自主年金の運用プロセスの基本
郵便局でも扱い始めた投資信託は、国民の資産形成の主役となりつつあります。 |
自主年金作りのおおまかなプロセスは以下の通りです。
○信頼できる専門家との共同作業で人生の期待収益率を持つこと
自分がどのようなポートフォリオを作ったらよいか?という問いに対する答えは、自分の人生の期待収益率を知ることなのです。
リタイア後の生活設計に必要なキャッシュを生み出すために、何%の運用が欲しいのか?運用利率の目標がポートフォリオを決定します。自分の期待収益率を把握することと、そこから適切なポートフォリオを導き出すときに、専門家の力が必要になることもあります。
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○適切なポートフォリオに、良いファンドをあてはめていくこと
人生の期待収益率から導き出された自分のポートフォリオが決まったら、個々の資産に相当するファンドを決めて購入することです。次の課題は良いファンドを選ぶことです。
ファンドの運用成績に関しては、いろいろな記録や評価が残されるようになって、客観的な判断基準が生まれてきています。そのために、投資信託の評価機関や格付けの情報は、非常に役に立ちます。
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こうした情報を活用してマメな人であれば、自分で良いファンドを選ぶ作業もできそうです。が、3,000本以上ある公募投資信託から長期間にわたって良い運用を続けそうなファンドを見つけることは、それでもかなりむずかしいのです。専門家や経験豊富な投資家との共同作業がおすすめです。
自分のため!だから積極的に運用できる
公的年金や生命保険会社の年金資産の運用は同じポートフォリオ運用でも、そんなに良い成績をあげることができていません。
なぜなら、他人のお金を(しかも、何兆円という規模で)預かって運用をするのですから、冒険はできません。むしろ、わずかなお給料(ゴメンナサイ)で将来の出世をかけて運用の仕事を「一時的に」やっているのですから、人並みの成績となってしまいます。
銀行の護送船団方式という話が昔はありましたが、年金運用はいまだに護送船団方式の金太郎飴です。どこでも、横並びの超保守的な運用をして、リターンを取り損ねています。リターンよりも保身が優先される世界です。特に巨大なポートフォリオの欠陥は、自国の資産を過大に組み入れ、外国資産を過小評価することです。日本には、まで文化的な偏見が残っているのです。
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一般的な年金運用の低いリターン(公的年金や生保で2~3%)は、資産配分の結果でありますし、アセットアロケーション理論からすれば、当然の成績です。仕方ありません。
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その点、自分のお金を自分の将来のために、自分でリスクを負って行う年金資産の運用は、もっとうまくできるはずです。人の評価を気にせず、決算期のために短期的な結果を急ぐ必要もありません。自分が信じる方向へ向けて、まさにマイペースの運用ができるのですから、当然に良い結果がついてくると信じましょう。
「うまくできる」とは、効率的なアセットアロケーションを組めるという意味です。言葉をかえていえば、過去の時代背景にとらわれず、また隣の人の運用スタイルなど気にせずに、今の世界に適応した素直なポートフォリオを自分で組めるということです。
ただし、その方針や見通しが客観的に妥当でなければなりません。その点は、第3者の目からのチェックは欠かせません。唯我独尊の独りよがりな運用は、必ず失敗しますから、ご用心ください。
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