カウンターは舞台だ

昨年の夏であっただろうか。このシリーズで「バーが守りきれない、女性客」という記事を書いた。
たしかバーに出かける時は香水は控えめに、ウイスキーやカクテルの香りを愉しむ周囲の人に迷惑となる強い香りは禁物という内容だった。今回はその第2弾で、バーテンダーの生命といえるカウンターまわりの話をしよう。

バーテンダーはカウンターの、あのわずかな距離で客と対峙する。60~80cmぐらいの幅が緊張感を生み、付かず離れずの程良いサービスを可能にする。
毎晩、その上ではさまざまな色や香りの酒が生まれては消え、新しい物語が生まれたり、過去がよみがえったり、グラスを手にする人間の思いが幾重にも積み重なる。バーテンダーにとってはカウンター上はステージといっても過言ではない。

カウンター
カウンターの上には夜ごと、グラスを手にする人の重いが幾重にも積み重なる。
では主役は誰か。それは客。もっといえば客の心。バーテンダーも酒もグラスも主役ではない。演出効果のスタッフにしか過ぎない。バーテンダーという演出家が客の心をどう表現させるか、そのためにあのわずかな距離のステージが重要となってくる。

最近は男のマナーが低下

男性客で多いのが、カウンターの椅子を後ろにドーンと引いて足を組んでふんぞり返るというもの。カウンターの上面と椅子の座面の高低距離がそんなにない場合、組んだ足の膝がカウンター上面の端に当たってしまう。
これはまったくもって無礼。私は若い頃、酔って気づかないうちにそんな姿勢を取ってしまい、ベテランバーテンダーに膝をビシッと叩かれたことがある。
まあ女性はそんな姿は見せないだろうけど。

最近評判が悪いのはどうも男たちのようだ。あの雑誌に載っていたバー、あるいは有名なバーテンダーのいるバーに行こうと、4~5人でドドッと訪ねて、居酒屋のノリで飲んでいく男性客が多くなったらしい。あるバーテンダーは常連客に、「あまりマスコミに出るな」と言われたと苦笑していた。

女性はというと、話に夢中になり、ついはしゃいで高い声を出す、といった場面が時にしてあるが、男性客よりはずっとマナーがいいというバーテンダーが多い。いまは男のほうがなんだか幼稚だ。では次ページでは、女性客のつい、うっかりやってしまう、あることについて書く。(次ページへつづく)