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靴紐について、深く考えてみる! その1(3ページ目)

今回の「メンズシューズ基礎徹底講座」では、靴紐について考察します。日頃何気なく使い、消耗すれば当たり前のように交換するものですが、これ次第で靴の履き心地が結構変わってしまう、奥深いパーツなのです。

飯野 高広

執筆者:飯野 高広

靴ガイド

お豆腐じゃないけれど、主役は木綿と絹!

シルクの靴紐
靴下に絹のものがほとんどなくなってしまったのと同様に、靴紐にも絹製のものがめっきり少なくなってしまいました。耐久性は確かに綿のものには劣るものの、使い心地は抜群です! 復権を切に望みます。


「長さ」の次にもう一つ、靴紐にとっては極めて肝心な要素ながら、靴がお好きな方でもほとんど意識されていない領域をお話ししてしまいましょう。それは靴紐の「原材料」です。これも靴の用途や目的に応じて様々なものが出回っていて、靴の世界の奥深さを伺い知ることができる、極めて興味深い分野です。

ドレスシューズ用のもので最も一般的なのは、綿若しくは綿ベースのものでしょう。耐久性に優れたものが比較的安価に出来るため、靴のグレードに関わらず今日ではこれが完全に主役になっています。綿の落ち着いた質感故、靴の色と馴染みやすい色のものを作り易いのも特徴で、強度を増すためナイロンやポリエルテル、それにアクリル等の合成繊維を混ぜたりするのも盛んに行われています。

一方、今日でこそあまり見掛けなくなりましたが、絹で出来た靴紐にもまた捨て難い魅力がございます。耐久性は確かに綿のものには劣るものの、丁度シルクの良質なネクタイと似たようなもので、発色の良さだけでなく、結ぶのも解くのも快適で、しかも締め付け具合の頃合いの素晴らしさは一度経験するともう、後戻りできません! 価格的にも決して贅沢品ではなく、国産のものなら綿のものより100円~200円と僅かな追加で十分素晴らしいものがありますので、見付けられたら是非とも一度はお試しなされてみることをお勧め致します。

その他耐久性最重視で、アウトドアシューズのように細く短冊状にした革を用いたりする場合も極稀にあります。例えばChurch’sのSHANNONと言うプレーントウがそうで、この靴は本来街履き目的ではなかったのかも? と思い起こさせてくれるディテールです。いずれにせよ、各靴メーカーやブランドの純正のものに限らず、靴紐からは原材料の微妙な違いにそれぞれの個性を感じることができるのは確かです。


えっ、まだまだ話さなくてはいけないことがあるだろうって? はい、その通りなのですが、この後も結構長くなりそうなので、今回はここまで。続きは次回をご期待あれ!



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