スペインのチーズ
スペインでチーズ作りが始まったのは9世紀ごろから。羊毛の生産が盛んだった歴史をうけて、羊のチーズも多彩です。もっとも有名なのは、マドリードの南、カスティーリャ・ラ・マンチャ州で作られる羊のハードチーズ「マンチェゴ」。乾燥した広大な大地が広がるラ・マンチャの地名にちなんで名づけられ、かの名作『ドンキホーテ』にも登場しました。北部のアストリアス地方のブルーチーズ「カブラレス」は個性的な味わいが魅力。牛・ヤギ・羊のミルクから作られ、とくに3種を混ぜたものは風味も濃厚です。美食の郷として知られるフランスとの国境付近のバスク地方に古くから伝わるのは「イディアサバル」という羊のチーズで、スモーク香が特徴。地中海に浮かぶメノルカ島の「マオン」も味に定評があり、オリーブオイルやローズマリーと合わせてよく供されます。
ポルトガルのチーズ
生産量がそれほど多くなく、日本ではお目にかかることの少ないポルトガルのチーズは、その多くが羊。大型の工場もありますが、小規模な農家が作るチーズが多く、素朴な雰囲気も魅力です。また、チーズを固まらせる凝固剤(レンネット)として、アザミを使ったものが多いのも特徴(※一般的には微生物から作るレンネットを使ったものが多い)。なめらかな羊のチーズ「ニーザ」、ポルトガル中央に位置する町の名前が付いた「カステロ・ブランコ」などがその一例です。このほか、ポルトガル南東部のアレンテージョ地方の「エヴォラ」はウォッシュ製法による羊のチーズで、かつては通貨として使われていたという話も。マデイラ島にはゴーダのレシピを元に生まれた「サン・ジョルジュ」というチーズもあります。
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