姿勢を正して立ち、緊張感のあるサービスをはじめられるとすぐさま絵になってしまう。とてもおさまりのよい絵となる。
だから非日常の素敵な時間を提供できるのだ。『帯広の寛ちゃん』はどこにもいなくて、『東京の、銀座の寛ちゃん』が目の前にいる。勝亦氏は長年ここのオーナーバーテンダーであったかのような錯覚に陥る。
おすすめは熟成感のあるウイスキー
さてウイスキーの話をしよう。勝亦氏のおすすめはこの4本だ。まずはマッカラン12年(¥1,400)。これは香味のバランス、安定感で幅広い客層に愛される一瓶で、いまさらコメントする必要もないだろう。スプリングバンク15年(¥1,400)。こちらは勝亦氏の思い入れのある一瓶。彼がはじめてスコットランドを旅した時に最初に訪ねた蒸溜所がスプリングバンクだった。この一瓶は価格と味のバランスがよくとれている。
次は日本のシングルモルト。勝亦氏は山崎18年(¥1,600)をすすめる。これは私の大好きなシングルモルトだ。山崎の中でも18年はとくに傑作だと思う。細かな評価は加えない。とにかくこれを飲め。素晴らしい熟成感がある。そして余市15年(¥1,600)。グラスから立ち上がる香りが非常に心地よい。熟した果実の香りだ。水を数滴たらすとスモーキーさも堪能できる。
熟成感のあるウイスキーをおすすめとして紹介したが、もちろんカクテルもいける。
競技者としての立場を終え、いま磨き上げた技術で客を魅了している。これからは夫婦で長年に渡り愛される店づくりをおこなっていかなければならない。年月を重ねるほどに、カクテルの香味に円熟味が加わっていくことだろう。
数寄屋橋や銀座4丁目の両交差点からほど近い場所に『フォーシーズンズ』はある。ひとりでふらっと立ち寄って飲むのにも、店で待ち合わせて飲むのにも非常に便利だ。女性客も藤谷氏のチャーミングな笑顔があるから臆することなく訪ねてほしい。
今後期待のバーのひとつだ。
『ガイドおすすめのバー・東京』もご覧いただきたい。