内心カチンとくるオーダー

久しぶりの『いい女に贈る記事シリーズ』。今回はバーでのオーダーについての話。
バーテンダーという仕事は寛容でなくてはならない。カウンター席に座る客の心情は十人十色。ひとりひとりのその夜の心情を受け止め、穏やかで温かい接客をする。
だが、顔には出さなくても彼らが内心カチンときてるんだろうな、という場面に出くわすことがある。カウンターの上にバッグや帽子といったものを置くのは厳禁と以前書いたのもそのひとつ。そして今回書く内容は、とくにカクテル一筋にやってきたベテランバーテンダーが嫌う、オーダーのひと言を教えよう。

バー入門者はバーテンダーに正直に相談しろ、とはよく言われることだが、相談にもならないひと言を発する入門者が割と多い。その言葉はふたつ。とくに近年よく耳にする。以下はベテランの態度が明快だった例。とってもわかりやすい。

「おすすめをください」は駄目

早く自分の好みのカクテルをみつけよう
早く自分の好みのカクテルをみつけよう
まず、女性に多いのがひとつ目。「何か、おすすめをください」。これって、何が悪い、と思われる方もいらっしゃるだろう。
あるバーで客がこう言ったら、ベテランのマスターが「うちには、おすすめはありません」と返して、客の前からすっと身をはずした。それを見た右腕の中堅バーテンダーが機転を利かせ、「普段はどんなお酒をお飲みですか。甘酸、どういった味わいがよろしいでしょうか」と即座に対応した。

中堅バーテンダーは後で、「マスターのひと言には慌てましたが、まあすべてがおすすめともいえますしね」と苦笑した。
カクテルを勉強してこい、とは言わないまでも、ジンは苦手だとか、フルーツを使ったカクテルとか、お腹の状態とか、和食とともに清酒を飲んできたとか、イタリアンを食べてワインも少々飲んだ後だとか伝えればバーテンダーは頭を働かせる。そしてそれにどう対応するかが腕の見せどころだ。
まず上手くコミュニケーションが取れるような言葉を発しなさい。次頁ではもうひとつの禁句を教えよう。

次頁へつづく)