一体、何が、違うのか?

内羽根式と外羽根式の比較
似て非なる靴をわざと並べてみました。左右で何が、違うでしょう?



一見よく似ているようで、この2足は全く異なる靴です。どこが違うか解りますか? ブランド? 確かにそうなんですが、もっと決定的に異なる点もあるのです。

解答は後に回すとして、このガイドサイトを引き継いで以来、「もはやファッション雑誌では扱ってくれない、基礎的なことをじっくり採り上げて欲しい」とか、「どのスタイルの靴を、どのような服に合わせて履けば良いかを教えて欲しい」とのご意見を、沢山戴きました。なるほどなるほど、確かにその辺りは、誰も教えてくれない世の中になってしまったせいか、「エレガント」とか「クラッシック」と言った、大変抽象的かつ曖昧な外来表現で逃げてしまっている傾向、強いです。

そこで、今後ほぼ1回/月の割合で、「メンズシューズ基礎徹底講座」みたいなものを掲載していこうと思っています。中には「こんなのもう十分知ってるよ……」という知識もあるかと思いますが、まあ気楽に付き合ってやって下さい。読み続けてくれれば、必ず役に立つ連載に致しますので。まず今回は、紐靴の2大勢力の紹介からはじめます。

活動的な外羽根式

上の写真、向かって左側の靴は「外羽根式」と呼ばれるものです。甲より前の部分に、鳩目の部分が乗っかっている状態の紐靴を、こう称します。

この靴のルーツは、実はヨーロッパでの有名な戦いにあります。プロシアの陸軍元帥だったゲルハルト・レーバレヒト・フォン・ブラヘルが、このスタイルで戦闘用ロングブーツを仕立てさせ、1815年にかの「ワーテルローの戦い」で、フランスのナポレオンに立ち向かったのです。

外羽根式
外羽根式の靴の紐を解くと、羽根が全開します
羽根の部分が全開するので、着脱が比較的素早くできるうえに、フィット感の調節も容易にできる点が靴本来の要素として大変理にかない、以後狩猟用や屋外労働用など一般的にも広く浸透します。1860年代にはブーツだけでなく短靴、つまり今日の一般的なシューズにも採り入れられ、今日に至るわけです。

鳩目部分の形状が競馬のゲートに似ているため、この形状の靴はイギリス・フランスなど主にヨーロッパ諸国ではダービーとかデルビィ(Derby) と呼ばれます。アメリカでは、考案者の苗字を英語読みし、ブルーチャー(Blucher) と呼ばれる場合が多いようです。

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