高速道路の不思議な現象

あなたは、遠方の客先を訪問するために高速道路を走っている。道路は混雑気味。すべての車線がゆっくりと一定の速度で流れている。あなたは周囲の流れに乗ってゆっとりと車を走らせていた。そのとき、あなたの前を走る二台の車が同時に車線変更しようとウィンカーを点滅させた。

このとき、あなたはどうするだろうか。おそらく、前方に何か障害物でもあるのだろうと考えて、あなたも車線変更しようとするのではないだろうか。

実は、前の二台の車の前方には、障害物などは何も無かった。車線変更をしなければならない理由は何も無かったのだ。二台の車が同時にウィンカーを点滅させたのは、まったく偶然だったのである。

しかし、偶然であることを知らない後続の車は、前の二台の車が同時に車線変更するのを目の当たりにすると、それを真似して次々と車線変更を始めるのである。

他人を見て決める心理

私たちは、他人の行動を参考にして自分の行動を決める傾向がある。特に、状況が不明確で自分で判断できないような場合には、周囲の人たちの行動を正しいものと考え、自分がどのように振舞ったらよいかを決める重要な手がかりにする。これを「社会的証明の原理」という。

私たちは、日常のあらゆる場面で、他人の行動に影響を受けている。

例えば、広い駐車場で出口が分からないときには、他の車が進んでいる方に向かってみる。どのパソコンを買えばよいか分からないときは、人気ランキングで上位のパソコンを購入する。高速道路でどのくらいのスピードを出すかは、他の車がどのくらいのスピードで走っているかによって影響を受ける。はじめて行くレストランでどのように振舞うべきかは、他の客の様子をうかがいながら決める。あなたにも心当たりがあるのではないだろうか。

この原理を確かめることができる簡単な実験がある。人通りが多い場所で、数人の友人と一緒に、空の一点をしばらく見上げてみるのだ。すると、多くの通行人があなたたちと同じように空を見上げるのを確認できるはずだ。ニューヨークで行われた同様の実験によると、全体の80%の通行人が空の一点を凝視することになる。

「社会的証明の原理」では、ある行動をとる人が多ければ多いほどその行動は正しいと見なされる。空を見上げる実験でも、あなたと一緒に空を見上げる友人の数が多ければ多いほど、それに同調して空を見上げる通行人の数も多くなる。

→ 次は、社会的証明の原理が作用する条件と、セールスの現場での活用法について

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【連載】説得と交渉の営業心理学
第1回 二度目は断れない
第2回 拒否させて譲歩する
第3回 一面呈示と両面呈示
第4回 結論を言わない暗示的説得
第5回 手に入りにくいほど欲しくなる
第6回 他人の真似をする社会的証明

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