ウイスキー・ベースのカクテル
カクテルの女王「マンハッタン」
ウイスキーを味わう愉しみが広がっていけばと願い、やり直すことにした。是非、バーで味わっていただきたい。
では、またマンハッタンからはじめる、過去の記事、『夕暮れのドライ・マンハッタン』も参考にしてくださればありがたい。まずは、カクテル・レシピから。
Manhattan/マンハッタン
ライ・ウイスキー 3/4
スイート・ベルモット 1/4
アンゴスチュラ・ビターズ 1dash
ステア/カクテルグラスに注ぎ、マラスキーノ・チェリーを飾る。日本ではレモンピールを絞りかけるが、欧米ではほとんど見かけない。
テイスト/アペリティフ(食前酒)とされる。味わいは中口とでも表現しようか。ドライ(辛口)な中にスイート・ベルモットの甘さがしっとりと寄り添い、さらに甘みのあるチェリーをかじってから飲むと、柔らかな味わいとともに奥行きが感じられる。
アルコール度数は25度以上と高めで、ライ・ウイスキーを多くして4対1の比率にすれば30度くらいになる。日本の多くのバーテンダーはおそらく4対1でつくっているのではないだろうか。3対1だとベルモットの感覚が強く出る。ウイスキーとの滑らかなバランスを取るならば、4対1であろう。
カクテルの女王はどうして生まれたか
以上がマンハッタンのレシピとテイスト。まず名前についてだが、アメリカ合衆国はニューヨークのあの世界都市、マンハッタン島のこと。先住民族、アルゴンキン・インディアン語で“酔っぱらう”ことを言ったらしい。
1626年にオランダ人がインディアンの酋長に酒を飲ませて泥酔させたところで、24ドル相当の安物の品との交換でこの島を手に入れた。酋長は素面に戻ったときに「マンハッタン状態だったから、契約は無効だ」と言ったのを、オランダ人が地名と勘違いした、なんてことが伝えられている。
さて、カクテル・マンハッタンの誕生はというと、イギリス首相だったウィンストン・チャーチルの母が娘時代に創案したという説があり、世の中は一般的にこれを真説のように言いたがる。でも、わたしは疑問に思っている。
マンハッタンは“カクテルの女王”、マティーニは“カクテルの王”と称されるが、これらはジン&イット(Gin&It)の発祥から、時の流れでマンハッタン、そしてマティーニと、生まれるべくして誕生したものだと思う。マンハッタンというカクテルの命名にはチャーチルの母が関わっているかもしれないが、創案者ではないんじゃないか、というのが持論だ。
そのあたりのことを次回に詳しく述べようと思う。
関連記事
夕暮れのドライ・マンハッタン銀座『ゼニス』須田善一のマンハッタン
アイルランドを謳うシャムロック