営業のノウハウ/営業の商談・ヒアリング

【連載】説得と交渉の営業心理学 第7回 人を服従させる権威の力

「知的財産が専門のジェイコブズ弁護士によると…」このような前置きがされると、私たちは簡単に説得されてしまう。私たちは、医者や教授などの「専門家」と呼ばれる人々に弱いのである。

執筆者:鹿俣 之信

専門家に弱い心理

「来週の検査で、体の糖分分解機能を測定するので、今日から一週間、毎日夕食後にチョコレートを一枚食べるようにしてください」このように医者に言われたら、あなたはどうするだろうか。間違いなく医者の指示に従うはずだ。これがお茶目な医者のいたずらだったとしても、私たちは医者のいいつけを忠実に守ることになるだろう。

私たちは「権威」に弱い。「スタンフォード大学地球物理学教授のノーマン博士が行った研究によると・・・」「知的財産を専門に扱っているマイケル・ジェイコブズ弁護士によると…」このような前置きがされると、私たちは盲目的に内容を信じてしまい、簡単に説得されてしまう。私たちは、医者・弁護士・大学教授などの「専門家」と呼ばれる人々にとことん弱いのである。

私たちの社会では、一般的に専門家の意見に従うことは正しいことであると考えられている。専門家は私たちよりも多くの知識と経験を持っており、ほとんどの場合、専門家の助言は私たちを適切な行動に導くことになるからだ。

専門家からの情報は、私たちがどのように行動すべきかを決定するための、貴重な手がかりを提供してくれる。私たちは、経験的に専門家の忠告に従うことが、自分のためになることを知っているのである。

このような理由から、一般的に専門家による説得に抵抗するのはとても難しい。多くの場合、私たちは専門家の意見を鵜呑みにしてしまう。冒頭の医者の例を思い出してほしい。「毎日チョコを食べろだなんて、あなたの言うことはとても信じられないから、私は食べません!」と、あなたは抵抗できるだろうか。専門家の意見は、たとえ間違っていたとしても真実のように受け止められてしまうのである。

→ 次は、人がいかに権威に弱いかを示す「恐ろしい実験」について

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【連載】説得と交渉の営業心理学
第1回 二度目は断れない
第2回 拒否させて譲歩する
第3回 一面呈示と両面呈示
第4回 結論を言わない暗示的説得
第5回 手に入りにくいほど欲しくなる
第6回 他人の真似をする社会的証明
第7回 人を服従させる権威の力

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