ブローグって、何?

コンビのセミブローグ
各パーツの位置や特徴がわかるように、敢えて2色使いのコンビのセミブローグを載せました。


今回はセミブローグ、と呼ばれる種類の靴の解説を致します。でも手始めに「ブローグ」って何だ? と言うことで、おさらいも兼ねて、靴のアッパーの主要部品の用語を整理しておきましょう。上の写真の靴をご覧下さい。番号が振られている部分の名称は、以下の通りです。
  1. トウキャップ:つま先を保護する芯が入ります。
  2. ヴァンプ:アッパーでは歩行時に一番曲がる箇所です。
  3. レースステイ:文字通り、紐を縛るエリアです。
  4. クウォーター:足の側面を支えます。
  5. ヒールカウンター:踵を支える芯が入ります。
1から5の各パーツの境目には、縫い目がある靴と無い靴とがあるのですが、前者の場合、各縫い目に単にステッチを施す場合と、
:●:●:●:●:●:●
のような穴飾りを施す場合があります。この穴飾りを英語で「ブローギング(米語ではパーフォレーション)」と呼び、各縫い目にこれのある靴を「ブローグ("Brogue")」と総称するのです。

さてこの「ブローグ」、上の写真の1と2の間の穴飾りの配置によって呼び名が多少異なってまいります。今回採り上げるセミブローグは、ブローギングが一文字状のものです。また、これがW字状のものはフルブローグと呼びます(次回ご紹介します)が、いずれの場合も、通常は上の靴のようにつま先の中央に「メダリオン」と呼ばれる花状の穴飾りが付きます。

なおセミブローグでもメダリオンが付かないものを、特に「クウォーターブローグ」と呼ぶ場合もあります。「フル」「セミ」「クウォーター」の順に容姿がシンプルになってゆくわけですが、クウォーターブローグは前回ご紹介したパンチドキャップトウとの差が見た目にも極僅かなので、前者を後者として販売しているメーカー・ブランドも、多々あります。


活動的かつ生真面目な内羽根式

ロイドフットウェアのバークレイ
内羽根式のセミブローグのお手本と断言できる、ロイドフットウェアのバークレイ。黒も茶系も、合わせるスーツやジャケットをあまり選ばない、これぞ千両役者です。


こちらはセミブローグの内羽根式です。パンチドキャップトウと比べていただくと、各縫い目のブローギングとつま先のメダリオンのおかげで、表情に活動的な要素が随分加わるのが、ご理解いただけるかと思います。

ただ、活動的とは言っても生真面目さを失わないのが、このスタイルの優れた点です。流石にフォーマルユースには履けませんが、特に黒のものは、対外プレゼンテーションのような、ビジネスシーンで他人との違いを何気なく強調したい「華が求められる」場には、うってつけの靴でしょう。

イギリスではビジネスシューズとして昔から大変人気のあるこのスタイルが、「セミブローグ」の名で日本でお馴染みになりだしたのは、実は1990年代からと比較的最近です。おそらく前述の「フル」「セミ」「クウォーター」の解釈の違いによるものだと思われますが、それまで「セミブローグ」なる言葉は、我が国の靴業界では次回ご紹介する「内羽根式のフルブローグ」を指していたほど認知度が低く、今日でもこの靴はしばし「メダリオンストレートチップ」などと呼ばれています。

次のページは「重厚さも加わる外羽根式」などです。