スローイングが生む、格別なベリーニ

見事なスローイング

見事なスローイング

赤坂の『BAR Tiare』に是非とも行っていただきたい。水澤泰彦氏のカクテルの香味は麗しく、安定感がある。かつてはカクテルコンペティションで大活躍した。40歳を超えたいまの安定感あるカクテルの味わいは、若い頃からの精進の賜物である。
この暑い季節は彼のサマー・カクテルをおすすめする。わたしは桃が大好きである。そこで水澤氏の「ベリーニ」を飲んでいただきたい。桃が入手できる8月いっぱいは楽しめる。
スプマンテ(イタリアのスパークリングワイン)とすりおろした桃、グレナデンシロップというシンプルなレシピから生まれる味わいはもちろん美味しく、さらにはボストンシェーカーを使ってのスローイングというパフォーマンスで魅了する。
ペイズリー柄のグラスに注がれる

ペイズリー柄のグラスに注がれる

ただし、パフォーマンスが格好いいとか技術がどうのこうのではなく、スローイングにはちゃんとした理由がある。
味わいがふっくらしなやかになるのだ。スパークリングワインとピーチの甘酸っぱさを抱いたフワフワっとした柔らかい感覚が口中に広がると幸せな心地となる。そんでもって、また来なくっちゃ、と思うのだ。

店名のティアレはタヒチの白い可憐な花。小花ながら思いのほか甘く強い香りの記憶を刻みつける。サマセット・モームの小説『月と六ペンス』には、ひと度ティアレの花を嗅いだものは再びタヒチに戻ってくる、といった一節があるらしい。水澤氏は、また訪れたくなる店、との願いを込めてティアレを店名にしたようだが、まさに。格別な「ベリーニ」の一杯を飲んだだけで、何度も通うようになる。

フワフワ感が伝わってくるベリーニ

フワフワ感が伝わってくるベリーニ

シェーク&ハイボールのミントジュレップ

もうひとつカクテルを紹介しよう。「ミントジュレップ」だ。水澤氏はソーダ水を使った、バーボン&ソーダ(ハイボール)感覚に仕上げる。口当たりよく、ミントが香るクール&スイートな感覚がスーッと口中を駆け抜ける。
通常、バーボンはオールドグランダッドを使う。でもね、カウンター席についたら、「メーカーズマークのミントジュレップ。シェークしてください」ってオーダーしていただきたい。いい、シェークだよ。忘れないで。
なんでシェークなんかするの?って、疑問を抱かれるかもしれないけれど、いいからとにかく試していただきたい。とてもとても軽快でクール。わたしはこういうアレンジがあっていいと思う。


ハイボール感覚のミントジュレップ

ハイボール感覚のミントジュレップ

今回はあえてレシピやつくり方を詳しく紹介しない。とにかく訪ねていただきたいからだ。『フレッシュフルーツカクテルブック』を上梓している水澤氏は、季節のフルーツを使った麗しい味わいのカクテルで客のこころを潤してくれる。いまの季節、「ベリーニ」や「ミントジュレップ」の他にもたくさんのサマー・カクテルを満喫できる。もちろんスタンダードカクテルの味わいも見事だ。
読者の皆さん、『バー・ティアレ』に行きなさい。女性はとくに行きなさい。若いスタッフ、男性と女性の二人のバーテンダーの接客もいい。きっとファンになり、次には誰かを連れて来なくっちゃ、との思いに駆られる。
(撮影・すべて川田雅宏)


店内

 

BAR Tiare
東京都港区赤坂4-2-2 赤坂鳳月堂本店ビル5階
Tel.03-3585-7300
17:00~1:00 日祝休
ウイスキー¥900~、カクテル¥1,000~、ベリーニ¥1,400、ミントジュレップ¥1,300(スペアミントとアップルミントのブレンド¥1,400)、チャージ¥500

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