靴の選び方、チェックすべきはこの5つ

靴の選び方心得!履けない靴を買わないためにみるべきポイント
試着している靴が自分の足に合っているかどうかを確かめたい時は、この写真の1~5の部分をチェックしましょう。慣れればそれほど時間はかかりません。
 
快適な靴を見つけるために、お店に行く前に知っておきたいこと、用意しておいた方が確実なことについて要約すると
  • 自分の足の形状の大まかな特徴を知る
  • 自分の足がむくむ時間帯を知る
  • その靴を履く際に使う靴下も用意する
と、言われてみればまあ、なるほど! のことばかりのはずですが、ご存知の方が案外多くないのが実情のようです。

それを踏まえ今回は、実際に靴屋さんで靴を試着する際に注意したいポイントをまとめてみます。最近は紳士靴でも、以前にはとても考えられない魅惑的なデザインのものが増えてきましたが、足を外部から保護し快適な歩行をサポートすることこそ靴本来の役割。それを実感するためには、以前取り上げたサイズ表記を参考とはしながらも、それを過信せず自分にとっての「ちょうどいい!」「ベストサイズ」の靴を選ぶことが何より肝心です。店頭でチェックすべきはズバリ、次に挙げる5か所。単に足を靴に入れるだけでなく、それをきちんと履き(お店への礼儀として履きジワは極力入れないように!)店内で慎重に歩いてみた上で、大丈夫か否かを判断してください。
 

靴の選び方1:つま先

つま先
つま先部の中がほぼ丸見えのグルカサンダル! 一般の靴でもこの写真のように、つま先の前後方向には「捨て寸」が適度にあり、左右方向は窮屈すぎず広過ぎず、上下方向も僅かに余裕のある状態がベストです。
まず、自然に伸ばした足の指が靴のつま先に前後方向ではぶつからないこと、これを確認しましょう。歩く際に靴の中で足は若干ながら前後に動くので、ここの前後方向は若干の余裕がないと、指の表面だけでなく、爪や関節、骨までも痛めかねません。この余裕代を「捨て寸」と言って、靴のスタイルで異なるものの目安は親指で約10mm~20mmなのですが、昨今の潮流であるつま先がやや長い「ロングノーズ」の靴では、もう少し長めに取る傾向があるようです。

つま先の左右方向では、親指と小指が靴の側面から無理な圧迫を受けていないことも確認してください。靴の横方向から小指が強烈に圧迫されたり、小指が薬指の下に潜り込みそうになっている場合は、足に対して靴のつま先周りが窮屈な証拠です。逆に足の指が靴の中で左右方向にブラブラ動きすぎてしまう場合は、そこに余裕がありすぎる証拠で、歩行時に指の動きが定まりきらず、それはそれで問題ですよ。

忘れがちですが、靴のつま先の上下方向にも指、特に歩行時に一番上下方向に曲がる親指に対して僅かな余裕が必要です。これが足りない場合、指が上から圧迫され、指の関節部の上面にタコが発生したり爪が変形してしまうこともあります。またその余裕とは別に、形状を保持させるべく靴のつま先に入る「先芯」の後端境界部やフルブローグ等でつま先周辺に積み重ねている革の後端部が、歩行時に靴が屈曲する際にこの部分をグサッと直撃する場合もあるので、その辺りの位置の相性の良し悪しも、油断せず確かめておきましょう。
 

靴の選び方2:甲周り

甲周り
甲周りはここ数十年で日本人の体格が思いっきり変化している部分の一つ。余裕がある方が楽だと思われがちですが、それは大きな誤解で、靴でここがキツすぎるのはもちろん、緩すぎるのもいけません。
詳しくはこちらをご覧いただきたいのですが、靴では多くの場合、EEとかDなどのアルファベット標記で示されるのがこの部分です。まず、親指と小指双方の付け根で左右方向に一番出っ張っている箇所、すなわち横幅で一番太くなっているところが、足と靴双方の位置がちゃんと合っていることを確認してください。ここを「ボールジョイント」と呼びますが、この部分は言わば「足と指の支点」。だからここが合っていないと、指が「まねき運動」を行えなくなり、歩行が著しく困難になります。

