まずはマンハッタンを飲め

須田善一氏とは10年以上の付き合いとなる。若く、初々しさのある頃から知っている。
3月に紹介した中村健二氏の銀座『絵里香』に長年務め、この4月に独立。銀座8丁目に『Ginza Zenith』(ゼニス)を開いた。

マンハッタン
上/響30年のボトルを加工したミキシンググラスでステア。下/カナディアン・クラブ・ブラックラベルとチンザノのスイートベルモットで仕上げたマンハッタン(¥1,500)。これがなんともウマイ。
小ぢんまりとしたいい店だ。カウンターは7席。背後のテーブル席は詰めると8人ぐらいは座れるか。まあ、全席15人といったところだろう。

独立して、何がいちばん人気であるか、と聞くと「マンハッタン」だと須田氏は答えた。ちと、これには驚いた。マンハッタンはスタンダードカクテルではあるが、どちらかというとシブ目のカクテルだ。マンハッタンがいちばん人気の店というのは、はじめてである。

須田氏自身も驚いている。「須田君のカクテルが飲みたいっておっしゃるお客様が多いのは嬉しいんですが、マンハッタンが人気の理由がよくわからないんですよ。絵里香でも、マンハッタンを特別たくさんつくったという記憶もありませんし」と首をかしげる。

ミキシンググラスは響30年

とりあえず、そのマンハッタンを飲んでみることにする。
そこでひとつ発見。ミキシンググラスが、どっかでみたことがあるような、ないような。須田氏に聞いてみると、なんと響30年のボトルだという。
独立と同時に、愛着の持てるカクテルツールが欲しかったらしい。そこで目を付けたのが響30年。グラスメーカーに空瓶を持ち込み、上部をカットして、注ぎ口を加工してもらった。
響30年は細長い面が30ほど連なっているのだが、その30面体が、どっかで見たような思いを誘ったのだ。

その愛着あるミキシンググラスでマンハッタンをステアする。しなやかで繊細なステアだ。
べースのウイスキーはカナディアン・クラブ・ブラックラベル。スウィートベルモットはチンザノ。仕上がった一杯は、「須田君よ、なんとも、ウメェーじゃないか」。(次ページへつづく)