕生日がアメリカ独立記念日の7月4日という男が、何故カナダでウイスキー蒸溜をはじめたのだろうか。
ウォーカーが幼少時のアメリカは、1815年2月に終結した米英戦争の影響からイギリスとの関係が悪化し貿易が途絶えてしまい、国内生産を高めなくてはならない状況となり工業化への道を邁進しはじめていた。一方で農業の充実を肥沃な内陸部に求めることになる。つまり西へ西へとフロンティアがすすんでいくことになる。
1816年、ケンタッキー州の北、オハイオ州の西隣に19番目の州としてインディアナ州。翌年、20番目はミシシッピ州。1818年にはシカゴのあるイリノイ州。その翌年、アラバマ州。1820年にはマサチューセッツ州から独立してメイン州。そして1821年、24番目に中西部の拠点となるセントルイスがあるミズーリ州が誕生した。
ただし、地図で確認すればわかるように州として成り立っているのは東よりの地域であり、真の西部開拓は南北戦争(1861—1865)以降のことになる。
ウォーカーは20歳でボストンの食料品店で働きはじめる。2年後、準州から昇格したばかりのミシガン州(1837年26番目の州)デトロイトに移り、さまざまなビジネスを学ぶ。そして製粉業や食料品店経営などで成功をおさめていく。
やがて製粉という穀物商からデトロイトでウイスキー事業への道を進もうとした。しかしながらアメリカ国内では禁酒運動が盛んになる。生まれ故郷のマサチューセッツは古くから飲酒に対して厳しい節度を求める土地柄であったが、そこから独立したメイン州が1853年に禁酒法を施行する。これに同調しようとする空気が各地に広がりはじめようとしていた。


デトロイトからカナダ・ウィンザーへ

オールド・タブ現復刻製品

オールド・タブ現復刻製品

皮肉なことにその一方でアメリカのウイスキー業界は興隆期を迎えていた。独立時の東部13州地域ではライウイスキーが根強い人気を誇っており、アパラチア山脈の西、ケンタッキー州ではバーボンウイスキー事業が拡大しつつあった。
象徴的なバーボンが「オールド・タブ」。これは世界No.1の販売数量を誇るバーボン「ジムビーム」を生むビーム家(『ジムビーム/バーボン、偉大なる血族の記録』記事参照)が、メイン州禁酒法施行の1853年に発売したものだ。
「オールド・タブ」はたちまち人気となるが、3代目のデビッド・M・ビームはこれをナショナルブランドへと高める道を拓く。
彼は3年後の1856年、清冽で豊かな水源を確保でき、鉄道駅、電信局が近くにある場所に最新設備の蒸溜所を建設する。
カナディアンクラブ

カナディアンクラブ

原料や製品はもちろん事業に関わるさまざまな物資の輸送には鉄道とオハイオ川とミシシッピ川の蒸気船を巧みに活用。輸送効率のアップや取引先との連絡、その他の受発注に電信を役立てた。これにより南北戦争後は「オールド・タブ」の評価はより高まり、市場は大きく広がった。
実はその1856年、アメリカでは全国禁酒同盟が発足している。そしてこの年、ハイラム・ウォーカーはアメリカを離れる。ライウイスキーの興隆、バーボンウイスキーの成長を見つめながら、さらなる市場拡大を予見しつつ、将来の酒類事業展開の難しさも感じていたのだった。アメリカとカナダの国境線でもあるデトロイト川。これを挟んだデトロイトの対岸、カナダはオンタリオ州ウィンザーに蒸溜所を建設したのだった。(次回、第3弾へとつづく

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