白桃を使った、フレッシュでふくらみのあるコクが口中を華やぎで満たすベリーニは夏季限定。飲めるのはおそらく8月末までではないだろうか。白桃が終われば、このカクテルも姿を消す。
白桃のピューレとスプマンテ(イタリアのスパークリングワイン)を操った森勝宏氏のベリーニは、本家ベネチアのハリーズ・バーのベリーニより旨い。一般的なピーチネクターを使ったものなんぞ飲めなくなるだろう。
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オーセンティックな落ち着いたつくりのいいバーだ。長く伸びたカウンターの姿が潔く、美しい。じっくりと酒と対峙できる清々しさがある。
森氏は30代後半となったが、若い頃から丁寧なカクテルづくりをする男だった。とくにステアする姿勢に惚れている。酒を痛めない、独特のステアをする。
またバーテンダーなら誰しもそうだろうが、とくに彼はおいしいものをサービスしようという気持ちが素直に客に伝わってくる。静かで穏やかな口調の接客も好感が持てる。
夏のベリーニが終われば、秋にはカルバドス(リンゴのブランデー)とザクロのカクテル、ジャック・ローズに移る。この2品を飲めば森氏の慈愛のある香味が理解できるはずだ。