『夕食が別々』『夕食が一緒』という二世帯同居の2つのタイプから、それぞれの同居スタイルに適したプランを考えてみましょう! |
当サイトの記事「夕食スタイルが同居スタイルを決める!?」に詳しく書かれていますが、夕食が別々か一緒かは、同居スタイル全体を大きく左右します。そして「二世帯の夕食が独立なら建物も独立型?(前編)」で触れたように、『夕食独立』ならダブルキッチン、『夕食融合』ならサブキッチン、というのがプランニングのポイントになります。
この夕食スタイルによる独立・融合の違いをベースとして、年齢(ライフステージ)と家族構成とを考慮し、将来への展望を加えて実際のプランニングは進んで行きます。では、夕食スタイル×ライフステージ×家族構成を掛け合わせた時どのようなプランになっていくのか、2つのモデルプランをご説明します。
ケース1:夕食独立×育児期×娘夫婦同居
ケース1 想定している家族構成 |
このケースの場合、夕食独立ということから、基本的な生活が別々にできる『独立二世帯』とします。各世帯の生活リズムが異なっても、互いのペースを崩さず生活するためには、プランニングにも独立性が求められます。しかし、子世帯が子育て中ということで、親世帯の家事育児協力が必要となる時期でもあります。そのため、両世帯を気軽に行き来できる動線は確保する必要があります。
以上の点から、親世帯の生活スペースを1階・子世帯の生活スペースを2階とし、世帯別に、キッチン・浴室・玄関を設け、日常生活の独立性を高めながら、内部通路で家事スペース間を気軽に行き来できるよう配慮した『独立二世帯・内部行来型』としました。では、平面図で配慮したポイントをご確認下さい。
【独立二世帯・内部行来型】 |
※平面図をクリックすると大きく表示されます |
対外的に独立性をアピールする子世帯専用の玄関。深夜の帰宅や休日の来客も親世帯への気兼ねが要りません。
(2)内部行き来ゾーン
現在はここで内部の行き来を確保しています。将来的に改装すれば、独立した世帯とすることも可能。
(3)親世帯・LD
独立して調理・食事が可能。子世帯と生活リズムを合わせることなく、今まで通りのペースで生活ができます。
(4)親世帯・寝室
将来の加齢配慮とし、トイレ・洗面所を設置するための配管準備もしておきます。
(5)各世帯・水回り
浴室・洗濯機スペースも各世帯で別々としています。家事協力をすることがあっても、お互いの独立性を重視しました。
(6)親世帯・和室
スペースに余裕があれば、和室がひとつあると予備の寝室にもなり便利です。
(7)子世帯・子ども室
将来、間仕切りができる可動家具を置けば、2人分の個室に分けることができます。
プランニングをする際は、計画段階の条件や要望を実現するだけでなく【育児期→学齢期→加齢期→その後】と変わっていくライフスタイルを想定することが必要となります。例えば上記プランの「子ども室」は、初めは居間と続いている一体の空間ですが、可動家具で仕切れば学齢期には個室にすることができます。また【育児期】、「内部通路」は親世帯の家事・育児協力のために使われますが、【加齢期】に親世帯が実の娘から食事を運んでもらったりといったサポートを受ける際にも便利であると考えられます。また、その後親世帯スペースを賃貸する場合には内部通路を塞ぐこともできるよう、当初から住戸間の壁は建築基準法に適合した「界壁」の仕様にしてあります。このように家族の変化に対応できることを意識したプランニングが求められるのです。
では引き続き、次ページで『夕食融合』のプラン例をご覧下さい。