エーゲ海の白砂の浜辺
エーゲ海の風がそよぐ店内
鈴木健司氏の『アドニス』は渋谷のBunkamura(東急文化村)に近い、文化村通りをはさんだ東急百貨店本店の対面の居酒屋をはじめ飲食店が各階に入ったビルの9階にある。エレベーターで上がり、扉が開くと、街の喧噪が嘘のようだ。
“エーゲ海の風”をコンセプトにした白を基調にした内装で、カウンターも白の大理石。カウンターは癒しの白い珊瑚礁、寛ぎの白砂の浜辺のようだ。
さてその『アドニス』でわたしは「ミントジュレップ」を味わう。バーボンウイスキー、スペアミントの生葉、シュガー、クラッシュドアイスが一体となったクール&スイートの世界に酔う。鈴木氏のミントジュレップを飲めば、渋谷の町にクールなジェントル・ブリーズが吹きわたる。
ジムビームとメーカーズマークのミントジュレップ
ジムビームミントジュレップ
ジムビームは、クリーンで穏やかなバーボン樽のニュアンスを抱いた軽やかな甘さと、キレのよい後味が特長的だ。鈴木氏はシルバーのジュレップカップに「ジムビームミントジュレップ」をつくってくれる。ストローはつけない。
ストローで飲むと、ジムビームのキレがミントと相まって辛口というかスパイシーな印象が強くなってしまうからだ。
ジュレップカップに口をつけ啜ると、清涼感あふれる柔らかい甘さが心地よく口中に広がる。そのクールさは水辺の安らぎに憩う感覚に似ている。
メーカーズマークミントジュレップ
メーカーズマークは原料の一部に小麦を使い、ふっくらとした甘みのあるスイート&スムーズな風味を特長としたプレミアムバーボンだが、オレンジジュースとの相性が素晴らしくいい。メーカーズマークのオレンジ割りを好む人はとても多い。
鈴木氏が「メーカーズマークミントジュレップ」にオレンジスライスを加える理由もよくわかる。飲んでいる途中、ストローでオレンジスライスをスペアミントが佇むグラス底部に落とし込んでみる。
これをストローで吸い込むと、ミントのクールな感覚とともに見事に調和したメーカーズマークのふくよかな甘みとオレンジの甘みが口中で浮遊する。しなやかさがある。
ミントジュレップをつくる鈴木氏
渋谷に出かけたら『バー・アドニス』に行こう。(撮影/すべて川田雅宏)
BAR Adonis
東京都渋谷区道玄坂2-23-13 渋谷デリタワー9階
Tel.03-5784-5868
18:00~2:00 不定休
ウイスキー¥800~、カクテル¥1,200~、ジムビームミントジュレップ¥1,300、メーカーズマークミントジュレップ¥1,400、チャージ¥1,000
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