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医療費控除は年末調整でなく確定申告で手続きする
昨年1年間で医療費がたくさんかかった人が医療費控除を受けて還付金をもらいたい場合、年末調整では手続きができず、確定申告が必要となります。医療費控除の申請をするには、まず書類を一通りそろえることから始めます。勤務先で配られているはずの源泉徴収票のほか、確定申告書など自ら入手しなければいけない書類もあります。必要なものを先にすべてそろえてから実際に書き始めるとスムーズですよ。
今回は確定申告の義務がなく、勤務先で年末調整済みの給与所得者(会社員やパート、アルバイト)を対象に2024年に行う確定申告の方法を説明します。
【音声・動画で医療費控除のポイントについて税金ガイド・坂口猛さんが解説】
2023年分の確定申告は2024年2月16日(金曜)~3月15日(金曜)です
2023年分の確定申告の期限は2024年2月16日(金曜)~3月15日(金曜)ですが、確定申告の中でも、医療費控除などの還付申告は、該当する年の翌年1月1日から5年間は申告ができます。例えば、2023年分の医療費控除の場合は、2024年1月から2028年の12月末日までとなります。確定申告書は、税務署に直接持参するほかに郵送でも提出が可能です。確定申告の受け付けが始まる2月から3月は税務署が混みあいますので、郵送やe-Taxでの提出も検討しましょう。
医療費控除の必要書類と提出書類とは?
●作成に必要だが提出しないもの【1】勤務先で配られた源泉徴収票(転記するため必要で、提出はしない)
【2】医療費通知(必須ではありません)
【3】医療費の領収書やレシート(合計額の計算のため、提出はしない)
【4】交通費の領収書(タクシー代など。提出はしない)
●税務署に提出する書類
【5】確定申告書・第一表と第二表
【6】医療費控除の明細書
【7】マイナンバーの本人確認書類の添付書類台紙
以下、それぞれの書類の入手方法と役割を具体的に説明します。
【1】勤務先で配られた源泉徴収票
会社員などの給与所得者は、年末調整後の12月末から1月にかけての間に勤務先で源泉徴収票を受け取るかと思います。この源泉徴収票は確定申告には欠かせませんので、大事に保管しておきましょう。 もし紛失してしまっても、会社に(役所や税務署ではありません)再発行の依頼をすればOKです。ちなみに、源泉徴収票は2019年4月から確定申告をする際に提出する必要はなくなりましたが、確定申告書の記入・パソコンでの入力をする際には必要なので、必ず手に入れておきましょう。【2】医療費通知(提出は必須ではない)
また、医療費控除の明細の記入ですが、健康保険組合や協会けんぽなどから送られてきた「医療費通知」があれば、添付することにより総額を記入するだけでOKとなります。「医療費通知」は2月ごろに送られてくるところが多いですが、半年に1回などで送ってくる健康保険もあるので届いているか注意しておきましょう。【3】医療費の領収書やレシート(合計額の計算のため、提出はしない)
昨年1月1日から12月31日までに支払った医療費の領収書・レシートを集めておきます。自分自身の分だけでなく、生計を一にする家族の分も忘れずに。ここで集めた領収書の内容を、「医療費控除の明細書」へ転記することになっています。日付順などは関係なく、家族の名前、医療機関ごとに金額を記入すればいいということになりました。レシートは提出せずに自宅で5年間保管します。【4】交通費の領収書(タクシー代など。提出はしない)
通院・入院のためにかかった交通費、電車やバスによる移動が難しい時のタクシー代なども、医療費控除の対象になります。交通費の領収書もなくさないようにとっておきましょう。公共交通機関については、日付とかかった交通費などの履歴を残しておきます。【6】の医療費控除の明細書にもその金額を転記します。交通費の領収書は、税務署には提出せず自宅に5年間保管します。【5】確定申告書
医療費控除を申請するには、会社員であれば確定申告書を使います。第一表・第二表に自分の年収やすでに適用されている所得控除、すでに給与天引きで支払っている所得税などを源泉徴収票から転記します。医療費控除のように、確定申告で新たに申請する所得控除については、自分で控除額を計算した上で記入します。マイナンバー(個人番号)を記入する欄が設けられているので忘れずに記入しましょう。
確定申告書の第一表・第二表を手に入れる方法ですが、税務署に取りに行く、または郵送で取り寄せるという方法がありますが、自宅にプリンターがあれば、国税庁のHPから、PDFファイルを開き印刷するのが手っ取り早いと思います。
●国税庁HP
確定申告書
【6】医療費控除の明細書
「医療費控除の明細書」には、1年間に医療機関ごとにかかった金額を自分で計算して記入します。こちらの用紙も、税務署に取りに行く・郵送で取り寄せるほか、国税庁のHPから印刷することができます。【2】の医療費通知があれば医療控除の明細書は不要です。 ●国税庁HP手書き用の医療費控除の明細書(PDF)
医療費集計フォーム(エクセル)
【7】マイナンバーの本人確認書類の「添付書類台紙」
確定申告書を作成する際にはマイナンバー(個人番号)を記入する必要がありますが、あわせて、提出時に税務署の窓口でマイナンバー確認書類を提示する、またはマイナンバーの本人確認書類の「添付書類台紙」に住所と氏名を書き込んだ上で、マイナンバー確認書類のコピーを貼って提出する必要があります。「添付書類台紙」も国税庁のHPから印刷が可能です。マイナンバーの本人確認書類とは以下になります。
1. 提出時に窓口で提示する場合
マイナンバーカードまたはマイナンバー通知カードと身元確認書類(運転免許証・パスポート・健康保険証・在留カードなど)
2. 提出時にコピー(写し)を添付する場合
マイナンバーカード、またはマイナンバー通知カードと身元確認書類(運転免許証・パスポート・健康保険証・在留カードなど)
▼書式のダウンロードはこちら
手書き用の確定申告書
▼書き方の手引きはこちら
手書きの場合:
国税庁「医療費控除を受けられる方への手引き」
以上、医療費控除の申請に必要な書類とその入手方法についてご説明してきました。書類の作成はちょっと面倒ですが、還付金がもらえることを心の支えに、がんばって手続きを終わらせましょう!
マイナンバーカードがあれば、e-Taxが利用可能に
用紙に手書きで作成する方法のほかにも、パソコンを使って作成する方法があります。国税庁の確定申告書等作成コーナーで指示に従って入力していけば自動的に申告書が完成します。作成途中に保存し、後で作業を再開することもできるため、自由に使えるパソコンがあるならこの方法がよりおすすめです。確定申告書を作成し終わると、PDFとしてダウンロード、印刷ができます。印刷して税務署に提出すればOKです。また、税務署に持参・郵送するほかに、スマホ・パソコンを使って電子申告(e-Tax)をしたい人がいると思います。マイナンバーカードが手元にあれば、バーコードをスマホで読みこむなどの、事前設定が必要ですがe-Taxが可能です。
マイナンバーカードがない場合は、ID・パスワード方式が利用可能となっており、税務署で職員との対面による本人確認などに基づいて税務署長が通知したe-Tax用のID・パスワードのみで、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」からe-Taxによる送信ができるようになっています。
また、近年、所得税の確定申告手続きについて、マイナポータルを活用して、控除証明書などの必要書類のデータを一括取得し、各種申告書への自動入力が可能となるよう、簡素化がなされていますので、活用してみてはいかがでしょうか。
マイナポータルを活用した年末調整及び所得税確定申告の簡便化(マイナポータル連携特設ページ)|国税庁(nta.go.jp)
【そもそも、医療費控除で戻る税金とは所得税。詳しくは動画で解説】
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