また、このボールジョイントのすぐ後方が、全体的に緩くもキツくもなく、しっかりフィットすることも不可欠です。ここを「ころし」とも呼びますが、例えば、靴のアッパーに足のこの部分が大きく張り出してしまっている場合は、この部分の靴の幅並びに周囲が足に対し狭すぎる証拠。一方、爪先立ち等で靴を曲げた際、アッパーに深い皺が斜めだったり錯綜したりのように不自然にできる場合は、それが足に対し広すぎるシグナルになり、暫し誤解されますがこちらも快適な履き心地にはなりません。血管や神経が多いこの部分が合っていないと、歩くのに支障を来たすのみならず、血の循環も悪くなって、身体の別の部分にも悪影響を及ぼす恐れがあります。

特に紐靴の場合は、羽根の閉じ具合もチェックしましょう。靴の製法や裁断パターンにもよりますが、一般的には新品では靴紐を結びきった際、最もかかと寄りの鳩目と鳩目の間が5mm~10mm程度開いているのが適当とされています。本来は靴紐を結ばなくても歩行に支障を来たさない位のフィット感が求められる部分ですので、開きすぎは靴に対し足の甲部が太すぎ、閉じすぎは足に対し靴の甲部が太すぎるサインです。

長年甲高幅広と言われてきた日本人の足ですが、生活環境の変化に伴い1960年代以降に生まれた方のこの部分は、実際には欧米系の人並みに低く・狭くなりつつあります。ところが全く残念なことに、それに対応してくれている靴メーカーは案外多くなく、本当は日本サイズでも細身のシングルEやDのものがかなりの度合いで求められているにもかかわらず、「幅広=履きやすい」という印象から来る短絡的な誤解に乗じ、廉価帯のもののみならず、著名なラグジュアリーブランドの靴ですら「日本向け」と称して全く逆の日本サイズEEE相当の靴を増やしているのが実情です。

「自分の足は甲高幅広だ」と思ってその種の靴をお履きの方で、歩いている途中でこの部分に必要以上の余裕を感じ「足が靴の中で泳ぐ」ような経験がおありの方、あなたの足は親指と小指の付け根の間にある靭帯が伸びてしまった「開帳足」状態で幅広に見えるだけで、本当は幅狭である可能性があります。ちゃんとした靴屋さんでしたらその辺りは見破ってくれますので、試着時に臆せず質問してみましょう。
 

靴の選び方3:土踏まず

土踏まず
カーブが激しいことで有名な、オールデンのモディファイドラストの土ふまず部です。足を上にギュッと持ち上げてくれるような感覚は、正直賛否両論。ただ、好きな方にはたまらないものがあるようです。
何より足の土ふまずが靴のその部分ときっちり合うことが重要! 全体的に緩くもキツくもなく、中底とアッパーでしっかり支え、足に軽く触れている程度が一般的にはベストです。あまり知られていませんが、土ふまず部の長さは個人差が相当あるので、ここの差で足長は同じでもベストな靴のサイズ、特にレングスは全く変わってしまうことも多々ありますよ。

この部分は足に靴を自然に沿わせてあげるのが原則ではあるのですが、状況により靴で起伏を無理矢理作ってしまうのが好都合の場合もあります。例えば足のこの部分の起伏が通常よりも緩すぎる、いわゆる「偏平足」の方の場合です。生兵法は絶対に禁物ですが、必要以上の足の疲労を防ぐため、アーチパッドなどを用いて靴のこの部分を強制的に持ち上げ、そのような方の足に擬似的に土踏まずを形成させることがあるのです。

逆に足のこの部分の起伏がキツすぎる状態を「ハイアーチ」と言います。欧米系の人の足に多いのですが、要は身体を下支えする足のバネが強すぎて、歩行バランスが狂い痙攣を起こしがちになります。以前ちょっとご紹介したアメリカ・Aldenの「モディファイドラスト」は、元来この種の足をサポートすることを念頭に開発された木型ですが、土踏まずのカーブが立体的にハッキリある分、逆の偏平足気味の方の評価も高いようです。
 

