「おまかせ」は高いよ!
バーテンダーといい関係をつくり、腕をふるってもらおう |
もちろんベテランバーテンダーだが、男性客に「おまかせ」と言われて、「カクテル、ウイスキー、何かほかに飲みたいものある?」と聞き返した。すると客が「ウイスキーで」というと、「いろいろあるけど」とベテラン。「じゃあシングルモルトを」と客。「じゃあいちばん高いのでいいね」とベテラン。
客が慌てて「いや、困ります」と言うと、「だっておまかせって言ったでしょう」とベテランが怒ったときにはわたしは笑ってしまった。
その客が帰ったあと、わたしが面白かったと言うと、「またネタにするんだろう。でもね、おまかせっていうのは駄目っていうことを、はっきり教えてあげなくちゃね。常連客なら、わかるけどね」とそのベテランは言った。
常連客が、天ぷらを食べてきたばかりとか、いまの状態を伝えて「おまかせ」となる場合もある。銀座のあるベテランバーテンダーの店なんか、常連客の多くがおまかせのところもある。ただ常連でもない店で「おまかせ」は通じないし、高い一杯と脅されても文句はいえない。
若手は突き放せない
とはいっても若いバーテンダーの態度は違う場合が多い。なんとかコミュニケーションを取って、好みの一杯をつくろうと努力する。ベテランのように客を突き放すまでの経験を積んでいないこともあるし、バーテンダーとはこうあらねばならないといった理想に向かって進んでいる人もいる。でもね内心は「おすすめ」とか「おまかせ」と言われたらナンダよ、と思っているはずだ。次回の記事もこのシリーズにする。これだけはオーダーするな、をお送りする。
前回の記事「ジャパニーズは世界のウイスキーとなるか4」もお読みいただきたい。
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