ケース2:夕食融合×加齢期×息子夫婦同居
ケース2 想定している家族構成 |
このケースの場合、夕食は二世帯揃って一緒に楽しむけれど、その他の家事は別々という同居スタイルです。また、親世帯が高齢のため、加齢に伴う配慮をするべきでしょう。例えば、親世帯にサポートが必要になることも考え、在宅介護サービスが受けやすい工夫なども盛り込みます。また、息子夫婦同居ですから、メインのキッチン・食堂は一緒にしますが、世帯毎の生活、特に家事の自立性を高める配慮をします。
以上の点から、2階の子世帯にあるメインキッチンとは別に、1階の親世帯部分にサブキッチンを設けた『融合二世帯』となっています。また、玄関・水回り(浴室・洗面所)などは共用でも、洗濯機は別々に置くなど、家事の分離ができる配慮をします。さらに、1階に勝手口を設けるなど、親世帯の独立と利便性を考えました。では、平面図で配慮したポイントをご確認下さい。
【融合二世帯】 |
※平面図をクリックすると大きく表示されます |
親世帯から2階のLDに行きやすいようエレベーターを設置し、さらに車椅子も配慮したサイズとしています。
(2)親世帯・洗濯機スペース
1階の洗濯機は親世帯専用で使うことが可能。また、子世帯が親世帯の洗濯をサポートすることもできます。
(3)親世帯・勝手口
家事のほか、在宅介護サービスを利用する際の出入口にも便利です。
(4)親世帯・サブキッチン
朝食が別の場合は必須。また、親世帯が子世帯とは違うペースで食事やお茶をしたい時にあると便利です。
(5)親世帯・寝室
将来、トイレ・洗面所などの増設ができるよう、配管準備をしています。
(6)子世帯・寝室
親世帯の寝室と同フロアにすることで、様子がわかり安心できるよう配慮しています。
(7)子世帯・子ども室
子世帯夫婦の寝室が1階のため、2階はスペース的に余裕があります。子どもが独立後は、書斎や家事室としても利用できます。
(8)子世帯・納戸
浴室を共用としているため、収納スペースが多く取れています。
こちらも前ページのプランと同様、【加齢期→介護期→その後】と進む、ライフスタイルの変化を想定しています。例えば、【現在(加齢期)】は親世帯の自立性を尊重し、サブキッチン・洗濯機スペース・勝手口を設けていますが、【介護期】には、訪問介護サービスに勝手口の鍵を預けたり、家事のヘルパーを頼んでも子世帯の生活に影響しないよう配慮した設計にもなっています。また、【その後】子世帯夫婦がふたりだけとなった時に、1階のキッチンをメインで利用すれば、平屋感覚で生活することもできるなど、いろいろな家族の変化に対応できることを意識しているのです。
以上、二世帯住宅のプラン例をご紹介しましたが、家族の人数・年齢(ライフステージ)・同居スタイルに合せた設計に加え、将来を踏まえたプランニングが大事だということが、実感頂けたのではないでしょうか。
また実際の計画では、さらに、ご家族の細かな要望やこだわりが出てくることかと思いますが、大きな方針を外さなければ、必ずベストなプランが立てられるはずです。ぜひ、二世帯住宅をプランニングする際の参考にして下さい。
【参考記事】
等身大の住宅で見る、親世代の快適プラン
実例に学ぶ、二世帯プランニングのコツ
問題点は何?失敗事例に学ぶ二世帯同居の鍵