靴の選び方4:トップライン

トップライン
向かって左がオールデン、右がクロケット&ジョーンズの靴のトップラインです。線の形状のみならず外・内の傾斜が全く異なりますが、あくまで相性の問題で、どちらが良い悪いではありません。
この部分のチェックポイントは、くるぶしが靴のトップライン(甲の上端からかかとにかけての線)に無理なく収まっていること、これに尽きます。くるぶしは歩く際に「足と脚との支点」の役割を果たすので、これが合わない靴だと、靴の見掛けが悪くなるばかりか、履けはするけど歩けない事態も起こり得るのです。実はここに関しては、靴の種類やメーカーにより構造が大いに異なる部分、すなはち履き心地を大いに左右する箇所でありながら、他の項目に比べ特段の意識もなく靴を選んでしまい、購入後に「しまった……」と後悔しがちな部分でもあります。

人にもよりますが、紐靴では小指側の外くるぶしに対し、これが必要以上に食い込んでしまう場合が多いようです。経験なされた方もいらっしゃるでしょうが、これ、立っているだけでも結構シンドイ痛みが走るのですよ! 内くるぶし側よりも外くるぶし側の方を低くえぐるのが一般的ではありますが、そうでなければ良い靴ではないとも言い切れないのが厄介なところ。あくまで「履き手の足と相性が良いか悪いか」の問題で、ここの処理は上の写真でお解かりのように、実際はメーカーにより、いや同じメーカーの靴でも木型やデザインにより、本当にバラバラなのです。

一方スリッポンの靴では、トップラインがくるぶしに対してカパッと開きすぎてしまうケースが多いようです。これはこれで歩きづらいだけでなく不恰好。次ページに示すかかとの食いつき加減とともに
「ベストフィットの靴を見つけるのは、実は紐靴よりもスリッポンの方が遥かに難しい」
と言われる原因の一つです。
 

靴の選び方5:かかと周り

かかと周り
1990年代初めのエドワード・グリーンの靴のかかと周りです。昔も今もこの部分の小さい日本人には大変相性が良く、「良い履き心地」の概念を二歩も三歩も進めてくれた、見事なまでにコンパクトな造形です。
足のかかと全体に対し、靴のヒールカーブがそれを包むように適度に食いついているのがベストの状態です。ここが足のかかとより大きすぎる=ユルすぎると、当然ながら靴は脱げ易くなってしまいます。逆にここが小さすぎる=キツすぎると、足のアキレス腱を圧迫してしまい、それはそれで歩行が困難になってしまいます。

ヒールカーブの隙間は、足を前方に押し付けた時、手の小指の第一関節まで入る程度がベストです。このチェック方法は一般的には未だに、「靴のレングス」が適当かどうかをチェックする際に用いられますが、本来はこの「ヒールカーブ」部分に適度な余裕があるか否かに用いるのが適切なものです。日本人の男性が概して本来のサイズよりも大きめのものを選んでしまう傾向があるのは、このチェック方法の誤用が原因の一つだとも言われています。

また、これも忘れがちなのですが、靴のヒールの真上に体の重心がきちんと来る感触もチェックしてください。大きすぎ・小さすぎのいずれの場合であれ、サイズの合っていない靴は当然ながらこの「ノリの良さ」を実感できません。近年は紳士靴でも、従来よりも設置面がやや小さなヒールを付ける傾向にあるのですが、それは体重を支えてくれる面積が減ることも意味するので、この感覚は以前よりも得られやすくなっています。面倒臭がらずに確認されてみてください。


いかがでしたでしょうか? えっ、チェック項目が多すぎ? いやいや、ここまで理解できていると、間違ったサイズの靴を選んでしまう確率は激減しますし、「これなら、まあ、なんとか大丈夫か!」とか「この靴はサイズの大小というより、木型自体の相性が良くないのかも?」など、「ちょうどいい」に関しての自分なりの許容範囲もしっかり形成できるかと思います。ブランドネームや価格に惑わされず、皆さんにとっての「いい靴」により多く出会えるよう、今回記したことを是非ともご参考にしていただけましたら幸いです。


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